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流浪荘の管理人  作者: 中酸実
第一荘 あべこべ世界の管理人
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第九室 西野の見解

 土日で風邪を貰ってきてしまうとは・・・不覚でした。

 如何にも安価なオフィスチェアに背中を預けるように深く座る。ここは男性保護防犯課の事務室、今も忙しそうに職員が書類を手に右往左往している。

 そんな姿を尻目に私の机の上にあるコップを手にしてココアを一口すする。・・・出動前に淹れたのですっかり冷めている。


「ふぅ・・・」


 ふと、ため息が出てしまう。やはりこの職についても男性には慣れない。・・・まあ、私の心の持ちようだが。


「あら西野(にしの)さん、男性を置いてティーブレイクとは良い御身分ですわね」


 上から声がかかる、顔を向けると同じ職場で働く同僚が立っていた。


「あ、涼花(すずか)か。件の男性は東屋あずまや君に任せているよ」

「え?ダーリンが?」


 驚いたように彼女自慢の金髪が揺れる。


「何しろ、馬が合いそうだったからね」


 彼なら東屋君と良き友人になれるだろう、話してみてそれが実感できた。そう思いながら冷めたココアを飲む。


「ふ~ん、じゃあお茶を持って行かなくちゃね」

「彼らなら応接室にいるよ」

「分かりましたわ」


 そう言いながら彼女は少し速足で去っていった。あんな口調と為りだが細かいところが気配りが出来る女性だ、東屋君もそんな所に惚れたのだろうか?私もそんな所を気をつけてみようかな・・・


「その男性の話、是非とも聞きたいがね」


 そんなことを思っているとまた声がかかる、またかと思いつつ振り向くと。


「け、警部・・・」


 今度は野尾崎のおざき警部が立っていた。茶色にくすんだ白髪の彼女はこの部署の元締めであり敏腕刑事と言うナイスミドルだ。

 急いで立ち上がり要件を伺う。


「どうされたのですか?」

「なに、やっと私の部下に同性の友達が出来そうだと聞いてね」


 少し顔を綻ばせながら彼女は言う。

 流石にそれは東屋君がかわいそうだと思うが事実だ。彼が己の恥に気が付いてから気の合う『同性』の友達は出来なかった。


「で、どうだ?件の男性は偽っているのか」


 彼女は急に顔を厳しくさせ聞いてくる。『偽っている』と言うのは女性を(詐欺的な意味で)引っ掛ける為にわざと甘い顔をすることを指す。生憎、優しい男性は中々いないため直ぐにばれる事が多いが、一昔前にそれで大々的な事件があった。

 性格の悪い男性の方が男性らしいとは、何と皮肉なことだろうな。


「いえ、彼はその様な様子はありませんでした」

「そうか、百戦錬磨の西野が言うならば心配あるまい」


 その二つ名は流石に勘弁してほしい。

 とりあえず、私の目から見ても嘘をついてい様子や虚偽をしている様子はなかった。・・・ただ気になることが


「どうした西野?何か思うことが」

「どうも彼、社会経験が豊富なようです」


 そう、取調室で彼が椅子に座る時の動作は洗練されていた。そして、彼は終始背筋がきれいだった。こんなこと東屋君以外見たことがない。自然となるのならば、相当の場数に社会経験があると見える。


「西野がそう言うならばそうなのだろう」

「問題はその『場数』を『何処』で踏んできたかと言うと事なんですよ」


 そう、そんな話聞いたことない。男防に所属すならば、男性に関する情報が否が応でも入ってきてもだ。


「ますます面白いじゃないか。東屋君も良き友人をみつけたな」

「警部、人ごとのようですね・・・」

「それはさておき、件の男性は案外、我々が与り知らぬ遠い所から来たのではないのかな」

「ははは、ご冗談を」




 この時の野尾崎警部の発言は案外、彼の境遇を如実に表しているのかもしれない。

 今の今まで寝込んでたので本日の投稿が遅くなりました。すみません・・・

 さて、今回のキャラ紹介です。今回はこの人です!



野尾崎 ちづる ノオザキ チヅル

年齢・46歳

職業・男性保護防犯課 警部

趣味・座禅

好物・栗羊羹

家族・娘

誕生日・3月24日

座右の銘・悪、即、斬


 男性保護防犯課のナイスミドル(女性だけど・・・)経験から裏打ちされた支持と実力は確かなもの、若い頃は鬼神と呼ばれた敏腕警部。

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