33.街へ出かけました。
大変お待たせ致しました。すみません。
家の無線LANが繋がらなくなりました。これどうしたらいいの。
言うの忘れてたんですけど、ここから新しい話に入ります。
ジョシュが部屋から出てくるようになってまた穏やかな日常が戻ってきた。
あれから私は夕食後や休日にジョシュと紅茶を入れる練習をしている。自分で入れてみると中々奥が深い。
ジョシュとは少しぎこちない会話を繰り広げているけれど、ちょっとづつ打ち解けて来ていると思う。とても嬉しい。
しかしやはり私とお義父様との事を聞かれることも多くて、その度に少し顔が強張るのが気になる。
本人は「もう誤解してる訳じゃないから大丈夫」と言っているが、本当だろうか?わかっていても感情が付いていっていないんじゃないか?
まぁそれでも最終的にはそのあたりも、一緒に過ごす時間を丁寧に積み重ねる事で解決してくれるんじゃないかと思っている。
そして今日の4人で囲む夕食の席を見て、家族そろって食事をすることが出来るのは幸せなことだなと感じていた。
嫌われていても、まぁ少し強引だったけれど、きちんと向き合って良かった。
この幸せが続くように私も努力していこう。
……そういえば私は前世でこんな風に誰かと親しくなるために努力したことがあっただろうか?
皇太子妃になる努力はしていたと自信を持って言える。
しかし――そうだ。あの頃の私を見る皇太子の目は少し前のジョシュのようだった。
それでも私は、彼に対して、何も――
「3日後の休暇のことなんだけど」
お義父様が少し硬い表情で話し出したのを聞いてハッとした。
どうやら考え込んでしまっていたようだ。
「親子水入らずで町に出かけないかなって」
ジョシュも落ち着いたし、親睦を深めるいい機会だと思う。
しかしなんだか言いづらそうだ。
あぁ、なるほど。
「はい。お気遣いなく。皆でゆっくりしていらして下さい。私は鍛錬と趣味の術式でも組んでいますので」
「アリア。気付いて。私は今すごく見られてるよ」
「それは今まさにお義父様が話されているからでは?」
話している人の方を見るものではないだろうか、普通。
「一緒に、だよ。アリアも一緒に4人でどうかな?」
親子水入らずとの事だったし、言いづらそうにしていたから遠慮して欲しいのかと思ったが、違ったのか。
「なるほどイクスベリー家水入らずと言うわけですか」
「言い直したね……ランバート、ジョシュア、そんなに見なくてもわかってるから。大丈夫だから。あのね、アリア私たちは親子だよ。わかってるかな?」
「? はい。わかっています」
私がお義父様の娘として、イクスベリー家の人間として登録されていなければ、私は今ここにいない。
「私は娘としてアリアを愛しているよ」
「ありがとうございます。私もです。ふふっ。なんだか照れてしまいますね。お義父様のそういうところ、とても尊敬しております」
いきなり何を当たり前の事をと思ったら、前振りだったらしい。
養女である私に対しても気配りを欠かさないなんて、本当にできた人だ。彼の娘になれて良かった。
「うん。そっか…………………………とりあえず次の休暇は親子4人水入らずで出かけるから、そのつもりでいてね」
その返答が少し疲れている様に見えて、休暇の日は休んだ方がいいのでは?と提案してみたが、お義父様だけでなくお義兄様とジョシュにも問題無いと言われ、 結局出かけることになった。
大丈夫なのだろうか?
3日後、家族みんなで出かける約束の日はとても良く晴れていて、絶好のお出かけ日和となった。
4人で一緒に馬車に乗って町へと出かける。
もちろん護衛は別の馬車に乗って付いてきてもらっている。
「休暇が取れて良かったよ……」
「本当ですね。まぁ2日前とかでは無く、だいぶ先に知らせてくれるようになったので、まだ良かったですよね」
家族で出掛けると聞かされた少し後、エリファレット様から他領の視察の帰りに寄る旨が知らされた。
その為お義父様はとても忙しくなり、今日まで一緒に夕食を取ることも難しくなっていた。
しかし頑張った甲斐あって、今日の休暇をもぎ取ることができたのだ。
エリファレット様は本当に全ての領を回るつもりのようで、今回の視察先は古参貴族派、振興貴族派、中立派全てが含まれている。
一つ一つの視察先で滞在時間は短いが、男爵位の貴族のもとにまで行くとなると全ての領を回るまで相当な期間がかかるだろう。
「今は殿下もアリアも小さいからいいけど、大きくなってきたら頻繁に家に来るのは遠慮してもらわないといけないね」
「? なぜ?なにかアリアに不利なことでも?」
お義父様の言葉にお義兄様が眉をしかめる。
「いや、友人と言っても男女だから、大きくなってきたら色々噂とか立っちゃうだろうし、その辺はちゃんと配慮しとかないとなと思ってるよ」
