第21話「離れる体、すれ違う想い」前編
「フウウウウウウウッ!やっぱうまいぜえ、娑婆の空気はよおおおおおおおっ!!」
広い宇宙を航行する、一隻の宇宙クルーズ船。その中で仲間と酒を酌み交わしながら、一人のモヒカン頭の男が歓喜の叫び声を上げた。
「ふふ・・・あんな簡単に脱獄できるなんてぇ、思いもしなかったわあ」
体中にタトゥーを入れた若い女が、腰まで伸びたグレーの髪をいじりながら一人の男のもとへ這っていった。その船の床には、クルーズを楽しんでいたと思しき旅客や、船員の死体がごろごろと転がっている。
「ねえカムロぉ、次は一体どこに行くつもりぃ?」
「ああ。実は俺達を脱獄させてくれた連中に、どうしても捕らえてほしいガキがいるって言われてな。そのガキを捕らえに行くのさ」
カムロと呼ばれた上等なスーツを纏った壮年の男性が、女の肩を抱きながら答えた。
「ふぅん・・・それでぇ、そのガキってのはどこにいるのぉ?」
「ここから3、4時間ほどの場所にある、小さな惑星だ。その名前は・・・テラ」
「テラ・・・?聞いたこともない星ね、そこ」
女が興味を失ったように、そっけなく声を上げる。だがそれとは対照的に、船の一角でノートパソコンをいじっていた一人の若い男が、ギラリと目を光らせて顔を上げた。
「テラ、ですか・・・カムロ、それは十分に気を付けた方がよいと思われます」
男はパソコンをいじりながら、早口で一気にまくしたてた。
「ここ数ヶ月の間テラを訪れた犯罪歴のある者達が、次々と消息を絶ったり銀河警察に逮捕されています。本来この惑星は銀河警察の活動範囲外、であるにもかかわらずなぜか銀河警察の姿がある。これが一体何を意味するかというと・・・」
「ああ、相っ変わらずコーディはめんどくせえ奴だなあ。銀河警察がいようと知ったことか、要はガキさえ捕らえりゃいいんだろ?」
モヒカン頭の男が酒の入ったグラスを投げ捨て、うんざりした様子で行った。
「そういう君は相変わらず楽観的すぎる、ガマス。考えてもみたまえ、なぜ活動範囲外の星に、銀河警察の姿があると思う?これは非常に由々しき問題だ。カムロ、この仕事は下りた方がいいと思いますが、あなたのお考えはいかに?」
コーディと呼ばれたパソコンを操作する男が、カムロに視線を向けて問いかけた。カムロは近くにいた女の耳元に、何かを囁いた。
「パメラ、カムロは何と?」
「別にぃ、そんなのどうでもいいだろって。とにかくぅ、その子供を捕まえてぇ、助けてくれた人達に恩返ししなきゃって」
「ま、そういうこった。・・・あいつらに下手に逆らうと、冗談じゃなく命があぶねえからな・・・」
パメラの肩を抱きながら、カムロはどこか怯えたような表情で呟いた。彼の視線の先にある液晶画面には、惑星テラ・・・すなわち地球の座標が表示されている。
☆☆☆
「今から二日前のことよ。宇宙マフィアとして悪名高いバンダッドファミリーを収監していた刑務所が、何者かの襲撃を受けた」
その頃。虹崎家に集まった刑事達に、レイがGPブレスで情報を示しながら一連の事情を説明した。
「幸い被害は軽微だったけど、襲った連中の目的はどうやら、バンダッドファミリーだけだったみたい。ボスのカムロと愛人のパメラ、幹部のコーディとガマス、そして末端の構成員20人前後が、一斉に脱獄してしまった」
「それで、なぜ奴らの脱獄が、僕達に関わりがあると?」
誠人が問いかけると、レイは別の情報を浮かび上がらせながら答えた。
