白タイツは王子様のみ許される
あとみっ◯ー。
彼だけは例外だと思ってる。
予想はしていたことなのだが、俺と兄はゲンナリしていた。
かれこれ2時間は妹の部屋に詰めている。
普段着は元の世界の感覚とさほど変わらないようで
シンプルなシャツとズボンをドロップさせたのだが、
問題はパーティ用の服だった。
「騎士の正装がかっこいいよ!」
「ここは絶対タキシードがいい!」
「折角異世界からの召喚者たちなんだから和服ってやつがいいと思う!」
三者三様誰一人譲ることなく火花を散らせあうユイとネイサンとマシューの三人。
「なんでもいいから早く決めてくれよー!」
服選び開始から30分程経った頃、飽きた兄が急かしたが、
「お兄ちゃんは口を出さないでっ!」
と妹に言われてしまう。
こうなればもう俺たちに出来ることは一つ。
ただ待つことのみなのだ…。
部屋から出ることも許されないのだが、
あまりに蚊帳の外なので部屋の隅に移動して兄とお菓子を食べながらコソコソと王都に向かう準備を始めたのだった。
「片道5日って話しだから、最低でも2週間くらいは家から出ることになるわけだろ?
そこそこ長いよな。
何が必要だと思う?」
「俺は布団を持っていくよー。
枕が変わると寝られないタイプだし。
アイテムボックスに突っ込んでおけばいいしなー。
そういうとこ便利だよなー。
荷物が増えすぎちゃって持っていけないってこともないし。
きっと爺ちゃんなんてもっといろんなものを用意してると思うぜー?
道中行商するつもりだよ、絶対。
ブレないよなー。」
(ふむ。行商か。
この世界のお金を得られるし、商品の反応も見られる。
一石二鳥だな…。)
いずれ何か商売をするつもりでいたからその偵察にもってこいだ!
早速準備しなければ。
(まずは食品。
騎士さんたちに評判が良かったものを中心に…と。
それから便利グッズでも適当に仕入れておくか。)
あれもこれもとドロップさせてはアイテムボックスに突っ込むの繰り返し。
あー本当に便利だなぁーとしみじみ思う。
兄は隣でマンガを読み始めていた。
「見ろよ!折角だからあの超大作を大人ドロップさせちゃったぜー!
全200巻!後で貸してやるからなー!」
道中飽きることは無さそうだ。
酔い止め、用意しておこう。
そんなこんなでさらに1時間程経った頃、
ようやく激しい討論は終結したようだ。
そこら中にデザイン画が描かれた紙が散らばっている。
「はい!お兄ちゃん達立って!採寸するから!」
ようやく出番のようだ。
「結局俺たちは何を着ることになったんだ?」
そう聞くと
「全部よ!」
…全部?あ、はい。全部ですか…。
パンイチで佇む。
するとキラキラと魔法少女よろしく体が光り始め、
『ぽんっ』
デザイン画通りの洋服の完成だ。
デザイナー三人衆のチェックにOKが出ると、
またいそいそと服を脱いでパンイチに戻るのだ。
その繰り返し。
そこから3時間、俺たち兄弟は生けるマネキンと化した。
窓の外はどっぷりと暗くなり、とてつもない疲労感が襲ってくる。
「はいっ!これで全部OKだよーっ!」
我が家の天使達は満面の笑みを浮かべて部屋から出て行った。
「ふはははは!お前達、なかなか似合ってたではないか!
とくにあの王子様風と言ったか?
かぼちゃパンツに白タイツ!傑作だったぞ!」
ライムの上でマオがぽよぽよ跳ねながら心底愉快そうに笑う。
反論したかったがそんなHPは残されていない。
10代の若さにももうついていけないのだ。
疲れ果てゾンビのようにフラフラ歩く俺たち兄弟をライムが優しく包み込んでくれる。
(はわわわっ…
疲れが癒されていく…
ライム、ありがとう…
お前が本当の天使だよ…)
そのまま二人ライムに包まれリビングへと輸送されるのであった。




