大きな卵とぽかぽかハート
翌朝、まだ夜が明けきらない時間…
眠い目を擦りながら身支度を整え、朝食をとる。
兄と妹も寝不足でぼーっとしていたがそれでももそもそとパンを口に運んでいた。
死ぬほど眠い…今日も馬車で寝よ…
なんて思いながら運ばれてきた料理に目を向けると、
30センチ位の大きな卵が運ばれてきた。
眠気も思わず吹っ飛ぶ大きさだ。
(え…でかっ…これどうやって食べるんだ?)
みんな巨大な卵に興味津々だ。
すると給仕の人がハンマーを手にする。
(ま…まさか…!?)
迷うことなく卵にハンマーを振り下ろす。
『ゴッ』
鈍い音がした。
しかし卵は無傷!
その後2度ほどハンマーで叩いてようやく卵に穴が空いた。
卵の中身は大きなおたまで掬い出され、皿に盛り付けられて俺の目の前に鎮座する。
テカテカとろーり黄金に輝くスクランブルエッグだ。
スプーンに掬い一口。
舌の上でとろける濃厚な卵の味わい…
こんな卵…初めてっ!うまい!
朝食が終わると挨拶もそこそこに早々にこの街を出る支度を始める。
支度といっても俺達は特に荷物があるわけでもないので精々馬車対策にライムに分裂してもらうくらいである。
アイテムボックスって便利だねーと改めて実感する。
また来ますとランドンさんに別れの挨拶をして馬車は走り始めた。
早朝なので人もまばらで、昨日の賑わいを思い出すとなんだか少しだけ寂しいような気持ちで窓の外を見ていた。
ふと何か聞こえたような気がして窓を開けた。
少しだけ頭を出して後ろを見る。
昨日のパン屋の家族が手を振っていた。
「おじちゃーん!おねーちゃんたちーっ!
ありがとーっ!」
パン屋の兄妹の声が聞こえる。
「また来るからねー!」
身を乗り出して思いっきり手を振ったら体勢を崩した。
ヒヤッとした瞬間グイと馬車の中に引っ張られた。
「これ!そんなに身を乗り出したら落ちるじゃろうが!」
爺に首根っこを掴まれ注意される。
「あ、ありがとう爺ちゃん…」
ドキドキしながら爺にお礼を言う。
(あっぶなかったー。爺ちゃんありがとう。)
それからは大人しく座席に座る。
胸のドキドキが収まると今度はパン屋の家族の見送りにじんわりと暖かくなってくる。
昨日は忙しかったけどとても楽しいひと時を過ごせたなーなんて思い返していると、
「なにニヤニヤしてるんだよー。」
と兄に突かれた。
ひと月程、間が空いてしまいましたが、
また細々と進めて行きたいと思います。
よろしくお願いします。
次回は新しい街に突入です。