「これはスペース・タイムスっていう、こことは別の星系で出回っている新聞の記事。これによると、バンダッドファミリーは以前から、大金と引き換えに人身売買に手を染めていたみたいなの。しかも最近は、ユナイトの能力を持つヒューマノイドの取引に、大分注力していたみたい」
「なるほど・・・つまり、もし連中を脱獄させた奴らがユナイト持ちの確保を狙ってるとしたら、当然この星にいる誠人さんに目をつけている可能性も高いと・・・」
ミナミがそう推察すると、レイは小さくうなずいた。
「そういうこと。今回の脱獄は私達にとって、対岸の火事じゃないってわけ」
「ミナミ、できればあんたは関わらせたくないって思ってたけど、事が事だけにそういうわけにもいかなくなってきた。退院したばっかで申し訳ないけど、もしもの時はあんたにも動いてもらわないと」
「もっちろん!もし相手の狙いが誠人さんだとしたら、私は水火も辞さない覚悟で・・・」
「いや・・・・・・君はなるべく、現場に出るな」
カグラにミナミが応え始めたその時、誠人が彼女の言葉を遮って声を発した。
「え?・・・誠人さん、なんでですか?」
「だって・・・君は手術が終わって、まだ2週間しか経ってないじゃないか。いきなりの現場復帰は、ちょっと・・・危険すぎるんじゃないか?」
「大丈夫ですよ!もう嫌になるほどベッドで休みましたし、リハビリだってちゃんとしてきました!今の私は心身共に、文字通り健康そのものです!」
「その過信が危ないって言ってるんだ。・・・とにかく、もしマフィアの狙いが僕だったとしても、君はなるべく関わるな。いいな」
「あ、誠人さ・・・」
ミナミの制止も聞かず、誠人はさっさと自分の部屋に戻っていった。立ち尽くすミナミのもとに、キリアとミュウがそっと近づく。
「ミナミ、お兄ちゃんきっと、ミナミのことすごく心配してるんだよ。やっと復帰したばかりなのに、もしまた何かあったら、って・・・」
「ボクもそう思います。・・・ミナミ先輩、どうか誠人君のこと、悪く思わないであげてください」
「くっ・・・あんたらに言われなくたって、それくらい分かってますよ!」
ミナミは吐き捨てるように言うと、大股で自室へと歩いていった。その後を追おうとしたカグラの肩に、レイが手を置いて制止する。
「ごめん・・・あたしがあんなこと言ったから、ミナミをその気にさせちゃったね・・・」
重くなった場の空気に責任を感じながら、カグラがため息と共にソファに腰を下ろした。
「勇み足だったかな・・・ミナミも少年も、お互い久々に会えたもんだから、ちょっと気持ちが緩んじまってる。・・・引き締めようと思っただけだったんだけど・・・」
「年頃の男女の精神は、言葉では言い表せないほどに、複雑なものでございます。・・・どれだけ気をつけていようと、傷つけてしまう時は、傷つけてしまうものですわ」
シルフィがそう言いながら、ほのかに甘い香りが漂う紅茶をカグラに差し出した。その気遣いに感謝しながら、カグラは紅茶を口に含んだ。
「ありがと、シルフィさん・・・」
(誠人さん・・・どうして、私の力を頼ってくださらないんですか・・・)
一方。部屋にこもったミナミは、心の中でずっと同じ疑問を繰り返し続けていた。
――とにかく、君はなるべく関わるな。いいな――
先ほどの、まるで突き放すような誠人の言葉。それが何度も頭の中で繰り返され、その度にミナミの心にズキズキと痛みが走る。
――お兄ちゃんきっと、ミナミのことすごく心配してるんだよ。もしまた何かあったら、って――
――ミナミ先輩、どうか誠人君のこと、悪く思わないであげてください――
(それに、あの二人も何ですか!まるで私より、誠人さんを理解してるようなこと言って・・・!)
