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チーム・イリスの事件譚  作者: 髙橋貴一
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第5話「令嬢刑事」アバン

第5話です!最近この小説を読んでくださる方が少しずつ増え、ブックマークや評価までいただいてしまいました。本当にありがたく思っています。

これを励みとして今後もがんばってまいりますので、是非お付き合いいただければ幸いです!

 この広い宇宙の彼方には、銀河警察によって造られた刑務所が無数に存在している。そこには様々な罪を犯した幾千・幾万もの犯罪者たちが収監され、刑期を終えるまで黙々と科された労務に励む者もいれば、他の受刑者といざこざを起こす者、さらには刑務官の隙をついて脱獄を企てる者すらいる。だが全宇宙の英知を結集して造ったと言っても過言ではないこの刑務所は、脱獄防止のためのあらゆる設備が整えられている。この宇宙刑務所を脱獄するのは、不可能だと誰もが思っていた。



 ――だがその日、ついに不落の伝説は破られることとなった。事件が起きたのは、太陽系の彼方に設置された、宇宙刑務所505号。そこに収監されていた長い黒髪と褐色の肌の女が、共同の浴場でシャワーを浴び続けていた。

(ナンバー)2063、とっくに入浴時間は過ぎてるわよ」

 囚人たちを見張っていた女性刑務官が、いつまでも体を洗っている女囚に厳しく声をかけた。

「聞こえないの?№2063!」

「・・・ああ、これは失礼」

 女囚が刑務官の方へと振り向いた、次の瞬間。彼女の右手の爪が勢いよく伸び、刑務官の体を串刺しにした。

「爪の手入れに時間がかかっちゃって」

 女囚は倒れこんだ刑務官の遺体から、浴場用のカードキーを盗み出した。そしてそれを使って浴室を後にすると、事前に決めていたルートを通って刑務所の出口を目指す。

「お前!どこから・・・うわっ!」

 その途中何人もの刑務官に遭遇したが、女囚は両手の爪を矢のように飛ばし、刑務官たちを殺害して先に進んだ。中にはGPブレスで攻撃を仕掛ける者もいたが、女囚は目にもとまらぬ素早い動きでその攻撃をかわし、逆に相手の懐に忍び込んでその命を絶ち、さらに先へと進んでいく。

 そしてついに、女囚は刑務所の玄関口である宇宙船の発着場に辿り着いた。だがそこにはすでに、脱獄を知った刑務官たちが大挙して待ち構えていた。

「止まれ!№2063、止まるんだ!」

 無数の刑務官を前にしても、女囚はまったく恐れることはなかった。そして刑務官たちがGPブレスから光弾を発射したその瞬間、女囚は自分以外の動きがスロー再生の如く遅くなるほどの高速移動で光線の雨をかわし、無数の敵に向かって連続で爪を発射してその命を奪った。討ち漏らした相手も文字通り寸刻で片づけると、彼女は手近な刑務官の死体を担いで近くの宇宙船に乗り込み、遺体の指紋を使ってそのロックを解除した。

「よし・・・これでムショ暮らしからはおさらばね・・・!」

 女囚は美しい顔に邪悪な笑みを浮かべると、宇宙船を発進させて刑務所の外に出た。そして搭載されていたビーム兵器を一斉に刑務所に向かって発射し、跡形もなく破壊した。

「ははははは!木っ端みじんね、ざまあみろ!」

 女囚は勝利の高笑いを上げると、宇宙船のコンピューターを起動して逃亡先の星を吟味した。

「うーん、ここは気候が不安定すぎる・・・は!?たった二時間しか昼間がない!?ちょっと勘弁してよ、ろくな星がないじゃない・・・ん?」

 その時、女囚の目がある星の情報を捉えた。ともすれば見落としてしまうかもしれないほど小さな星ではあったが、そこは驚くほど環境に恵まれた星であった。

「昼が夜より少し長く、気候も季節によって安定・・・え!?しかも銀河警察の拠点が一個もない!?最高じゃんこの星!・・・決めた。しばらくはこの星で、銀河警察の目をやり過ごす・・・!」

 情報を見るなり即決すると、女囚はすぐにその星に針路をとった。彼女が目にするコクピットのモニターには、惑星テラ――すなわち地球の情報が映し出されていた。

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