※お酒は20歳になってから
グゴゴゴゴ…
飢えた獣が3匹。
腹の音が鳴り響く…
目の前には美味しそうな串焼きの屋台。
風に乗って芳しく香りがプンプンプン…。
しかし彼らは店に近づこうとはしなかった。
なぜなら…
お金がないから!
遡ること数分前。
爺と女性陣と別れた飢えた獣もとい俺兄マオ(+ライム)は早速近場の屋台で売られている食べ物を買って食べることにした。
しかしそこで俺は気付いてしまったのだ…
この世界のお金を持っていないことに!
どの道お金は必要だと思っていた。
なので立ち寄る街でドロップさせてアイテムボックスに詰め込んだ物を売ろうとは思っていたのだが…
(腹の脂肪が)育ち盛りな男2人と1体(?)の腹はその時間を許してはくれなかった。
プンプン香るいい匂いにお腹と背中が仲良しになってしまいそうだ。
どうしようかと困っていると、
「おうおう!兄ちゃんたちよぉ!
さっきからそこで突っ立って腹ペコそうな顔してるけどよぉ!
俺っちの肉、食ってってくれるのかい?」
ドワーフの店主が見兼ねて声を掛けてくれる。
よろりと兄が前に進み出る。
店先に並べられている肉に今にも手を出しそうだ。
(だめだっ!空腹に我を忘れてる…静めなきゃ!)
ふらふらと店に近付く兄を後ろからホールドしつつ、店主に向き合う。
「折角なのですが、俺達お金がなくって…」
泣く泣く断ろうとしたその時、
ガハハハという店主の豪快な笑い声が響いた。
「なんでぇなんでぇ!そんなことを気にしてたのか!
兄ちゃんたちヤクモの人達だろ?
俺っち街のもんは親方様からヤクモの人達をもてなすように言われてんだよ。
だからお代なんていらねぇんだ。
さ、ほら食ってくれよ。
俺っちの肉は獲れたてで新鮮なのを使ってんだい!」
ほいっと串に刺さった肉を渡される。
ぽたぽたと油が滴り落ちていて見るからにジューシー…。
堪えきれず一口ぱくり。
「「うんまー!!」」
俺と兄は思わず声を上げた。
塩のみのシンプルな味付けだが脂の乗った肉の味を引きつけていてとても美味しかった。
「お、おい!早く我にも寄越せ!」
肩に乗るマオがてしてし俺の頭を叩く。
人形のくせに食い意地の張った奴だ。
串は大きくて流石にマオでは持てないので、俺がマオの口元で持っててやる。
「うむ。そこだ!そこでいいぞ!…では。」
もっもっもっとマオの頬が膨らむ。
どうしたことかこの人形は俺たちと同じように食事するのだ。
そのくせ出すことはしないからどういう仕組みをしてるのか全くの謎である。
中には魔石と綿しか入ってないのになぁ…。
ただひとつわかっていることは、こいつの舌が肥えているということだけ…。
「どうでぇどうでぇ!うまいだろ?
俺っちの肉はこの街で一番人気なんだからな!
兄ちゃんたちはまだ若いんだからよ!
たくさん食うんだぜ!」
店主はガハハハと笑いながらまた一本ずつ肉の刺さった串をくれる。
それを有り難く頂いて次の店を探しに向かう。
去り際にふと思い付いてアイテムボックスから物を取り出す。
キンキンに冷えたビールだ。
ほいと一本兄に手渡す。
そしてもう一本を店主に。
「美味しいお肉ご馳走様でした。
お礼と言ってはなんですが、俺たちの世界の酒をどうぞ。
口に会えばいいんですけど、試しに飲んでみてください。それでは!」
口々にお礼を言って店から離れる。
店主が赤ら顔なのは肉を焼いているからというだけではないだろう。
手元には酒瓶が何本も並んでいた。
キンキンに冷たいビールもきっと美味しく飲んでくれるだろう。
さて、次なる美味を探しに行こう!