キリアとミュウに嫉妬のような感情を抱きながら、ミナミはうずくまって自分の体を強く抱きしめた。やがて彼女の思考は、ある一つの結論に辿り着いた。
「そっか・・・誠人さん、まだ私が本調子じゃないって思ってるんですね?・・・なら、その誤解を解くことから始めないと・・・!」
☆☆☆
事件が起きたのは、その翌日のことであった。
「地球の刑事諸君、緊急事態だ!先日脱獄した宇宙マフィア・バンダッドファミリーが、君達のいる地球に向かったという報告が入った!」
早朝、ジョージからの緊急連絡に、一同は叩き起こされた。誠人は表情を険しくしながら、モニターに映るジョージに問いかける。
「ジョージさん、ということは、奴らの狙いはやっぱり僕・・・?」
「その可能性が高い。何しろ、他に連中が地球に向かう動機が、まるで分からない・・・!」
ジョージがうめくように声を上げた、その時であった。誠人と同じく通信を受けてリビングまでやってきたミナミが、窓の外を見てあっと小さく叫び声を上げた。
「あ・・・!誠人さん、あれ!」
ミナミが指さす先を見た誠人は、目の前の光景に言葉を失った。紅い炎に包まれた宇宙船のようなものが、一直線に遠くに見える街に向かっていく。そして宇宙船が建物の陰に隠れて見えなくなったかと思うと、街の辺りから土煙のようなものが立ち上った。
「な・・・!何だ、今の・・・!?」
「いずれにせよ、これは大事件です!誠人さん、一足先に行ってますよ!」
「あ・・・ミナミ、待て!」
『Iri-speeder、come closer.』
ミナミは誠人の制止を聞くことなく、イリスピーダーを呼び出して街に向かっていった。思わず歯噛みする誠人のもとに、寝ぼけまなこのレイとキリアがやってくる。
「あ・・・おはよう、β・・・」
「なんか通信来てたけど、あれ何だったの・・・?」
「二人とも起きて!とにかく大事件です。しかもミナミが、一人で現場に!」
「・・・!ミナミが?それ本当!?」
その言葉を聞くなり、レイがすぐに目を覚まして問いかけた。
「ええ。とにかく、僕も行きます。ミナミの奴を、家に連れ帰らないと」
『Iri-speeder、come closer.』
誠人もGPブレスでイリスピーダーを呼び出すと、すぐさまミナミの後を追い始めた。一方のミナミは一足早く、土煙舞う街へと辿り着いていた。
「これは・・・宇宙船が、墜落した・・・!?」
逃げ惑う人々を押しのけて先に進むと、街の道路に一隻のクルーズ用の宇宙船が横たわっていた。やがてその船の扉が開き、中から派手な衣装に身を包んだ数人の男達が姿を現す。
「はっはー、ここがテラか。なんかしんきくせえ星だぜ」
緑の髪をモヒカンにした若い男が、船から出るなり悪態をついた。その男の顔に、ミナミは見覚えがあった。
「あんたは・・・バンダッドファミリーの幹部の・・・!」
「おりょ?あんた俺を知ってんのか。いかにも。俺はバンダッドファミリーの一員にして幹部、ガマス・ラメニーだああああああああっ!!」
ガマスと名乗った男が奇声を上げると、両手に持った銃を空に向けて連射した。それを見て、白いスーツに身を包んだ知的な雰囲気の男が苦言を呈する。
「武器を無駄撃ちするな。それに自分から幹部と明かすなど・・・馬鹿という言葉は君のためにあるようだな、ガマス」
「な・・・何だと!?」
「あいつは・・・コーディ・ベルヘルム・・・!あいつも、バンダッドファミリーの幹部・・・!」
ミナミの言葉に反応したコーディが、彼女の左腕にはめられたGPブレスを見て声を上げた。
「それは・・・なるほど。やはりこの星に銀河警察の刑事がいた。私の推測が正しければ君の任務はそう・・・この星のユナイト持ちの警護、かな?」
コーディの言葉にドキリとしながらも、ミナミは戦闘モードにしたGPブレスをコーディ達に突き付けた。
「だとしたら何です?言っときますけどあんたらには、レッドレベルの指名手配がついてんですよ。大人しく投降すれば、命だけは助けてあげます!」
