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チーム・イリスの事件譚  作者: 髙橋貴一
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第17話「その強さ、迅雷の如く」アバン

第17話です!前回登場した新たな戦士・デュアルの、もう一つの形態が活躍する回となっております。二重人格の刑事がもたらす新たな展開を、是非ご覧ください。


 突如として誠人達の前に現れた、茜に雇われた家政婦と名乗る女・シルフィ。彼女は誠人を襲うユナイトハンターの兄弟・クリムゾンブラザーズの前に立ち塞がり、手にするベルトでイリスとは全く違う戦士へと変身を遂げた。

「銀河刑事デュアル。これが、(わたくし)のもう一つの名です・・・!」

 その圧倒的な力で、シルフィはクリムゾンブラザーズの弟・ザンを打ち倒した。だがその直後、彼女の体に宿るもう一つの人格・ディアナが目覚め、シルフィの時とは全く異なる姿のデュアルとなってザンの兄・レグに戦いを挑んだ。

「さあ・・・遊んでやるぜ!来いよ!」

 手にしたハンマー型の武器・プラモデライザーを引きずりながら、デュアルがレグに迫っていく。レグは一瞬しり込みしたものの、自らを励ますように雄叫びを上げてデュアルの方へ駆けていく。

「ふん!」

「おらあっ!」

 レグが素早く繰り出した槍を、デュアルはハンマーで弾き飛ばした。レグはもう片方の槍で再度攻撃を試みるも、それより早くデュアルがプラモデライザーでレグを打ち据えた。

「はっ!はっ!・・・おりゃあああああっ!!」

 デュアルはプラモデライザーで、レグの体を執拗に打ち据えていった。そして相手の動きが止まると、彼女は一本足打法の要領でハンマーを勢いよく振り回した。

「はあっ!」

「ぐわああああああああああっ!!」

 強烈な一撃が炸裂し、レグは大きく吹き飛んだ。彼は大ダメージを受けていたが、それでも気合でなんとか立ち上がってみせた。

「おのれ・・・ザンの仇は、きっと取ってやる・・・!」

 そう捨て台詞を残し、レグは体を高速回転させてその場に穴を掘り、地下に潜っていった。イリスとデュアルはすぐに穴へ駆け寄ったが、レグの気配はもうどこにも残っていなかった。

「逃げたか・・・できれば、二人とも倒しておきたいところだったけど・・・」

 ソフィアとの合体を解除し、誠人が苦々しそうに声を上げる。一方のデュアルもその変身を解き、ディアナの姿へと戻っていった。

「はっ、まあいいさ。次に奴が出てきたときは、今度こそオレが仕留めてやるよ」

 そう口にしたディアナの顔を、誠人は思わずじっと見つめた。彼女の顔立ち、そして左右で色が違う瞳は、紛れもなくシルフィと同じものだった。また、その声もよくよく聞いてみれば、シルフィに似ていると言えなくもない。

「・・・あん?おいボウズ、お前何オレの顔じっと見てんだよ?」

 見られていることに気づいたディアナが、誠人に向き直って問いかけてきた。

「あ・・・いや、別に・・・」

「さては・・・オレに惚れた、とか?いやあ、まあ無理はないけどさ。ほら、オレってよくよく見ると、結構かわいい顔してんだろ?」

 誠人の顔を覗き込むように、ディアナが顔を近づけてきた。どこか気恥ずかしさを覚えながら、誠人は彼女から視線を逸らして言葉を返す。

「ええっ?・・・ま、まあ・・・綺麗だとは、思いますけど・・・」

「ちょ、ちょっと!何誠人さんに言い寄ろうとしてるんですか、あんた!?」

 黙って見ていられなくなったミナミが、ディアナを遠ざけようと詰め寄ってきた。ディアナがそれをひらりとかわすと、標的を失ったミナミの体は直線上にいた誠人にぶつかり、キスの一歩手前の状態になった。

「わっ!」

「ひゃあっ!」

 突然互いの顔が目と鼻の先まで迫り、誠人とミナミは同時に短い悲鳴を上げた。顔を真っ赤にして離れる両者を見て、ディアナが心からおかしそうに笑い声を上げた。

「あーっはっは!いやあ、いいカップルだな、お前ら!」

 ディアナの笑い声に、誠人とミナミはますます自分の顔が熱くなるのを感じた。と、その時だった。

『こ・・・こら、ディアナ!あなた、誠人お坊ちゃまになんて無礼な真似を・・・!』

「うっ!・・・シルフィ、お前・・・急に出てくんじゃ・・・ねえよ・・・!」

 ディアナの体からシルフィの声が聞こえたと思うと、ディアナは急に胸を押さえてその場にうずくまった。

『急に出てきたのは、そっちが先でしょうが!とにかく・・・私に体を返しなさい!』

「お・・・おい!もう少し・・・体使わせろ・・・って・・・!」

 ディアナが絞り出すように声を発した、次の瞬間。彼女の姿は一瞬のうちに、シルフィへと戻っていた。

「はあっ、はあっ・・・・・・ま・・・誠人お坊ちゃま!ミナミ様!」

 シルフィは誠人とミナミを視界にとらえると、二人のもとに駆け寄って何度も頭を下げた。

「私の『同居人』がとんだ御無礼をいたしました。あの子には、後で私からきつく言っておきますので、どうか・・・どうかご容赦を!」

「い・・・いや・・・僕は、別にいいんですけど・・・」

 誠人はシルフィに言葉を返すと、気遣うようにそっとミナミに視線を向けた。そのミナミはというと、先ほどの赤面していたしおらしい姿から一転して、後悔と未練に満ちた表情で言葉を発していた。

「うう・・・よくよく考えれば、さっきのは誠人さんにキスできる大チャンスだったのに・・・」

「お前な・・・もう、ツッコむ気力も起きない・・・」

 予想外の展開の連続に、誠人はすっかり疲れ果てていた。そしてそれは、事態を見守っていた他の刑事達も同じだった。

「なんか・・・キリアもう、疲れちゃった・・・」

「うん・・・ボクも、同じく・・・」

 今にも消え入りそうな声を上げると、キリアとミュウはその場に座り込んだ。カグラとレイも、ひたすら頭を下げるシルフィを見つめて脱力したような声を上げる。

「まさか・・・これから事あるごとに、こんな光景見ることになるわけ・・・?」

「そういうことになりそうね。・・・それにしても、いろんな意味ですごい刑事が、この星にやってきたもの・・・」

 その一方で、ソフィアはシルフィの腰に巻かれたGPドライバーに視線を向けた。そのベルトに秘められた恐ろしいほどのパワーを、彼女はその肌で強く感じていた。

(あのベルト・・・普通じゃない性能を秘めてる。イリスバックルでも、及ばないほどの・・・)

 そしてそれは、一同の戦いを観察していたDOE社のエージェント・ファルコも同様に感じていた。彼は誠人に平謝りするシルフィに目を向けると、誰に言うともなく呟いた。

「二重人格の刑事に、銀河警察が開発した最新のベルト・・・話の種には困りませんが、我々の商売には邪魔になってくるかもしれませんね・・・」

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