アネモネの夢
初投稿です。その上駄文です(笑)
それでもよろしければどうぞ!
少女は今日もアネモネの咲く公園で誰かと話す夢を見る。
今日は卒業式だというのにも関わらずいつもと変わらない日々。その中で僕はいつものように教室に入る。
目の前には花瓶に活けられた花。その光景に驚く人も、笑う人も、もうこの教室にはいなかった。
「おい、なんか喋れよ、なぁ。」
僕に話しかける人がいる。生憎、今は声が出ないから返事をしようにもすることができない。
「喋れって言ってるだろ!」
彼は僕の机を蹴飛ばした。
机の上の花瓶は落ちて砕け、周りには水が広がり、クラスの人が皆目を背けている中で1輪のアネモネだけが僕のことを見ていた。
「やめなさいよ、みっともない。あとその花瓶片付けてよね。」
花瓶が割れて静まり返った教室に響く、澄んで凛とした声。
声の主である彼女は僕のすぐ側まで来て、落ちていたアネモネを拾った。その時チャイムが鳴り、落とした彼を含め同級生は皆いそいそと教室から出ていった。
「貴方に罪はないはずなのにね。」
彼女はアネモネの花弁を優しく触りながら呟いた。誰も居なくなった教室に2人と1輪、僕は彼女の頬を伝う涙に気付かないふりをした。
「いつかまた会おうね」
式が終わり解散となった教室で皆が口々に言う。そして1人、また1人と3年間過ごしてきた校舎から出て行く。最後に残ったのは僕と彼女だけだった。
「じゃあ、またね」
彼女は僕にそう言って教室を出て行こうとした。その背中が寂しそうで、離れ難くて、僕は声にならない声で叫んだ。
「待ってよ、僕を置いていかないで」
彼女は僕の方を向いた。そして笑顔で言った。
「また、会いに来るから」
だから今日も、誰もいない教室で君だけを待っている。
最後まで読んでいただきありがとうございました!