「ほう・・・俺達に投降しろ、ってか。ふふ、身の程知らずの嬢ちゃんだぜ」
その時、船内から愛人のパメラを侍らせて、バンダッドファミリーの長であるカムロが姿を現した。彼は傍らのパメラの耳に、何か言葉を囁きかけた。
「パメラ・・・カムロは何と?」
コーディが問いかけると、パメラは冷酷な笑みを浮かべて答えた。
「あの女ぁ、ぶっ殺しちゃえ、だってぇ」
「そうと決まれば話は早え!あいつは俺の獲物よおおおおおっ!」
ガマスが再び奇声を上げながら、手にした銃でミナミを攻撃し始めた。それを合図に末端の構成員達も手にした銃をミナミに向け、一斉に銃弾の雨を浴びせかける。
「くっ・・・さすが宇宙マフィア、血の気の多い連中ばかりですね!」
ミナミが応戦しようとした、その時であった。遠くから、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「カグラ先輩、こっちです!・・・あ、ミナミ先輩!」
街の異変を察知して駆けつけたミュウが、ミナミを見つけて声を上げた。程なく彼女の後ろから、カグラもその姿を現す。
「ミナミ!あんた、少年に現場出るの、止められてたんじゃ・・・」
「黙っててください。私は証明しなきゃなんです、もう十分戦えるってことを!」
ミナミは隠れていた物陰から飛び出すと、GPブレスから光弾を放って応戦を開始した。正確な狙いから放たれた一撃が、次々と敵を撃ち倒していく。
「やるな。だが、早撃ちは俺の方が強えぜ!」
ガマスが両手の銃を同時に発射し、ミナミの命を狙う。辛うじてその攻撃をかわして倒れこんだミナミに、今度は謎の触手が襲い掛かってきた。
「な・・・何ですこれ、気持ち悪い!」
「気持ち悪いとは失礼な・・・まあいい、君はここで死ぬ」
その触手は、コーディの手指が以上に伸びて変化したものであった。予測不能な触手の動きはミナミを翻弄し、やがて彼女の体に触手が直撃した。
「あっ・・・!」
触手の一撃に、ミナミは小さな悲鳴と共に倒れこむ。イリスピーダーに乗った誠人が現場に到着したのは、まさにその時であった。
「ミナミ!」
「・・・!誠人さん!」
「ほう・・・あれが例の小僧か。ふん、捜す手間が省けた」
駆けつけた誠人の姿を見て、カムロが小さな笑みを浮かべる。誠人はGPブレスから光弾を放って敵を威嚇しながら、ミナミのもとに駆け寄った。
「大丈夫か?・・・だから言ったんだ、無理すんなって・・・!」
誠人は気遣いのつもりでそう言葉をかけたが、それが余計にミナミのハートに火をつけてしまった。
「ば・・・馬鹿にしないでください!私ならもう戦えます!誠人さん、合体してあいつらを・・・」
「今の君じゃ無理だ。・・・ミュウ、いけるか!?」
ミュウとカグラを視界の端に捉えた誠人が、フォレストのカードを引き抜いてミュウに叫びかけた。
「え、ボク!?・・・うん、いけるよ!」
「そ、そんな!誠人さん、ここは私と・・・」
「くどい!・・・カグラさん、ミナミを頼みます!」
あえて強い口調でミナミを黙らせると、誠人は腰に装着したイリスバックルを待機モードにし、手にしたカードを認証部分に読み込ませた。
「ユナイト・オン!」
『Read Complete.怒れる大自然!フォレストアーマー!』
ミュウと合体してイリスとなると、誠人はアローモードのプラモデラッシャーで周囲の敵に攻撃を浴びせかけた。その一方で、カグラが嫌がるミナミの体を羽交い絞めにし、戦場から遠ざけていく。
「ちょっ、何するんですか!?放しなさい、カグラ!」
必死の叫びも虚しく、カグラによってミナミは強制的に戦線離脱させられた。一方のイリスは順調に敵を倒していたが、突如として飛んできた銃弾が体に直撃し、鎧から火花が散った。
「ヒャッハー!遠距離戦なら俺に並ぶ者はねえ!」
ガマスが奇声を上げながら、両手の銃を一斉に発射してイリスを狙った。その攻撃をなんとか避け続けるイリスを、今度はコーディの指が変化した触手が襲う。
『どうしよう・・・2対1じゃ不利だよ・・・!』
「慌てるな、ミュウ。・・・何とか、打開策を練るから・・・!」
