清々しい朝の一幕
明くる朝、俺は家の前に立っていた。
朝日が身に染みるぜ…
(昨日の夕飯…すごく美味かったな…。
母さんのご飯が美味すぎていつも食べ過ぎちゃうからな…)
少しぽよついたお腹をさする。
(今日もしっかり体を動かそう…)
ハンサムぼてぃを夢見て準備体操を始める。
(おいっちにーっ!さんーしっ!にーにーさんしっ!)
十分に体がほぐれたころガチャリと後ろで音がした。
振り返ると婆が家から出て来たところだった。
「あれ、アキちゃん今日は早いんだねぇ。
おはよう。」
婆がいつもののんびりした口調で話しかける。
「婆ちゃんおはよう。最近お腹周りが気になるから少し体を動かそうと思ってね。」
そう言いながら体を動かす。
婆は気にすることないのにと笑いながら畑に向かって歩き出す。
昨日騎士さんたちと作ったという大きな畑…
気まぐれに畑仕事を手伝うことにした。
婆は嬉しそうにありがとうと言って笑った。
ーーーザッ、ザッ、ザッ…
まだ手付かずの土を耕す。
固くてなかなかの重労働だ。
婆がやっていた作業を代わりに引き受けたのだが…
思った以上に大変だ…
まだ朝で涼しい時間帯のはずなのだがダラダラと汗が出てくる。
(…痩せてる気がする!)
婆は家に近いところで水をやっている。
昨日出来たばかりの畑のはずだが植えてある野菜たちはなかなかによく育っている。
この調子ならあと数日で収穫できそうなものもちらほら。
異世界すごい!
(しかしこの広さをよく畑にしたよなぁ…。)
固い大地との格闘に休戦を申し込み、一息つく。
昨日家に付いてくれたのは5人の騎士さんだったはず。
婆も入れて6人でこの広さを耕したことに驚愕する。
(これが騎士の力か…
騎士さんの身体能力ってやっぱりすごいんだな。)
経験して分かるその凄さ。
(あー体が痛いー!!)
慣れない作業に全身が悲鳴を上げ始めた頃、
「おーい!婆ちゃーん!来たよー!」
後ろで聞きなれない声がした。
振り返ると五人の騎士さんがこっちに向かって手を振りながら歩いて来ていた。
「あらー!こんなに早く来てくれると思わなかったよぉ。ありがとねぇ。」
婆も手を振り返す。
「アキラ様もおはようございます!」
俺にも口々に声を掛けてくれる。
「じゃあ今日も手伝うからよ!
昨日頼まれたやつもしっかり用意して来たからな!」
一番年長の騎士さん(ブライアンさん。30代半ばくらい)がニカッと笑う。
騎士さん達は今日はいつもの鎧をつけておらず、汚れてもいいような軽装だった。
畑仕事をするのだから当たり前なのだがなんとなく見慣れなかった。
「よーし、じゃあ先に残りを掘っちまうか!
パーカー!やっちまうぞ!」
パーカーと呼ばれた若い騎士さんが待ってましたと歩み寄る。
(えっ!?まさか二人だけでやるの?)
他の三人は離れて見守っているだけだった。
「危ないんでアキラ様もあちらで見ていてくださいね。」
パーカーさんは人懐っこそうな笑顔で促した。
「準備はいいな!せーのでいくぞ!」
ブライアンさんとパーカーさんは10メートル程離れて向かい合って立った。
「せーのっ!」
「「《アース》」」
二人が同時に魔法を唱えると固い大地がボコボコと解されていく。
それと同時に二人を繋ぐように一筋、土が30センチほど隆起して程よい畝が出来上がった。
「おぉ…。」
二人は連携してどんどん畝を作っていく。
残りのスペースも結構あったはずなのだがあっという間に終わりそうだ。
(魔法か…こうやって使うなんて思いつかなかったな。
ゲームの感覚で攻撃に使うものだって思い込んでいたけど生活の中でもいろいろと活用されているんだな。)
目から鱗が落ちた。
(ん…待てよ?
俺も土属性使えるじゃん…
もっと早く気付いていれば…
いやいや、いい汗かいたしね。
体を動かすっていう目的は達成されたから良し!)
早くも筋肉が悲鳴を上げ始めた体をギギギと動かす。
うぉー筋肉痛キターー!久しぶりー!
ダイエット目的で始めた筋トレで久しぶりに筋肉痛になりました。
階段降るのが地味に苦痛です…




