15.お茶をしました。
更新しようと思ったら寝落ちしました。すみません。
「な……んでもうそんなとこ勉強してるんだ?確かちょっと前に伯爵家に来たばっかだろ?」
ゲストルームでお茶しながら私達は最近のお互いの話をし合った。
勉強の話になって、ウチの家庭教師は褒めて伸ばすタイプだという話をしていたら、また過剰なリアクションをされた。
「アリアのお母上は元貴族だから、ずっと勉強してきたんじゃない?それにしてもまだ7歳なのにすごく進んだ所まで勉強していたんだね」
……お母さん、元貴族だったのか。イクスベリーの遠縁なのはお母さんの方だったんだな。初めて知った。
それでお義父様も勘違いしてたのか。もちろんお母さんから勉学の指導を受けたことなどない。
しかし教師が大げさに褒めているだけかと思っていたが……もしかして帝国の勉学の習得スピードは早かったのだろうか?失敗したかな?
……まぁいいか。どうせ学ぶんだし、このくらい誤差の範囲だろう。
「この場に俺以外規格外な人間しかいない……」
子供同士なのだから親しく話そう!名前で呼び合おうぜ!と言いながらお茶を飲んで元気になっていたレイモンド様の目からまた生気が消え始める。
……フォローしておこう。
「エリファレット様も私も、まぁ平均とは言いませんが、別に規格外ではないでしょう。普通の範囲内だと思いますけど」
「天才がなんか言ってる……」
本心だったのに彼の心には届かなかったようだ。私は完全に努力型なので天才ではない。
「レイモンドはね、私の能力についても全力で引いてるんだよ。側近候補も本当はやりたくなかったけど、王家からルートレッジ家への申し入れを断れなかっただけなんだ」
「わかってていきなり視察に同行させるのも、すげぇいい笑顔でそれ言われるのも滅茶苦茶恐いんですが」
レイモンド様の顔が引きつっている。ここはフォローしておこう。
「王族としては便利な能力だと思いますけど。内政にも外交にも使えます」
「素でそんな感想持つのアリアだけだろ。何で感情読まれて平然としてんだよ。あ~ここだと俺がおかしいみたいになってる。不本意すぎる。でも殿下から離れられないし」
「律儀だよね。あと言いたい事言ってるのに悪意も敵意も無いのが面白いよね」
「あああまた読まれてる恐い」
レイモンド様が白目を向き始めた。
とりあえずフォローして……さっきからずっとそう思っているような気がする。
……空気を変えてみようかな。
「では義兄と義弟を呼びましょうか?エリファレット様に紹介したいと思っておりましたので……いかがでしょう?」
「いいよ。さっきの子達だよね。じゃあ呼んで来ようか」
そう言って腰を浮かせたエリファレット様をレイモンド様が制する。
「殿下は、座って、お待ちください。俺が手配してきます」
そう言って颯爽と歩いて行ったので止めそびれたが、殿下が許可した時点で、部屋で控えていたメイドのノエルがアイコンタクトした上で呼びに行ってくれている。
まぁそれを言ってレイモンド様に恥をかかせるのもどうかと思うので、お義兄様とジョシュには2度呼び出されてもらうことにした。結果は変わらないしな。
「呼び出し被っちゃったね」
どうやらレイモンド様は彼にはめられたようだ。完全に遊ばれている。
「……親しくなられているようで何よりです」
これはお義父様の心配は完全に杞憂だったんじゃないか?
お茶会では自分から関わりに行きたいと思う者がいなかっただけなんじゃ……。
「アリア」
急に真剣な表情でエリファレット様が話しかけてきた。なんだろう?
「ごめんねさっきの……」
エリファレット様が儚げに目を伏せて謝ってきた。こうしていると長めの髪も相まって本当に少女にしか見えない。
しかし一体何を謝っているのだろう?
「イェーツ殿に絡まれていた時、すぐに間に入って行かずに様子を見てて、ごめん」
エリファレット様が頭を下げてくる。しかし謝罪をされるようなことでもないし、王族の方がこんなことで謝ってはいけない。
「観察していたのですよね?視察のために同行する人間の情報を得たかったのでしょう?」
「ううん、俺が見てたのはね、アリアの方なんだ。君の情報が欲しかったんだ」
私の情報?そうなのか。
まぁそもそもほとんど話したことも無かったし、友人になるに当たって信用に値する人間かどうかの情報は欲しいだろう。
特に王族は危険も多いし、自衛は大切だ。
あと一人称が俺に変わっているがこちらが素なのだろうか。
「ごめん、ズルいことをしてしまった……。アリアにもっと近づきたくて、もっと知りたくて、つい隠れて見てしまっていた……。仲良くなりたいのなら、そんな事をしては駄目だよね……」
「いえ、お気になさらず。まず情報を得ようとするのは、為政者として良い判断だと思います」
しかしあれ、隠れて見てたつもりだったんだろうか?音も気配も全く消せてなかったが。
「為政者としてじゃない。そうじゃなくて、一人の人間としてアリアと仲良くなりたいんだ、一番。だから謝りたくて」
「謝るようなことではないと思いますが……。あー、そもそも私には友人がいないので、そういう意味では一番仲のいい友達と言えなくもないです」
一番以外は今のところ存在していないが。そしてエリファレット様が一番仲がいいのはさっきの様子だとレイモンド様だと思うが。
しかしそんなことより友人として言っておきたいことがある。
「それより隠れて情報を得たいのならもっと気配を消して上手く隠れて下さい。陰で聞いてるつもりになっていることを利用されて情報戦に負けたり、直接危険な目に遭うかもしれませんから」
出来ないようなら隠れて探るのは諦めたほうがいい。次に下手な隠れ方を見つけたら、向いてないと進言しよう。
「……そっか。ふふっありがとう。じゃあ次から気をつけるよ」
「そうして下さい。あ、義兄と義弟が来たようです」
お義兄様とジョシュがやってくる音が聞こえたので口に出して知らせた。
「アリアは気配に敏いよね。ずっと離れて立ってるレイモンドもこっちにきて座るといいよ」
何故か少し離れたところで立っていたレイモンド様をエリファレット様が呼んだ。
彼は何をしているんだろうか?
「すごく普通に呼びましたね。俺のこと忘れてると思ってました。俺全部見てたけど良かったんですか?」
最初から一緒にお茶をしていたのに何の心配をしているんだ?
エリファレット様がにっこり笑ってこっちを見たので、よくわからないがとりあえず私が答える。
「機密事項に当たるようなことは話していませんから大丈夫です。」
「そうそう。アリアの言うとおり」
「殿下はアレとしてもアリアの感性がさっきから奇抜すぎる」
アレって何だ?あと奇抜でも無いと思う。
お茶が一話で終わらなかったことに衝撃を受けています。ツッコミ役が一人いるだけでこんなに長くなるなんて。