瓦礫に身を隠しながら、誠人は必死に戦略を立てようとした。だがその瓦礫をコーディの触手が破壊し、露わになったイリスの体をガマスの銃弾の雨が襲った。
「うわあああああっ!」
『ああああああっ!』
銃弾が直撃し、イリスの体は大きく吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。徐々にイリスに迫ってゆくガマスとコーディを見て、カムロがほくそ笑む。
「ふふ・・・これで一仕事、終わりそうだな」
だが、その時であった。一同の視界の外から現れたゴールデンホークとアクアドルフィンが、ガマスとコーディに攻撃を仕掛け始めた。
「あれは・・・!レイさん!キリア!」
イリスが視線をめぐらせると、そこにはイリスピーダーに乗って駆けつけたレイとキリアの姿があった。
「お兄ちゃん、ミュウ、お待たせ!」
「遅くなってごめん。・・・ミナミは?」
「今はそれどころじゃありません!ミュウ、決めるぞ!」
『う・・・うん!』
『Read Complete.Be prepared for maximum impact.』
プラモデラッシャーにフィニッシュカードをスキャンさせると、イリスは矢をつがえる体勢を取った。プラモデラッシャーに光の矢がつがえられると、イリスはガマスに狙いを定めてトリガーを引いた。
『フォレストインパクト!』
勢いよく放たれた光の矢が、ガマスの体を貫いた。ガマスは断末魔の叫びを上げ、爆発して消滅する。
「ほう・・・ガマスを倒すとはな」
「ふふっ、あいつ面白そう。ねえカムロぉ、あたしも遊んでいい?」
パメラが子供のように無邪気な瞳で問いかけると、カムロはおもむろにうなずいてみせた。
「ああいいぜ。好きなだけ遊んで来い、パメラ」
「りょうかーい。じゃ、あたしも遊んじゃおうっと・・・!」
パメラは首から下げていたネックレスに触れると、そこに収納されていた薄着のバトルスーツを一瞬で身に纏った。そしてスーツの脚の部分に収められていた圏のような丸い武器を、両手に握りしめる。
「次はお前だ。覚悟しろ」
イリスはコーディに視線を向けると、プラモデラッシャーを彼に向けて構えた。だが次の瞬間、パメラが投げた武器がイリスの体に直撃し、その刃がイリスの鎧に大きなダメージを与えた。
「くっ・・・何だ!?」
「ふふっ、今度はあたしも相手だよ。・・・あなたみたいな珍しい相手、そうそうお目にかかれないし・・・ね!」
パメラは戻ってきた武器を掴むと、再びイリスに向かって投げつけた。その二つの武器はパメラの思うまま、意志を持つかのように空中を飛び回り、イリスの体にダメージを与え続けてゆく。
「な・・・何あれ!?」
「多分、あの女の思考と武器がリンクしてるのよ。あの女が望んだ通りに武器が動き、対象を切り刻んでゆく・・・!」
キリアに説明したレイの言葉通り、パメラの武器は彼女の脳内に埋め込まれた特殊なチップからの電波を受け、彼女の思うまま動いて対象を攻撃する仕組みになっていた。イリスは武器を射落とそうと矢を連射するが、パメラは巧みに武器を操って矢の攻撃を回避させ、そして隙を見てイリスを一気に襲わせた。
「うわあああああっ!」
『あああああああっ!!』
受けたダメージの大きさにイリスは吹き飛ばされ、その弾みに変身とミュウとの合体が解除されてしまった。特に鎧として攻撃を受け続けたミュウのダメージは大きく、彼女の左手からは一筋の鮮血が流れている。
「ミュウ!大丈夫!?」
キリアが倒れこむミュウのもとに駆け寄り、彼女に肩を貸して立たせた。状況は不利と見て、レイが口笛を吹いてアクアドルフィンを呼び寄せる。
「ここは退いた方がいいみたい。頼んだわよ、アクアドルフィン!」
レイの言葉に応えてぴゃーと鳴き声を上げると、アクアドルフィンはその額から音波を放ってコーディとパメラを攻撃した。二人がそれにひるんでいる隙に、誠人達は何とか敵の前から逃走した。
「ふん、俺達から逃げられると思うなよ、ガキが・・・!」




