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チーム・イリスの事件譚  作者: 髙橋貴一
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第2話「戦う決意」アバン

第2話となります。今回も、アバン、前編、後編と分けて投稿します。

登場人物たちの名前の読み方が分からん!という方は、第1話からご覧ください(ダイマ)

 その日、虹崎誠人のクラスは、突如として転校してきたミナミ・ガイアの話題で持ちきりだった。

「ねえねえ、ミナミさんアメリカのどこから来たの?」

「カリフォルニアのサンタバーバラに別荘がありまして、生まれてからずっとそこで暮らしてたんですよ。でも異文化を知りたいと思いまして、親の反対を押し切って飛び出してきちゃいました」

「日本語ペラペラじゃん!どこでそんなに勉強したの!?」

「ふふっ、それは独学です。ネットやテレビで、日本のアニメとかニュース番組を日本語で見てたら、体が覚えちゃいまして」

「すっごーい!頭いい!」

(嘘つけ・・・全部このブレスレットのおかげだろうが・・・・・・)

 柚音を始めとする女子生徒達を一々感嘆させるミナミに、隣の席の誠人が思わず心の中でツッコんだ。その彼の左腕にも、ミナミの物と同じブレスレットがはめられていた。




「これはGPブレスといいまして、銀河警察の隊員が全員身に着けている必需品です。つまりこのブレスレットこそが、銀河警察の一員であるという確かな証明なのです」

 昨晩、ユナイトハンター・バリィとの戦いを終えて帰宅した後、ミナミとレイが腕のブレスレットについて説明した。

「ちなみに、私とミナミが今当たり前のようにあなたと会話できてるのも、このブレスレットのおかげ。このブレスレットは万能翻訳機、これをつければどんな星の言語も聞き取れるし、口にした言葉は相手にとって、最も聞きなれた言語に自動翻訳される」

「じゃあ、もしそれを外してしゃべったら・・・」

「試しにやってみますか?」

 ミナミはブレスレットを外すと、再び誠人に話しかけた。だが彼女が口にした言葉は、誠人にとって全く理解できない言語で発せられていた。

「分かった!分かったから、それまたつけて」

 誠人の言葉を理解できない、といった風に、ミナミが小首をかしげた。困惑する誠人を見かね、レイがミナミに声をかける。

「ブレスレットをつけろ、だって」

 その言葉に納得したように、ミナミは再びブレスレットをつけた。

「ちなみにさっきの言葉、『誠人さん大好きです』って意味だったんですよ!」

「ああ、そう・・・・・・」

「ちなみに、他にはこんな使い方もできる」

 そう言うと、レイはイルカのような物が描かれた一枚のカードを取りだし、GPブレスの中央にかざした。

『Start Up、Aqua Dolphin』

 ブレスレットから電子音声が鳴り響き、次の瞬間空間に小さなプラモデルのような物が現れた。プラモデルは一瞬でパーツが合体し、青いイルカのようなロボットになってぴゃーと一声鳴いた。

「この子の名前はアクアドルフィン。ミナミが使うランドタイガーと同じ、プラモデロイドの一つ」

「プラモデロイド・・・?」

「銀河警察の隊員が持つことを許されている、サポートロボットのことです。その起動にも、このGPブレスが必要なんですよ」

『Start UP、Land Tiger』

 ミナミは虎の絵が描かれたカードを、自らのGPブレスにスキャンさせた。すると空間に現れたプラモデルが一瞬で虎の形に合体し、アクアドルフィンと共に近くを動き回った。

「他にもこのブレスレットには、通信や検索など、様々な機能が備わっている。・・・本来なら銀河警察の隊員しか持てない物だけど・・・」

 そこで一旦言葉を切ると、レイは懐から新たなGPブレスを取り出して誠人に差し出した。

「βにも一つあげる。きっと持っていた方がいい」

「え?ぼ・・・僕も?」

 思わぬレイの言葉に、誠人は思わず声を上ずらせた。

「いい考えだと思います!さっき説明しましたけど、誠人さんはほんっとにいろんな奴らから狙われているんですから!いざという時にこれがあれば、きっと誠人さんのためになります!」

