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家族が一匹増えました

「ちょっと待ったぁぁぁ!!」

割られると聞いて慌ててドアを開けながら叫ぶ。


ーガキィィン…

鈍い音が響く。


「ひえっ…」


急いで食卓に向かうとその中央でハンマーを持った姉が見覚えのある翠の魔石を手に持ち、なにやら興味深そうに観察している。

幸いにもその姉の手にある魔石は先程リズさんに見せてもらった時と変わらない様子だった。


(よかった。すごい音がしたからダメかと思ったけど割れていないようだ……………)


さらに近づき食卓を覗き込む。

「ぅええええぇっ!?割れてるっ!!」

卓上には無残にも割られてしまった魔石の欠片が三つ転がっていた。


一つは500円玉より少し大きめの楕円形、1センチの程の厚みがある。

残り二つは小指の爪先程の小さな欠片だった。

よくよく見れば姉の手で隠れている部分が欠けているようだった。


(割れてる…

魔王…すまない…

遅かったようだ…成仏してくれ…)


心の中で合掌する。


『……………お…おいっ!我は無事だぞ!」


少しだけ間をあけて頭の中で声がした。


「よかった!無事だったか!」

思わず声が出た。さすがにもうダメだと思っていた。


(少し魔力が削られたようだが、我の意識には問題ないようだ。)

無事で何より。


しかし俺の謎の行動を見て家族が心配そうな顔をしている。

大丈夫。俺はまともだ。

さて…この状況はどうしたものだろう。

だいたいなんでこの魔石がここにあるんだ?


息を軽く整えてから口を開く。

「皆…何してるの?

なんでこの魔石がここにあるんだ?」


「リズちゃんがね、帰り際にこの魔石をくれたのよぅ。

魔王を倒したのは私たちだからって。

別にいいのにねぇ。

それでね、皆でこれをどうしようかって相談してたらリカちゃんが起きてきてね。

この魔石を調べたいって言うからそれを皆で見てたの!」

母がペラペラと話し出す。

姉は変わらず魔石を観察していた。


なるほど。大体分かった。

でだ。どう説明したものか。

魔王の声は俺にしか聞こえていないようだし…

そうだ!こう言う時の定番を試してみるか!


そう考えて早速行動に移す。

「なぁ結衣。結衣の部屋のぬいぐるみを一つ、俺にくれないか?

出来ればこれくらいのポーチになるやつ。

前に作っていただろ?」

手で大体の大きさを作って言う。


「いいけど…お兄ちゃん何に使うの?」

妹の視線が痛い。

「いいから、いいから」と妹を促しここに持ってきてもらう。


「姉さん。もうその魔石を貰ってもいいかな?

欠けちゃったけどこれ以上傷つけたくないんだ。」

姉にそう言うと「もう大体分かったからいいよ。」と魔石を渡してくれる。

もう何か分かったんだ。流石にございます。


そうしているうちに妹がパタパタと小走りでぬいぐるみを抱えて帰ってきた。

「持ってきたよー!はい、これ!

しょうがないから一番かわいいのあげる!」


黒い猫 を模したかわいいぬいぐるみである。

リクエスト通り背中にチャックが付いていて中に物を入れることができる。


(さてと…これを、こうして、こうじゃろ?)


ぬいぐるみの中に魔石を入れる。

よく分からないがとりあえず欠片も全部入れよう。


(案外綿が詰まって弾力があって上手に入ってくれないな。)

全部をぎゅーぎゅー詰め込んでチャックを締める。


すると…一瞬だけぬいぐるみが光を帯びた。

(これは…上手くいったのか…?)

ぬいぐるみを指先で突いてみる。


「おい!突くでない!体が揺れるではないか!」

うん。成功みたいだ。

かわいいぬいぐるみからあまりにも似つかわしくない低い声がした。

実験は成功のようです。

マスコットキャラクターの登場です。

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