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27.トラブルが起きました。

最近更新が遅れて本当すみません……。

 食事の後にエリファレット様が部屋を訪ねてきた。

 レイモンド様にも席を外してもらったらしく、部屋には二人きりになる。


「人の家のことに首を突っ込むのもどうかと思ったんだけど……友人として情報提供だけしとくね。ジョシュア殿のことは注意して見ておいた方がいい。劣等感が相当酷くなってる。アリア。何かされたか、言われたね?」


 やっぱり読まれている……。

 前より酷くなっているという事は、前回の訪問の時からそうだったんだな。気付かなかった……。


「ええ、まぁ。大したことではないですけれど。劣等感ですか……」


「ジョシュア殿を見る度に気持ちが揺れてたよね。そんなに動揺したアリアは初めて見たな」


「……すみません。お見苦しいところをお見せしました」


「違う。逆。もっと見せてくれていい。友人なんだから」


 エリファレット様は真剣な表情で言った。


「絶対に助けるから。ちゃんと見せて」


 強い意志を込められたとわかる言葉を掛けられて、言葉に詰まった。

 前から感じてはいたけれど、エリファレット様は友人想いなんだな……。


「とりあえず、なんて言われたのか教えてよ」


 心配そうに聞いてくる、同年代の貴重な友人相手に誤魔化そうという気は起きなかった。



 他言無用だと約束し、ジョシュとの今日の会話を伝える。

 エリファレット様は話を聞いた後、少し考えてから口を開いた。


「ジョシュア殿の生まれのことは知ってる?」


 ……!知ってるのか。エリファレット様の貴族関係の情報の豊富さは9歳とは思えないな。


「詳しくは知りません。父が……ということだけ」


「あぁ、まぁ皆が知ってるのもそんなところだよね」


「……有名な話なんですか?」


 皆、と表現するからには結構な人数が知っているんだろうか。


「見れば結構わかるから。彼、父親そっくりなんだよね。だから多分周りからも色々言われてると思う。元々精神的に危ういバランスを保っていた所に、新しく君が来たことでそれが崩れたんだろう。助けたいなら家族のフォローが必要だと思う。詳しい経緯は流石に俺からは言えないから、イクスベリー卿に聞いて知っておいた方がいいね」


「しかし義父は話していいかわからないと言っていました。聞くのは難しいかと……」


 あの時お義父様はかなり迷っていた。そして今まで聞いていないということは言わないことにしたのだと思う。

 理由があるのなら、聞けないと思うが。


「あぁ、俺から大丈夫って言っとくよ。ジョシュア殿の事も言っておくつもりだったからついでに」


「?大丈夫、とは?」


 お義父様が何を懸念しているのかわかるのだろうか。


「……出生の話だよ?普通7歳の女の子に言ってわかると思わないよ。しかも割と酷い男女の話なんて、聞かせていいかどうかなんて迷わずに話さないような内容でしょ」


 ……なるほど確かにその通りだ。

 そしてやはりエリファレット様は私がそういう話を理解出来ると気付いていたんだな。


「……お気遣いありがとうございます。とても有り難いです。」


 申告し辛いことなので有り難いが……気まずい。思わず斜め下を見て目を逸らしてしまった。

 するとエリファレット様が立ち上がって近付いてくる気配がした。


「……あの、何でしょうか?」


 頭を、撫でられている。急にどうしたんだ。

 座っているし身長差があるから撫でやすいとは思うが、前も思ったけれど第一王子なのに気安すぎないか?


「俺達みたいな普通じゃない人間は、何もしていなくても周りの感情を荒らす。仕方の無いことなんだけど、やっぱりちょっと悲しいでしょ?」


 どうやら慰めてくれているようだ。掛けられる声もいつもより優しい。


「それでこれ、ですか」


「うん」


 父たちや母たちに撫でられた記憶よりもゆっくり丁寧に撫でられているような気がする。

 なんだかむず痒い気持ちになる。


「……我が国の第一王子殿下は随分と気安くていらっしゃる」


「当然特別だよ。頭を撫でるのも、プライベートの相談に乗るのもね」


 誤魔化すように軽口を叩いた私にサラリと返してくる。

 友人限定の特別仕様と言うことか。


「では今のところ私とレイモンド様限定ということですね」


「レイモンド……あーうん。でもレイモンドは撫でないかな。年上だしさ」


 確かに。年下に頭を撫でて慰められるのは、プライドが傷付くかもな。


「だからアリアだけだよ」


「そうですか。それは光栄です。!……なんだか外が騒がしいです。トラブルかもしれません」


 複数の慌ただしい足音と、叫んでいるような声が遠くからかすかに聞こえる。


「なるほど……。詳細はわかる?」


「聴力の精度を上げますので、少しの間お静かに願います」


 扉の側まで寄って身体強化魔法で聴力を上げる。

 聞こえてきたのは……男性二人の声。お義父様が珍しく声を荒げているようだ。


「……っ」


「大丈夫?」


 無理矢理聴力を上げたことによる目眩でふらついた体をエリファレット様が支えてくれる。


「すみません。ありがとうございます。大丈夫です。誰か……招いていない者が来たようです。ジェフリーと聞こえました。おそらく父の従兄のジェフリー・グリーソンですが、無理矢理押し入ろうとしているようなので、何かあるのかもしれません。この部屋で待機していて下さい。護衛も部屋へ入れましょう」


 エリファレット様が来ている時にトラブルとは……。

 とりあえずエリファレット様の身の安全を確保した後、早急に処理しないと。


「……タイムリーだな。彼が父親だよ」


「……え?」


「ジェフリー・グリーソン。ジョシュア殿の父親は彼だ」


「……!」


 エリファレット様がいて、ジョシュが不安定。なんて最悪なタイミングだ……。



 とりあえずレイモンド様と護衛を部屋に入れ、私が戻るまで絶対に外に出ず誰も中に入れないように言いおいて、声が聞こえる玄関の方へ向かった。


「さっさと帰れ!ここにお前の居場所はない!」


「だから殿下にご挨拶したら帰るって言ってるだろ!?」


 玄関ホールの近くで待機し、様子を探る。

 先ほどからの会話を聞いてる限りでは、どうやらお義父様の従兄のジェフリーはエリファレット様と顔つなぎに来たらしい。

 ……なんで第一王子の本人の意思でもないのに予定外の人間に会わせないといけないんだよ。

 不敬すぎるだろうが。


「お前みたいなうちの恥に会わせるわけないだろ!ジョシュアを離せ!」


「……っ!そもそも僕は息子に会いに来たんだ!なぁ、ジョシュアもお父様に会えて嬉しいだろ?ほら、ご挨拶するから殿下を連れてきなさい」


「ジョシュア!そんな奴の言葉は聞かなくていい!くそっ!スロットを捨てろ!」


 ジョシュが捕まってるのか……!分不相応な振る舞いをする分家の人間をさっさと処理できないのはその為か……。

 しかし第一王子を連れてこいとか何様だ。男爵家の3男風情が。

 とりあえず最速で帰ってもらおう。






アリアが公爵令嬢の生まれ変わりなのに割と口が悪いのは、7年間市井で酒屋の娘をやっていたからです。

伯爵令嬢として口には出してないですけど、モノローグの言葉が荒いのはそのためです。

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