忘れられしスキルと博識人形
「ねぇマオ?これは何かな?」
「これは魔導式のコンロだな。
真ん中にはめ込まれた火の魔石が熱を発するのだ。」
「じゃあこのガラスに入った羽は?」
「それはジャイアントコッコの羽をフェニックスの羽の様に着色した土産物だ。」
「このキラキラ光る石は?」
「銀が含まれる石だな。
魔法を使う時の触媒によく使われる。」
「この見るからにやばそうなドロドロの液体は?」
「それはスライムを原料にした回復薬だな。
ちなみに飲み薬だ。死ぬほど苦い。」
通りに並ぶ店をくまなく覗き、変わったものがあればマオに質問を投げかける。
「チッ…。こんな事ならユイちゃん達の方について行けばよかったぜ…。」
なんてボヤきながらもしっかりと説明をしてくれる。
なんやかんやで面倒見がいいのだ。
「じゃあこっちの…」
「おい、これはいつまで続くんだ?
我に聞かずとも鑑定のスキルで見れば良いではないか!」
ハッとした顔でマオを見ると呆れた顔をされた。
そうだった…
俺は鑑定が使えるんだった!
なんて事だ…こんな便利な能力を忘れていたなんて!
「マオ、ありがとう…。忘れてたよ…。」
そこから鑑定のスキルをフル活用した。
(でも…マオに聞いて回るのもなんだか楽しかったな。)
少しだけ名残惜しいような気がしたのも束の間。
「おい!あそこの店の看板娘!
美人だしなかなかのないすばでぃじゃないか?
ちょっと声を掛けに行くぞ!」
台無しである。
しかもないすばでぃって…
おおーっ!ぼんきゅっぼーん!
俺にはちょっと刺激が強すぎる…
「へいへい、じゃあ次の店に行くぞー。」
気の無いふりをして次の店へと進む。
「ちょっ、おい!あそこの店だって!
おねーさーん!後で行きますからねー!」
肩の上で届かない投げキッスを連発するマオを連れて次のエリアへと向かう。
ここからはこの街の主要産業を担うエリアだ。




