寝てる時によくあるやつ
ーーー夢の中で声がする。
……ろ……
お…ろ…
……え……るの…?
(…うるさいなぁ…。
人が気持ちよく寝てるんだから邪魔するなよ。)
おき…
き…え…いる…だ…
はや…お…ろ
(うるせーんだよ!俺はまだ寝たいんだ。
というかこういうのって朝のあの状況でやるべきやつだろ!)
ぼんやりとした頭で反応すると途切れ途切れだった声がハッキリと聞こえだす。
『お、聞こえているみたいだな。
おい、早くおきろ。いつまで寝ているつもりだ?
まったく我を待たせるなぞなかなか度胸があるな!』
夢か現かわからないふわふわした頭の中で声が響く。
人が折角いい気持ちで寝ていたのに邪魔者が現れたようだ。
(…ッチ…。誰だよ。)
『…え。さっきから、その反応ちょっと酷くない?』
(俺は寝てるんだよ。今後に備えて。これから忙しくなるんだ。
休める時にゆっくり休んでなにが悪い。
急ぎの用なのか?
そうでないなら後にしてくれ。)
『急いでいるといえば急いでいるのかもしれないが…』
(そんなに急いでないな。後にしてくれ。)
曖昧な返事をバッサリ切り捨て再び意識を沈めていく。
『おーーーい!寝るな!
やっぱり急いでいる!かなり急ぎの用事だ。頼むから起きてくれー!』
焦ったような声がした。
……仕方がない。どうしても俺を寝かしてはくれなさそうだ。さっさと用事を聞いてまた寝よう。
(わかった。何の用だ。三行で説明しろ。)
『さ、三行?
我は魔王。
楽しそうだからお前達と行動を共にしたい。
とりあえずお前の家族を止めてくれ!』
魔王?魔王って家に潰されて倒されたはず…
それに俺の家族を止めるってどういう意味だろう。
そう思っているのが伝わったのか謎の声が話を続ける。
『我はロッソ=カルディナーレ。魔王と呼ばれる存在であった。
まぁ、今朝死んで魔石になったがな。
まさかあんな最期を迎えるとは思わなかったな。
人生わからないものよ。
そして我は魔石になった。
本来ならばそれで我が一生は終わるはずであった。
しかし我の膨大な魔力が我の意識を共に魔石に封じ込めてしまったのだ。
つまり我は今、それまでの肉体を捨て、自我ある魔石となった訳である。
魔石となってすぐにこの状況を理解したのは良いが、我は魔石となり文字通り手も足も出ない状態でな。
口もないなら声も出せない。
仕方がないから大人しく周囲の話を聞いておったのだ。
耳も無いがな!
そしたらなんともお前ら家族は面白いではないか。
さすがは異世界人というべきか。
そして我はこの世界にはないものを持ったお前達の作る街に興味を持ったのだ。
もちろんただ見ている訳にはいかないだろう?なにか困ったことがあれば我の力を存分に発揮し、お前達を助けることを約束しよう。
と、そんなところなんだが…
とりあえず早く!早く我を助けろ!』
かなりの早口でそう言った謎の声=魔王は焦った様子で俺に助けを求める。
(俺たちを助けてくれるんじゃなかったのかよ…)
『我にも色々と事情があるのだ!
ま、まずい!!!はやく!はやく我を助けろ!』
(助けろって…なんかピンチっぽいし、このままにしたら魔王を完全に倒せるみたいじゃないか。
それになぁー『助けろ』って偉そうに言われても助ける気が湧き辛いというか…)
『助けてくださーい!!!』
食い気味に助けを求める声が響く。
仕方がない…まだ何がなんだか分からないが、とりあえず助けに行くか。
この《自称魔王》は話した感じそこまで悪そうでもないし。
それにうちの家族が関わっているらしいし…とりあえずリビングに行けばいいだろう。
ようやく目を開けて布団から起き出し、のそのそとリビングへ向かう。
(今の、夢だったりしてーーー)
なんて思っていると頭の中に声が響く。
『夢じゃないから!とりあえずは・や・く!!
やばいやばいやばいやばい!
割られるーーーーーーっ!』
新しいお友達が登場しました。
魔王は割と気さくなタイプです。