「……今すぐ我が家に来るのは遠慮してもらったらどうだろう」
「うーん、それは無理だね。大丈夫。今はまだ小さいから、微笑ましい話しか無いよ」
お義兄様が苦虫を噛みつぶしたような顔をした。
そんな顔をする程のことか?心配してくれているのだろうか。
「大丈夫ですよ。むしろ第一王子と親しい噂は婚姻にもプラスに働くでしょう。ね、お義父様」
王族と縁を繋ぎたい者からしたら、これはメリットだろう。
既成事実があるわけでもないただの噂なら全く問題ない。
「まぁそうとも言えるけど。別にうちは政略結婚とかしなくても問題ないからね?アリアの好きな人と結婚するといいよ。相手が貴族の方がアリアの能力は生かせるかなとは思うけど」
好きな人、ね……。
「お気遣いありがとうございます。ですが嫁がせたい先などありましたらご遠慮なさらずにおっしゃってくださいね」
「姉様は好きな人と結婚したいって思わないの?」
「……そうね。お相手の方を好ましく思えるといいわね」
貴族としての義務を果たすのに、支障が出ない程度ならだが。
私は貴族で、結婚は一生に一度の大きな契約だ。できるだけ有益に使いたい。
そして結婚相手とは互いに尊敬できる関係性を築けるよう努力したい。
……今度こそ。
「アリア、君は……」
馬車が止まり外からノック音が響き、お義兄様の言葉を遮った。目的地に着いたようだ。
話が途中だったのでお義兄様を見たが、彼は少し笑ってもういいという風に首を振った。
「じゃあ出ようか」
「アリアのエスコートは僕がしても?」
「構わないけど……いいかい?アリア」
「ええ。よろしくお願い致します。お義兄様」
先に馬車から降りたお義兄様が差し出した手を取って馬車から降りると、甘い匂いが漂ってきた。
最初の目的地はお菓子屋のようだ。店構えからして高級店だと一目でわかる。
この辺りはお金持ちの為のエリアなので、庶民向けの酒屋の娘には縁のない場所だった。
わかってはいたがやはり随分と町の雰囲気が違うものだな。
「わぁ!とっても美味しそう!」
店の奥の部屋に通され、目の前に並べられたお菓子を見てジョシュが目を輝かせる。
その様子を微笑ましく見ていると、ジョシュはむっとしたような顔でこちらを見た。
「僕ばっかりはしゃいでるみたい……兄様や姉様も食べてみたいと思わないの?」
「そんなことはない。どれも美味しそうだ」
「ええ、本当に。ただたくさんあるから目移りしてしまって……もしよければ私の分も一緒に選んでくれないかしら」
「しょ、しょうがないなぁ。じゃあこっちに来て!お店の人に聞きながら選ぼう!」
「僕の分も一緒に頼むよ。ジョシュ」
「わかった!じゃあ兄様もこっちね」
3人で店員に色々聞きながら、持ち帰るお菓子を選ぶ。
昼食の前だけれど少しだけ味見させてもらったりして、あれがいいこれがいいと悩んで、楽しい時間を過ごした。
お義父様はそんな私たちの様子を後ろからにこやかに見守っていてくれた。
なんだか温かくて、くすぐったい気持ちになる。
お菓子屋を後にして昼食に向かおうとしたところで、見慣れた人物を見かけた。
「あれはサー・デューイですね。見回りでしょうか」
遠目からだがなんだかピリピリしているように見えた。何かあったのか……?
「ああ、本当だね。実は……っ!魔法!?早く馬車へ!」
急に魔法の気配が襲ってきた。お義父様が慌てて馬車へと促してくる。
この感覚、覚えがある。
「これは……探索魔法?」
それがわかったところで読み取ることは出来ない。
魔法を解析した後に文字を読み取る装置が無いから読めないし、そもそも中心となる起点がわからないと読めたところで意味不明だ。
だが、どちらの方向から展開して来たかくらいはわかる。
「サー・デューイ!あちらからです!」
先程見かけたサー・デューイに向かって叫びながら方向を指し示す。
それを見た彼は弾かれたように駆けていった。
「大体の方向くらいしかわからないのが申し訳ないです……使った人間を見付けるのは難しいかもしれませんね……」
「いや、十分だよ。ここからなら家より領府の方が近いな。ひとまずそこに避難しよう。いいね?」
『助け……!』
……!
今、微かに声が聞こえた。
領民の、助けを呼ぶ、声が。
「……すみません。私は行きます」
「な!アリ……」
お義父様が手を伸ばしてくるが、私を捕まえられる人間など、この領ではサー・デューイくらいなものだ。
声の方に全力で向かう。
申し訳ありません、お義父様。伯爵家の令嬢なら大人しく避難するべきなのだと思います。
でもあの声を無視したら、私はもう、夢で会う彼に顔向け出来ないのです。
ほのぼのが続かない。
パソコンから更新出来なくなったので、とりあえずスマホから上げましたが……え、何これツライ。
フリック入力がまじツライ。




