第21話「離れる体、すれ違う想い」アバン
第21話です!今回と次回は、誠人とミナミの甘酸っぱい(?)物語をお届けします。
それは、暑い中にも爽やかな風が吹くようになった、とある日の昼下がり。都内某所のとある小山に、誠人とカグラ、そしてキリアとミュウの姿があった。
「もうそろそろ時間ですけど・・・カグラさん、本当にここなんですか?」
「ああ、ミナミがそう言ってきたんだ。ここで間違いないはずだけど・・・」
何かを待ちわびるように声を上げた誠人に、カグラが言葉を返したその時。突如として四人の頭上の青空を裂き、七色の光線が一筋、誠人達の近くの地面に降り注いだ。
「あ!来たよ、誠人君!」
ミュウが言葉をかけると、誠人の表情がようやくほころんだ。やがて光の中から、一人の少女が姿を現した。
「たっだいま地球!ミナミ・ガイア、二週間ぶりに帰ってきましたよ!」
その少女は、ショッキングボムの摘出手術を終え、銀河警察の管理する病院からようやく退院したミナミであった。その姿を見るなり、誠人はこらえきれず彼女の方へ駆けだした。
「ミナミ・・・ミナミ!」
「あ・・・誠人さん!来てくださったんですね!」
ミナミも歓喜の笑みを浮かべながら、誠人の方へ駆けだす。二人はやがて手が届くほどの距離まで迫ったが、ミナミの体に触れようとした誠人の脳裏に、突如としてある映像がフラッシュバックした。
「・・・!」
それは、ショッキングボムによって誠人とミナミの目の前で爆死した、哀れなサラリーマンの姿であった。ショッキングボムを体内に入れられた人間は、他人に触れられるとその衝撃で体内の爆弾が起動し、内側から爆死してしまう。誠人はそれを思い出し、ミナミに触れようとしていた手を思わず引っ込めた。
「誠人さん?・・・もう、私の体に触れても大丈夫ですよ?ほら!」
誠人の心中を悟ったのか、ミナミは彼の手を取って自分の肩に触れさせた。それを見てようやく、誠人はもう彼女の体内に爆弾がないことを思い出した。
「そうだったな・・・・・・お帰り、ミナミ」
「はい。やっと・・・やっと、帰ってこられました。やっと・・・やっと・・・!」
ミナミは声を詰まらせると、誠人の体に勢い良く抱きついた。あまりに急な展開に、誠人は思わずしどろもどろの声を上げる。
「お、おい・・・皆見てるって・・・!」
「寂しかったです、ずっと・・・・・・でも、今日からは、また一緒にいられます。それが・・・嬉しくて・・・・・・」
そう口にしたミナミの目からは、一筋の涙が流れていた。それを見て、誠人も思わず彼女の体を抱き返す。
「ああ・・・僕も嬉しい。とても」
そんな二人の様子を、カグラ達は優しい笑みと共に見つめていた。三人とも、互いに会いたくても会えなかった二人の心中を、嫌というほど理解している。
「よかった・・・やっと会えたね、あの二人」
「うん・・・誠人君もミナミ先輩も、すっごく幸せそう・・・」
抱き合う二人をどこかうらやましそうに見やりながら、キリアとミュウが言葉を交わす。だが、ただ一人カグラだけは、二人の再会を心から祝福できずにいた。
(確かに、今の二人は幸せだろうさ。けど、あたし達は銀河警察の一員。銀河から犯罪が消えない限り、あたし達に本当の幸せは・・・訪れない・・・・・・)
「誠人さん、デートの約束、忘れてないですよね?」
「ああ、もちろん。砂浜で海に沈む夕日が見たいって、言ってたよな?」
カグラは表情を引き締めると、浮かれ気分で誠人と話すミナミのもとへ歩み寄った。
「お帰り、ミナミ。再会を祝したいのはやまやまだけど、さっそく次の仕事が舞い込んできそうだ」
「え?次の仕事?」
カグラはミナミの問いかけにうなずくと、GPブレスにとある情報を表示させ、それをホログラムで映し出した。
「何々?宇宙マフィアのバンダッドファミリーが・・・一斉脱獄したあああっ!?」
表示された情報に目を通したミナミが、素っ頓狂な叫び声を上げた。――まさにこの瞬間、誠人達の新たな戦いの火ぶたが、音もなく切られたのだった。




