第7話「その森ガール、刑事につき」アバン
今回、また一人新たなキャラクターが登場します。サブタイトルが完全に某映画のパロディですが、新キャラの特徴を表せる他のタイトルが思いつきませんでした・・・
彼女には、ある夢があった。
それは、かつて滅びた故郷によく似た、地球という星を訪れることであった。
「うわあ・・・綺麗・・・」
そしてこの日、ついに彼女はその夢を叶えた。その緑色の瞳に映るのは、一面に広がる美しい森。耳をすませば川のせせらぎが聞こえ、周囲の木々に茂る葉は陽光を浴びて、生き生きとした輝きを放っている。
「すごい・・・・・・やっぱり、この星に来たのは正解だった」
一本の大木に登ってその枝に腰掛けると、少女はほっと溜息をついた。だがその時、感慨にふけっていた少女の耳に、左腕にはめたブレスレットからの着信音が飛び込んできた。
「はい、こちらミュウ。どうぞ」
「ガイルトンだ。どうやら無事に、地球に到着したようだな」
少女の左腕にはめられているのは、銀河警察の一員であることを示すGPブレスであった。そしてその画面には、太陽系支部長であるジョージ・ガイルトンの姿が映っている。
「はい、たった今!もうすっごくきれいな場所に降り立つことができて、ボク感動してます!」
「そうか。だが、これは決して旅行や遠足ではなく、任務であることを改めて理解してもらいたい。・・・君の地球での任務は、分かっているね?」
「はい。ミナミ先輩やレイ先輩を助けて、えっと・・・ええっと・・・・・・」
何かを必死に思い出そうとするかのように、ミュウと呼ばれた少女が額に指を当てた。それを見て小さくため息をつくと、ジョージは一人の人物の名を口に出す。
「虹崎誠人君を警護する、だろ?」
「あ、はい!そうです!護衛対象は虹崎誠人さん、もう少ししたらすぐにその人の家に向かいます!」
「ああ、そのことなのだが・・・・・・実は今、少しトラブルが起こっているようで・・・」
ジョージがバツの悪そうな表情を浮かべた、その時であった。突然、近くから何者かの足音が聞こえた。
「長官、また後で連絡します!」
ミュウは通信を一旦打ち切ると、GPブレスを戦闘モードに切り替えて周囲に目を凝らした。すると彼女が登っている木の下に、灰色の強化スーツを纏った人物がおぼつかない足取りで近づき、その場にばたりと倒れこんだ。
「あれ・・・イリススーツだ!・・・ってことは、まさかあの人・・・!」
慌ててミュウが木から下りると同時に、倒れこんだ人物のスーツが強制的に解除された。露わになったその素顔を見た時、ミュウの顔に驚きの色が浮かんだ。
「この人・・・虹崎、誠人さん・・・!」
ミュウの緑の瞳に映る、気を失って倒れた少年。それこそ彼女の護衛対象である、虹崎誠人その人であった。