まいくろばすもーど
帰りの道のりはすこぶる快適だった。
荒野をものすごい速さで駆け抜けていく一同。
我が家はもう目の前………
しかしその姿は異様なものであった…。
ー時は森を出てすぐの所まで遡るー
ヒーリングスライムのライムを仲間にして足早に元来た道を辿っていく。
予定よりだいぶ遅くなってしまった。
このままでは家に着く前に日が暮れてしまう。
しばらくすると見覚えのあるものが見えてきた。
そう、魔法の練習の数々。
いくつもの土の壁、大きな水たまり、地にはところどころ焦げた痕跡もみられる。
(こうして見るとだいぶ荒らしたなぁ…)
そう思ったが他に誰が通るわけでもない、時間が解決してくれるのを願ってそのまま通り過ぎる。
ここからまた拷問のような道のりが始まる…。
何もない荒野をひたすら、ひたすら1時間ほど歩き続けるだけではあるのだが…代わり映えのしない光景をひたすら歩き続けると思うと気持ちは重く沈むのだった。
『むにむにむにむにむにむにむにむにむにむに…』
気持ちを紛らせるようにひたすらライムをむにむにし続ける。
この感触…癖になる!
「…はぁ。」
俯いて深いため息を吐く。
もちろん足は止めない。左右の足を交互に出し続ければそのうち家に着く。
腕の中のライムだけが唯一の救いだった。
唐突にライムが震え出した。
(なんだ!?さすがにむにむにしすぎて怒ってるのかな?)
様子を伺おうとすると次第にライムが大きくなっているのに気付いたが…
「うおっ!?」
次の瞬間にはもうライムに取り込まれていた。
(はぁーっ。癒されるぅ〜…じゃなかった!
突然どうしたんだ?)
ライムの突然の行動に驚いているとライムはさらに体を大きくさせていく。
そして一人二人とその体に取り込み、遂に全員を収納してしまった。
(なんだ、なんだ?どうするんだ?)
一同が顔を見合わせていると、ぐんと体に圧力がかかった。
ライムの透明な体越しに周りを見てみるとどうやら移動しているらしい。
それも恐ろしく早い速度で。
「もしかしてこのまま家まで連れて行ってくれるのか?」
ライムに聞こえるかわからなかったがそう問いかけるとぽぉっと体が暖かくなった。
どうやら返事をしてくれたらしい。
それからは早かった。
ライムに包まれて快適に過ごしている間にあっという間に我が家についてしまったのだ。
ものの10分程で。
家の前に着くと再びライムの体が震え出した。
そしてあっという間にライムの体は元の大きさに戻り俺の腕の中に収まったのだ。
「ライム、ありがとな。すごく助かったよ。」
そう行って頭を撫でてやると嬉しそうに体を震わせた。
どこか誇らしげだ。
他の面々もライムにお礼を言い、一撫でしてから家に入っていく。
俺も家に向かおうとするがふと足が止まる。
陽は落ち始め、空も地も赤く染まっている。
なんだか幻想的な光景で見とれてしまう。
(今日もいろんなことがあったな。
みんなにライムのことを紹介しなきゃ。)
しばらくして踵を返し家に向かう。
ところで、家の隣にあるこの畑どうしたの?
めっちゃくちゃ広いんですけど!
(◉ ◉ ) 三




