家族会議その6ー八雲家の今後の方針ー
スキルについて話を聞いて本筋からは脱線したが、また話を元に戻す。
爺はアイテムボックスのことを聞くと嬉々として近くにあるものを片っ端からアイテムボックスに収納し始めて婆に怒られていた。
父と婆は特に加えて報告することはないようだった。
きっと父は騎士さんたちの武術に、婆は世間話に花を咲かせていたのだろう。
さてこれで話は出揃った。
少し忘れてしまいそうになったが、この会議の目的は《今後我が家はどうするのか》を決めることである。
どうしたものか、と考えているとじっと話を聞いていた父が口を開いた。
「アキが読んでいた小説だと同じように異世界に召喚された人たちはどんなことをして過ごしているんだ?」
なるほど。小説ではあるが先人たちの話を参考にするのも悪くないかもしれない。
「えーっと…いろいろあるけど、強くなって魔王やドラゴンなどの敵を倒すって話もあるけど、それはもう必要ないよね。」
魔王倒し済み!
「他には異世界独特の素材を使って料理をしたり、食べたりする話とか?
モンスターの肉を食べたりしてたけど、どうなのかな…?」
「この世界でもモンスターの肉は常食されています。レアモンスターなど特定の肉は高級食材として扱われることもあり、冒険者の中には討伐で得た素材を売りに出すことを生業にしている者もいます。」
つかさずウィリアム先生が答えてくれる。
先生、ありがとう。
「他には…街づくり…とか?
召喚というより異世界に転生した人に多いけど、
異世界の王族や貴族に転生した人が元の世界の知識を武器に街づくりをしたり国を発展させていくっていう話もあったよ。」
それを聞くと皆がキラリ、目を光らせた。
(あ…この感じは…)
「それはいいな。いずれにしても家をこのままにしておくわけにもいかないしな。モンスターもいるようだし、ここにぽつんと家があるよりは周りに街があった方が何かと便利だし、人手がある方が防衛もしやすいだろう。」
父が言う。
「街づくり!素敵だねぇ。
そういえば騎士さんに聞いたところリズちゃんたちのエメラルド国って農業が盛んな国じゃないみたい。外に出た時に確認したけど土も悪くないし、農業を売りにした街も悪くないんじゃないかい?」
婆が言う。
「いやいや、街を作るなら商業都市じゃろ!
行商も悪くはないがやはり拠点となるものも欲しいしの。
それに人手を増やして我らが世界の便利なグッズを特産にして売り出せるじゃろ?
ビッグチャンスじゃ!」
爺が言う。
「街づくり!いいねー!
俺好きなんだよなーそういうの。
ほら、よくやってたろー?
『来やがれ!もののけの森』
化け狸のタヌ助には世話になったなー。
あぁいう箱庭ゲーって好きなんだよー。
どんどん発展してー、人も増えてー…
いいね!街作ろう!」
兄が言う。
(あーやっぱり!皆好き勝手なことを言い出したよー。)
白熱する街づくり計画会議を頭の中でまとめていく。
「ちょっと待った!」
一度皆を止めると視線が集まってくる。
「盛り上がってるところ悪いんだけど、ここに勝手に街を作っていいのかな。
よく分からないけど許可とか…そういうのが必要なのでは?」
そう言いながらウィリアム先生を見る。
自然と他の皆の視線もウィリアム先生に集まっていく。
先生は期待の篭った目で見つめられて苦笑いを浮かべながら口を開いた。
「おそらくですが、街づくりは認められると思いますよ。
魔王を倒し世界を救ってくれた救世主様になんの報酬もないなんてあり得ませんし。
この地は資源も豊富で肥沃な土地ですが、魔王のお膝元で魔物も多く誰も寄り付かなかったのです。
王都からも離れており、このように何もない地に街が、それも異世界の素晴らしい知識の粋を集めた街なら我が国としても大歓迎です。
折角ですから我らが城のパーティの時に国王にお話しされてはいかがですか?
きっと良い返事を貰うことが出来ると思いますよ。
私も事前にそれとなく王に口添えしておきますね。」
なんとも頼もしい返事を聞いて街づくり計画会議がさらに白熱する。
ウィリアム先生まで参加してなにやら壮大な街づくりになりそうだ。
この指揮をとるのって…俺になりそうだよな…
はいはい、いつも通り。
好き勝手暴れまわる皆をまとめるのは自分の役目なのだ。
先の事を思うと胃が痛くなってくる。
「アキ、胃痛-LV.1がついたぞ。
酷くなるようなら早めに薬飲めよー。」
誰のせいだと思ってるんだよー。
なにやら壮大な街づくりが始まるようです。
16話兄のスキルに製薬をイメージして調合などを少し足してみました。