「そりゃあ、そうかもしれないけど・・・」

「じゃあ決まり。今から肌身離さず持ち歩いてね、β」

 有無を言わさぬレイの言葉に抗えず、誠人は受け取ったブレスレットを左腕にはめた。ミナミのレクチャーを受けてあれこれいじってみると、なるほど様々な機能を備えた万能品であった。

「なるほど・・・こりゃ、すごいな・・・」

「そうでしょ?私もレイも、このブレスレットで地球のこと、いろいろ勉強したんです。自分から言いださない限りは、誰も私達が異星人だって気づかないでしょうね」




 異星人と気づかれないのは、確かに任務の上では好都合だろう。だがこの場では、誠人にとってひたすらに鬱陶しいだけであった。

「ねえねえ、誠ちゃんとはどういう関係なの?なんか顔見知りみたいだったけど・・・」

 柚音が問いかけると、ミナミは待っていましたとばかりに笑みを浮かべた。

「ふっふーん。実は私と誠人さん、海よりも深く山よりも高い、そんな関係なのですよー!」

「な・・・!?」

 話を聞いていた誠人は、ミナミのその言葉に思わず声を上げた。

「わー、やっぱり!なーんかそんな気がしたんだ、あたし!」

「さっすが柚音さん、鋭いですねぇ。ほら、このブレスレット、私と誠人さんお揃いなんですよー!ねー?」

 ミナミは誠人の左腕を握ると、そこにはめられたGPブレスを見せつけるように周囲の女子達に示した。二人の腕にはめられているブレスレットに、女子達から悲鳴のような歓声が上がる。

「お、お前な・・・!」

「誠人さん、私は本気ですからね。いつかぜーったい、あなたを落として見せますよ。てへっ♪」

 満面の笑みでウィンクするミナミに、誠人は怒りを通り越して呆れのような感情を抱いた。再び柚音達と話し始めたミナミを尻目に、誠人は自分の机に突っ伏した。

「・・・ドンマイ、虹崎君」

「ああ・・・最悪だよ、ほんと・・・」

 いつの間にやら近くに来ていた星南に言葉を返すと、誠人は深くため息をついた。こんなことがあと一年は続くのかと思うと、彼の胸は無性に重くなるのだった。




 誠人が人生最大のため息をついていた、まさにその頃。一隻の小型宇宙船が、地球に向けて進んでいた。

「よーしお前達、そろそろゲーム会場に到着だ。準備はいいか?」

 褐色の肌の中年と思しき外見の男性が、ハンドルを握りながら背後にいる者達に声をかけた。そこには彼と同じく褐色の肌の中年女性と、高校生か大学生くらいの少女、そして中学生くらいの少年の姿があった。

「もちろん!今回は僕が優勝なんだからね、パパ!」

「あらあら、ソウジったら張り切っちゃって。なら、ママもがんばって狩るとするわ」

 そう言葉を交わした少年と女性の手には、不思議な形の大型銃が握られていた。するとタブレットのような物をいじっていた少女が、ふと驚いたような声を上げた。

「ねえ、ちょっと待って。今から行くテラって惑星、どうやらユナイト持ちが一人いるみたい」

「何?そりゃあ本当か、カナン?」

「うん、ちょっと待ってて・・・・・・ほら、見てパパ。これがユナイト持ちの坊やの情報」

 カナンと呼ばれた少女がタブレットを操作し、船内に一人の少年の情報を映し出した。

「なるほど、こりゃあ好都合だ。狩りを存分に楽しむついでに、このガキを捕まえてぼろ儲けといくか・・・!」

「うんうん、そうしようそうしよう!」

「あなた、私達ついてるわ!この坊やを捕まえて闇マーケットで売り払えば、私達銀河警察の手の及ばない星域にだって逃げられるわ!」

「ああ、それで決まりだマリーヌ。よし・・・テラに向かって直行だ!」

 男は唇の端に笑みを浮かべると、宇宙船のハンドルを勢いよく動かした。欲深く光る彼とその家族の目には、虹崎誠人の顔写真が映っていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] こういう解りやすい悪者って最近の作品だと見ないからなあ… ぶっ殺してもやったぜぐらいにしか思えないぐらいが解りやすくて良い
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