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チーム・イリスの事件譚  作者: 髙橋貴一
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第4話「水火の交わり」アバン

「うーん、久しぶりの我が家!やっぱりここが一番落ち着きますね、誠人さん!」

 その日。先の事件での負傷から二週間ほど入院していたミナミが、ようやく虹崎家に帰ってきた。

「『我が家』っていうか、居候だろお前は・・・・・・それよりも、思いのほか早く腕がよくなって、良かったな。医者もびっくりしてたぞ、とても雷に打たれたとは思えないって」

「ガイア星人は地球人に比べて、体だけは丈夫ですから。・・・さて、今日から仕事復帰です!またピンチになったら、いつでも私と合体していいですよ、誠人さん!」

「ああ、その時が来たらよろしく」

 すっかり元気になったミナミに、誠人とレイは顔を見合わせて安堵の笑みを向け合った。とその時、玄関のチャイムが鳴った。

「はーい・・・」

「おお、少年!ミナミの退院日、今日だったよね!?」

 ドアを開けるなり、両手に一杯の荷物を抱えたカグラが、家の中に上がり込んできた。

「え・・・ええ、まあ・・・」

「これ、お祝い。せっかくミナミが退院してきたんだから、今日はこれで豪華な夕食でも作ってあげて!」

 カグラが誠人に手渡した袋には、様々な食材やジュースがぎっしり詰め込まれていた。

「はあ・・・ありがとうございます、カグラさん」

「おや、カグラ!もしかして、私の顔を見に来てくれたんですか?」

「おお、ミナミ!良かったよ、無事に退院できて!」

 少し大げさな声を上げると、カグラは様子を見に来たミナミに抱き着いた。

「えへへ、もともと大した傷じゃありませんでしたから。それより、今日は晩御飯でも一緒にどうです?誠人さんが私の退院記念に、そりゃあ豪華な食事をふるまってくれるでしょうから」

「お、おい!勝手に決めるなって・・・」

「いや、遠慮しとくよ。・・・いるんでしょ、レイの奴」

 カグラは表情を暗くすると、ミナミがやって来た玄関に続く廊下に目を向けた。するとその奥から、これまた暗い表情のレイが姿を見せる。

「ええ、残念だけどあなたの予想通り。・・・それで?用はもう済んだ?だったら早めにお引き取りいただけると、嬉しいんだけど」

「ちょ、レイさん。せっかくミナミの退院をお祝いに来てくれたのに、その言い方は・・・」

「いいよ少年、ありがと。・・・ああ、お望みどおりに帰ってやるよ、オケアノス人。それで文句はないんでしょ?」

「ええ。あなたが私の視界から消えてくれるなら、これほど嬉しいことはない」

「ふん・・・じゃあミナミ、少年、また今度ね」

「あ、カグラ・・・」

 ミナミの制止も聞かず、カグラは一瞬レイを睨みつけて去っていった。これにはさすがのミナミも我慢ができず、思わずレイに詰め寄った。

「レイ、何もあそこまで言う必要ないじゃないですか。・・・いくらカグラと仲が悪いからって、あれは明らかに言いすぎです」

「あなたに彼女との仲をどうこう言われる筋合いはない」

 レイは冷たく言い捨てると、さっさと奥にある自分の部屋へと引っ込んでいった。

「レイ!・・・ああもう、なんでよりにもよってあの二人を組み合わせちゃいましたかねえ、うちの長官は・・・!」

 苛立ち混じりの声を漏らすと、ミナミは治ったばかりの右手で髪をかきむしった。それを見てある決意を固めると、誠人はミナミに声をかけた。

「なあ、ミナミ。・・・ちょっと、ここじゃない場所で話せないか?」

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