緊急クエスト
第1章2話
黄金のミノタウロス討伐編
フィンリルの目的は亡国に足を踏み入れ、破壊の化身黒龍討伐を悲願とした冒険者の1人である。
亡国に行くためには国の成り立ちや、状況、そして最も知っておきたいことが山ほどある中で、皇国に君臨していた皇帝には謎が多く、どの国にある書物でも皇帝の全てが謎に包まれている。どの書物から分かることは今より700年前に己の力のみで50年足らずのうちに大陸統一を成し遂げるまで力を持った者ということぐらいである。わずか50年で巨大な大陸を支柱に収める能力からすると書物や伝承としての愚者の王ではなかったということではないだろうか。
そんな皇帝のことを知るため俺は情報の行き交う国メクトシストルへと向かうのである。
ヴァイゼリート王国からメクトシストルへは早馬で走ったとしても2ヶ月は確実にかかる距離で途中には一般人なら朝晩の温度差で活動することが難しい砂漠が拡がっている。この砂漠にはモンスターが多く生息しており普通の旅人や商人は好んでこの砂漠を横断しようとは考えない程である。大抵のものはモンスターや温度差、魔力濃度を避けて、金をかけてポータルを使うのが一般的である。
そんな砂漠をフィンリルは旅人らしい日除けのローブをかぶり食料や荷物を身につけ砂漠を1人歩いている。
「さて、王国を出て2週間程が経つがやはり魔法を使うべきだったか?」
各国には、細かな条件や新差があるが古代技術のポータルで国家間を移動することが出来るが一定の魔力がなければ使うことが出来ないため、普通はポータル専用の国お抱えの魔導師がポータルを起動させるため非常に高額になってしまう。そして欠点として膨大な魔力を秘めた者は使用できないようになっている、これは全国が決めた決まりで、例外はない制約のひとつだ。また、同時に移動できる人数は5人まででS級のパーティであれば、一度に3人までしか転移することが出来ない、各自の魔力の量によっても転移できる人数が変わってくる。そして、SS級冒険者はどんな緊急時でもポータルを使用することができない規約になっている。これは国を個で陥落させることの出来るSS級冒険者が国を裏切らないかを心配して規約であり、この規約を破ればSS級の称号は剥奪され他のSS級冒険者に討伐した外来され1対4の構図が構築されてしまう。他のもかつて世界の闇をはらった勇者の末裔が討伐隊を引いきると言う段取りにもなる。
「そんなこんなで俺はポータルが使用できずに自分の足で砂漠を歩いている。」
と発してみるもののやはり誰も返事を返すものはいない。
実の所を言うと転移魔法は使うことが出来るが、1度の転移に莫大な魔力を消費する上に、1度目にし、足を運んだ地にしか転移が出来ない。
案外見知らぬ土地を旅するのは楽しいと感じている。