似た者親子
昼食後、片付けを済ませたリビングにはリズさんとウィリアム先生、我が家族(姉除く)が揃っていた。
「明日から予定通り王都に向かいます。」
リズさんが言うと続いてウィリアム先生が補足する。
「王都へは馬で向かいます。
八雲家の皆様には馬車を用意してありますので安心してください。
街に寄りながら約5日程で着く予定です。
今、国内は魔王討伐の祝福ムードに包まれており、
道中姫様と魔王を倒した英雄たちを一目見ようと人が集まっています。
さしずめ凱旋パレードといったところですかね。
各地で祭りが開かれているようなのできっと飽きずにお過ごしになれると思います。
是非各地の名産も楽しんでください。」
おおっ!と声が上がる。
お祭りというワードに心が踊る。
爺は異世界の名産に興味深々といった様子だ。
さすが商人の鏡!
「そのことなんだけどねぇ…」
婆が口を挟む。
「私は家で留守番していますよ。
きっとリカちゃんもめんどくさがって行かないだろうし、誰かが家に残った方がいいでしょう?
馬車があるとはいえ長旅も堪えるしね。
みんなで楽しんでおいで。」
事前に聞いていたのだろう、爺が不服そうに口を尖らせた。
「折角カオルさんと旅行が出来ると思ったのに。」だってさ。
何十年経ってもラブラブだな!
そんな不貞腐れ爺も婆に上手に丸め込まれ、
ご機嫌爺になって「いいお土産を買ってくるからな!」と意気込んでいた。
「では僕も家に残りましょう。
女性二人では不用心ですしなにかと男手もいるでしょう。」
父が婆に言う。
そしてウィリアムさんにむかって「家族をよろしく」と頭を下げる。
ウィリアムさんも「はい」と力強く頷くと
「もともと家の警護に数人残していくつもりだったのですが…
人数を増やして8人を警護に就かせしょう。
なにかお手伝い出来ることがあればその者達になんなりと申し付けていただいて結構です。」
なんとも頼もしい申し出だ。
これなら俺たちが留守の間も安心だろう。
「えーパパ行かないのー。折角久しぶりにデートできると思ったのに!」
と愚図る母を父が困ったように宥めていた。
こっちもラブラブか!
似た者爺母なのである。
「それでは、明朝出立しますので皆様準備をお願いしますね。」
リズさんが締めて終わりとなった。
…はずだったのだが。
「お兄ちゃん。」
リビングから出ようとすると妹にシャツの裾を掴まれる。
その顔はニヤリと悪魔の、いや天使の微笑みが浮かんでいる。
「お兄ちゃんお洋服どうするのー?
パーティのお洋服はもちろんだけど、
街を歩くのに普段着もこの世界に合わせた方がいいんじゃないのかなー?
ドロップ活用して新調しちゃおうよー!
ユイが見立ててあげるからさー!」
天使の後ろには既に諦め顔の兄が控えていた。
確かに。この機会に新調するのも悪くない。
妹に任せれば失敗もしないだろう。
「それじゃあ頼むよ。」
素直に従うことにする。
「むふふふ。そう言ってくれると思ってたよー!
ユイに任せて!完璧に仕上げてあげる!
なんてったって今回は頼もしい助っ人がいるからねー!
準備してくるからもう少ししたらユイの部屋に来てねー!」
そう言うと妹は楽しそうに階段を上がっていった。
はて、助っ人とは…?
兄と顔を見合わせた。




