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劇的★ビフォーアフター

ーゴッゴゴゴッゴッ…

俺は機嫌が悪かった。




早朝、父と婆と姉、そして家の警護をしてくれる騎士さん達が家の前に集まって見送ってくれた。

珍しく面倒くさがりの姉が出てきたなと思えば、

「何か面白いものがあったら持って帰ってきて」

だってさ。


馬車は二台用意されていて、母妹、リズさんの女性陣と俺兄爺の男性陣に別れて乗ることにした。

馬車に乗る直前、父が俺と兄に近づいてきて

「みんなを頼むぞ。」

そう言ってわしゃわしゃと頭を撫でてくる。

「任せてよ!」と二人で胸を張り馬車へ乗り込む。

自分達を信じて頼られてると思うとなんだか照れ臭いような、体がムズムズした。

窓から皆に別れを告げいよいよ馬車は走り出す。

いざ!お城のパーティ!




…そこまではよかった。

荒野に佇む一軒家から文化の発達しているであろう王都へ旅立つのだ。

俺の胸は踊りまくっていた。


しかし…馬車が走り出すとものの数分、いや数秒で思い知らされた。

ゴッゴゴゴッゴッ…

馬車…すっごい揺れる…。

すっっっっごい揺れる!


馬車は豪華なものだったが、お世辞にも乗り心地はいいとは言えず、

さらに道は整備されてなどいない。

時たま石を跳ね上げると体が浮き上がるほど揺れるのだった。


この揺れでは兄が大人ドロップさせたマンガも読めたものではない。

胸踊る王都への旅は早々に暗雲が立ち込める苦行の旅へと変わった。


(出たばっかりだけどもう家に帰りたい…かも…)

昨夜は楽しみすぎてまったく眠れなかったのだ。

この揺れでは寝るのも難しいだろう。


寝不足と不快な馬車の旅。

俺は次第に無口になり、機嫌はMAX悪くなった。


そんな時、苦行の旅路を覚悟した一同に救いの手が差し伸べられる。

ライムだ。


頭にマオを乗せて大人しく俺の膝の上に乗っていたのだが、

皆の様子を見て察したのだろうか…

ブルブルと体を震わせたかと思えば二つに分裂した。


「ライム、急にどうしたんだ?!」

唐突なライムの行動に心配になって声をかける。

この最悪な乗り心地で調子が悪くなったのか?

スライムといえど生きもの。

調子が悪くなることもあるだろう。乗り物酔いか?

なんて考えているとさらにライムが分裂しライム×3となる。


するとまたブルブルと震えだし、分裂して小さくなった体がそれぞれ元と同じくらいの大きさになる。

そして俺兄爺の膝にぽんと飛び乗ると足の隙間に潜っていく。


「わわっ!なんだ?ライム、何がしたいんだ?!」

慌てながらもライムにされるがままになっていると

ライムの体は俺たちの体の下に完全に潜り込んだ。

つまり座席と尻の間へと潜り込んだのだ。


( 人 )←尻

(◉ ◉)←ライム

[座 席]

伝われニュアンス!


すると…なんということでしょう。

あれ程揺れていた体がぴたり。

まったく揺れなくなったではありませんか。

(某リフォーム番組風)


これなら漫画を読める!ゆったり寝られる!

「ライムちゃんはまったくもって優秀だなぁ」

感謝の気持ちを込めて尻の下のライムを撫でてやる。

ライムは嬉しそうにプルプルしていた。


(さて、この快適さを向こうにも分けてやらないとな。)

窓から顔を出して馬車を操る騎士さんに声をかける。

「すみませーん。一度止まってもらってもいいですかー!」

車輪の音に負けないように大きな声を出す。

俺の声に気づいた騎士さんが周りに合図をして、

馬車は止まった。


ライムを抱えて後ろを走っていた馬車に近付く。

中を覗くと案の定母と妹はげんなりした顔をしている。

リズさんは慣れているのだろう。平気な顔をしていて、

近づいて来た俺を「なにか問題でもありましたか?」と気遣ってくれた。


リズさんに大丈夫ですと返事をしてから

「ライム、頼むぞ。」

ライムにまた分裂して大きくなってもらう。

一匹のライムを小脇に抱え、残りは女性陣の馬車に詰め込む。


「ライムをクッションみたいにお尻の下に敷くと楽になるよ。」

そう教えて足早に自分の馬車に帰っていく。


そこからは嘘のように快適な旅だった。

(至れり尽くせりとはこういうことなんだな…)

尻に敷かれていたライムは次第に座席状になり、

むにむにと俺の背中をマッサージしてくれる。


(ライム…本当にいい子…

ついたらなにかご褒美あげないとな。)

何がいいかなと考えているうちにあっという間に夢の中に落ちていってしまった。

耐震のジェルマットなイメージです。

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