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魅惑のカレー

炊飯器から立ち昇る蒸気を顔に浴びながら理解する。

(電気、使えてるな…。

それによくよく考えてみれば家の中でカレーが作られたんだからガスも水道も問題なく使えるんだろう。)


気を取り直してご飯を盛る。

(俺の、父さんの、爺ちゃんの、兄さんの…)

用意されていた皿にホイホイご飯を盛っていると

「女性陣のご飯は盛らなくていいからねー!むふふふ!」

隣で格闘していた母から何やら楽しそうな声がかかる。

(……そういうことか。)

母の手元を見て納得する。

「手伝おうか?」

そう聞くと母は楽しそうにハムを差し出して来た。




食事の準備を終えるとちょうど外にいた面々もリビングに入って来た。

カレーの匂いに釣られて来たのだろう。

父の後ろにはリズさんと騎士団長さんの姿も見える。

二人は珍しそうに家の中を見回していた。

母は騎士団長さんが来ることを知っていたのか食卓には人数分しっかりと食事が用意されている。

(ちなみにそれは姉のご飯なんじゃ…と思うかもしれないが、我が家は滅多な事がない限りご飯の時に寝ている人は起こされない。もういい歳した大人がほとんどだしね。もし食いっぱぐれてもそれは本人の責任なのだ。)


皆が席に着くと母が口を開く。

「さあさ!熱いうちに早く食べましょ!いっただっきまーす!」

「「「いただきまーす」」」

皆がパクつくなか、リズさんと騎士団長さんは戸惑っているようだ。

(家の中も珍しかったようだけど、これはもっと珍しいだろうなー…)

女性陣と騎士団長さんの前に置かれているカレー皿…

白いどこにでもあるような普通の皿の中では、ご飯で作られた熊がカレーの温泉でくつろいでいた。

そのクマちゃんの耳のハム、俺が切り抜いたんですよ。


「リズちゃん!さぁ食べて!リズちゃんのが一番可愛くできたの!」

母がリズさんにそう勧める。

「えっと…これはなんというお料理なのでしょうか?」

リズさんが戸惑ったように尋ねる。

「これはカレーという食べ物です。うーんと…香辛料の効いたとろみのついたスープ…のようなものです。こうやってご飯と一緒に食べるんですよ。」

俺が一口スプーンですくって食べると騎士団長さんも恐る恐るカレーを口にする。

(頭がっ!さらば…クマちゃん…)

クマちゃんとの別れを惜しんでいると騎士団長さんが驚きの声を上げる。


「姫様、このカレーという食べ物、とても美味しいですよ。

野菜と肉の旨味と…この独特の香辛料の辛味が後を引きますね。

こんな料理は食べたことありません!姫様も是非食べてみてください。

あ、熱いので十分気をつけてくださいね。」


「もう、そうやってまた子供扱いする…」

リズさんは恥ずかしそうにそう小さく零すとクマちゃんの足を小さく削り、カレーを掬って口に運ぶ。

「…あつっ!」

母が冷たいお水をコップに注ぐ。

(とろみがついてるからカレーってなかなか冷めないもんなー。)

リズさんは慌てて水を口にして一息つく。

「熱かったですけど、とても美味しいです。」

そう言うと次々にカレーを口に運びだす。

今度はしっかりとふーふー冷ましてから。


「口に合ったようでよかったわー」

母は誇らしげにニコニコしていた。

(それは婆ちゃんのセリフでは…?)

俺も大人だ。余計なことは言わないでおこう。

皆でカレーを食べるだけの回でした。


ちなみにカレーは甘口派ですが、家のカレーは中辛です。

最近やっと辛さに慣れてきました。

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