表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/65

プロローグ

ー王城を背に広がる荒れた大地には数え切れぬほどの魔物が蠢き、それを取り囲むように鬱蒼と広がる森が獲物を招くが如く騒めいていた。

そんな中、紅い空に一筋の光が渦巻く雷雲を切り裂くよう地を照らしていた。


光のもとでは白銀の鎧を纏った騎士たちが一糸乱れぬ進撃を繰り広げ、その最前線、最も過酷であろうその場所に一人の美しい女がいた。

荒れ狂う魔物達を物ともせず、後頭部で一つに纏めた長く美しい白銀の髪をなびかせて舞うように斬り伏せていく女はふと立ち止まる。

その美しい翠の瞳に映るのは紅い男。

魔王と呼ばれるその男は満面の笑みを浮かべて女を迎えたー


「フハハハハ、よく来たなエリザベスよ。

よくぞこのロッソ=カルディナーレのもとへ辿り着いた。我のものになる決心はついたのか?」

男ーロッソはニヤニヤと楽しそうに女ーエリザベスに問う。

「貴方のように性格の悪い男はお断りです。」

エリザベスはにっこりと天使のように美しい笑みを浮かべそう答えた。

そして先ほどまで美しい翠だったその双眸はいつの間にか燃えるような紅に変わり、ロッソを映す。

「美しい…」

ロッソはエリザベスの瞳を見てそう呟くと、高らかに歌うように話し出す。

「エリザベスよ、その瞳には何が映る?

先見の瞳を持ち神の愛し子と呼ばれるお主にはこの世界がどう見える?世界は我が手で紅く染まりきったのだ。我を倒せる者はいない。そう、我を屠り世界を救える者なぞこの世界のどこにも存在しないのだ。」

ロッソの紅い瞳が伏せられ、僅かに諦観の色を映したが向かい合うエリザベス以外、それに気付く者などいない。

「世界は救われる。私にはわかる…。明るく、人々のあたたかい笑顔に包まれた未来がある。私はそれを信じたい。」

エリザベスの揺るぎない紅い瞳が真っ直ぐロッソを映す。

「…フハハハハ、()()()か。ではその未来が存在するのか証明してもらおう。」

ロッソは心底楽しそうに笑うと両手を天に掲げた。


突如として風が吹き荒み数多の竜巻が舞い上がる。それは建物を吹き飛ばし大地を蹴散らしながら敵も味方も関係なく生命を呑み込みその色を紅く染め上げていく。そして一際巨大な竜巻がロッソを中心に出現した。


ー最早世界は崩壊を待つのみー









ー世界が静止した。


一瞬、風が止み、音が止まり、光が瞬いた。

一番大きな竜巻の先で光り輝く魔法陣が展開される。

そしてーーー


紅い空を切り裂き天から舞い降りた…というより、とてつもない勢いで落ちて来たそれは一瞬のうちにロッソと周囲の魔物達を押し拉ぐ。

暗雲が立ち込めた紅い空は純白の雲が浮かぶ青空に変わり、地には人々を祝福するかのように暖かな陽の光が注がれた。

何百年にもおける人と魔の争いの終止符が不意に打たれ、辺りは静寂に包まれ…次の瞬間歓喜の声が世界に広がった。

初めまして。

お読みいただきありがとうございます。

細々と続けられたらと思います。

お手柔らかにお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