どうしてこうなった
思考を巡らせる…
これは間違いなくなろうな小説によくある異世界召喚というやつだろう。
俺は日本の某県某市にある自宅の、もっと言えば自室のベッドで惰眠を貪っていたはず…。
確か昨日は…深夜に家に帰ってきて「これで54時間の自由を得たー」とか言いながらシャワーを浴び、一人コソコソとキッチンの冷蔵庫を漁って小腹を満たし自室で眠りについたはずだ。
(どうしてこうなった…)
いつもより遅く、太陽も登りきり昼も近づく頃…
モソモソと布団から這い出てカーテンを開ける。
窓も開けて眩しい陽の光を浴びながら新鮮な空気を吸い込むのが日課だった。
いつもと変わらない週末。いつもと変わらない風景が待っているはずだった…。
(どうしてこうなった…)
目の前に広がるのは慣れしたんだお向かいさんのお宅ではなく、荒野。
その荒野に集う人々は皆揃いの白銀の鎧を身につけており、その視線は此方を見つめており、場は歓喜で満たされていた。
(あぁ…これが…)
これがよくあるアレか…。
俺は異世界に召喚されたんだ。
どうしよう…この人達は俺に何を望むのだろう…。
モンスターの討伐?それとも魔王の討伐か?
俺にそんな力はないぞ…。
武道の心得なんてないも等しい。
遥か昔に体育の授業で習った柔道と剣道?
…無理だな、活かせる気がしない。
俺は勇者ではない。
そうだ、サポートならなんとか出来るかもしれないな。
よく異世界から召喚されると特別な能力が授けられるみたいだしな。
まだ俺にどんな能力が授けられたのかはわからないが…勇者のサポートをすればいい。
召喚されたからにはなんとかやるしかないだろう。
ーあなた様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?ー
寝起きの頭でそう決意し女性の問いに答えようとする。
「俺の名前は…」
そこでふと騎士達と談笑する一人の女性が目に入った。
彼女は他の人とは違い鎧を身につけていない。
…………よくよく見ればどこか見覚えのある姿をしているではないか。
「…母さん?」
「あっ!アキちゃんおはよー!今日もいい天気ねぇ!」
まごう事なき我が母上様がそこにいた。
お母様登場しました。
よろしくお願いします。




