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流浪荘の管理人  作者: 中酸実
第一荘 あべこべ世界の管理人
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第六室 男性保護防犯課

休日ですね、書き溜めしなくては(使命感)

 パトカーの後部座席に乗せられて揺られるさまは、自分が犯罪者になったのかと錯覚させる。

 まあ、犯罪を犯してはいないのですが・・・


「お客さん、男性なのに珍しいね。とても落ち着いているじゃないか」

「警部、お客さんって言うのやめて下さい。タクシーじゃ無いのですから」


 運転席から声がかかる、と同時に助手席から宥める声がする。すると助手席の警察官が顔をこちらに向ける。


「うちの警部補がすみません、あれでも悪気があったわけではないのです。許してください」


 そう言い彼は謝罪する、そう『彼』なのだ。男性が警察官をやっているのを見ると先ほどの101号室でのやり取りから、男性は希少と言う理論が早くも崩れそうになるのだが・・・


「い、いえ大丈夫ですよ」

「すみません・・・ほら、警部補も誤って下さい」


 男性が少ないので必然的に女性が強い社会なのだろうかと思っていたが、彼の反応を見るとどうもそうではないようだ。これでますます男性は希少説が怪しくなってきたのだが・・・


「う、うちのって・・・あ、すまんかったな」

「ちゃんと誤って下さいよ」


 立場が彼の方が強いと思っていたが、これはあれだ。彼、振り回されてばかりの苦労人ポジだ。


「あ、もうすぐ警察署だな。下りる準備しとけよ」


 彼の立ち位置が理解できたところで、遠くからでもよく分かる警察署らしき建物が見えてくる。本当に警察署に連行されるとは思わなかったが。

 ちらりと外を見ると休日の大通りだと言うのに男性が一人もいない、どうやら本当に男性の少ない世界に来てしまったようだ。





 ~時は少し遡り~


 事務の処理しているとジリリとの電話が鳴る。近くにいた眼鏡を掛けた女性が受話器を取り対応する。


「はい、こちら男性保護防犯課です。あ、はい、男性の要件ですね分かりました」


 僕らの勤めている部署、『男性保護防犯課』通称『男防』。主に男性絡みのトラブルを対処するのが僕たちの部署だ。この世界では女性と比べて男性が圧倒的に少なく、加害者側よりも被害者側にいる事が多々と言うかほぼ被害者である。また、この世界の男性は扱いが難しく、そう言った身近な案件に対応できるようにと作られたのがこの部署である。

 悠長に電話で対応しているのを見るとどうやら急ぎの案件ではないようだ。話を聞き終わったのか眼鏡の女性が受話器を戻しこちらに話しかけてくる。


「ダーリン仕事よ。直ぐにパトカーの準備できる?」

「あのな、だから仕事場でダーリンはやめてくれ」


 こめかみを抑えながら反論する。ああ、周りの視線が痛い。


「私とダーリンは夫婦なのよ、このくらい普通じゃないの」

「あのなぁ」


 確かに彼女、涼花すずかと僕は夫婦だ、仮初でも何でもなく本物の夫婦だ。社内恋愛と言うか彼女の猛アタックに屈した結果なのだけど・・・

 だからと言って、公私混同はホントにやめてほしい。ほら、周りの視線が痛いじゃないか・・・主に彼女に向ける恨みと嫉妬の視線が。


「はいはい、夫婦漫才はやめてほしいね。それと・・・フム、この案件は和真かずま君と、そうだな・・・西野にしの君に行ってもらおうか。出動できるか?」


 やっぱり警部に怒られたじゃないか・・・


「はい、問題ありません」

「万全ですね・・・折角、入れたココアが冷めてしまうのが残念だけど」


 僕と一緒に行くのは、警部補の西野刑事。彼女は32歳と言う若さで警部補になった敏腕刑事だ、

とても優秀なのだが時よりチラチラとこちらへの視線を感じるのは何故だろうか?

 今は、流石にココアをカップごと持っていくわけにも行かず渋々おいている所だ。

 それはともかくで彼女が出ると言うことは厄介な件なのだろうか。電話での対応を見る限りそこまでの件用には見えなかったのだが。


「警部!私は一緒ではないのですか!?」

「ああ、流石に公私混同する奴には任せられないからな」

「そ、そんな・・・」


 バッサリと涼花の懇願を一蹴する警部。まあ、彼女の方に落ち度があるので僕は一切の擁護はしないが・・・



 現場へと向かうパトカー内で警部補である西野さんに今回の件の内容を問う。妙に彼女がそわそわしているのは何故だろう?


「今回の件、そこまで重要だとは思わないんのですが。なぜ僕たちが出動することになっているのですか?」


 僕と西野さんのこのコンビは事件が重大な時に良く組まされるコンビだ。偶に+αが付いてくるが・・・

 「この世界でも滅多にいない男性刑事である和真君と、優秀で推理力のある西野君が組めば男性がらみの事件なら問題なく最大限の結果を引き出す」と警部が酒の席で言っていたような気がする。


「えっ、そういえば東屋にはこの案件の詳細は言っていなかったな。確かに男性絡みなんだが、ちょっと面倒な事になっているようだ」


 この人は僕の事を苗字である東屋と呼ぶ数少ない人物だ。僕が涼花と結婚して苗字が一緒になったので、同じ部署の人はほとんど下の名前で僕や涼花を呼んでいる。


「どこが面倒なのですか」

「ああ、男性が空き室に入って来たと言う旨なんだが・・・」

「それなら簡単な件なのでは・・・」

「人の話は最後まで聞きなさい、その男性が問題なのだよ」

「はあ」

「その男性はどうやらこの世界の常識を知らないようなのだよ。ただ良識はありとても落ち着いているようだがね」

「え?」


 一瞬、理解が遅れてしまった。良識はあるが常識がない、一体何の言葉遊びだと思ってしまう。


「ま、そこら辺は実際に会ってみると分かるだろう。何時ものように対応は任せた」

「はい、分かりました」


 どうやら問題のアパートに着いたようだ、彼女と一緒に車を降り電話の通りに101号室に向かう。

インターホンを軽く押し、暫くすると扉が開き若い女性が出てくる。


「男防の方ですかお待ちしておりました」

「男性保護防犯課の東屋です。あの、早速ですが件の男性は・・・」


 そう言うか早いか、若い女性と入れ替わりに若い男性が現れる。年の瀬は20代後半だろうか、短めの黒髪が好印象の中肉中背の青年だ。良くこんな好青年が今まで無事だったことに感嘆を覚えつつ、その男性に尋ねる。


「失礼ですが、貴方が問題の男性ですか?」

「えっ問題?あ、はい、そうですが・・・」


 一見したところ良識のある男性のようだ、何処に常識のなさがあるのだろうか?

 とりあえず署に同行してもらおう・・・


「ひとまず、署に同行お願いできますか?」


 男性は訝しんでいるようだが、僕が警察手帳を見せると納得したようだ。ここまで全く普通の人の反応のようだが・・・

 ひとまず署に向かおう、話はとりあえずそこからだ。

 さて、最後までお読みいただきありがとうございます。

 流石にキャラ設定が3話続けて出ないのは不味いのでします。

 今回はこの話の大半がこの人の視点でしたね、はいドン!



東屋 和真 アズマヤ カズマ

年齢・30歳

職業・男性保護防犯課 巡査部長

趣味・料理(主に菓子)

好物・野菜

家族・母 姉 妻×2

誕生日・4月14日

座右の銘・他人のふり見て我が振り直せ


 男性保護防犯課、通称男防に所属するこの世界では珍しい男性警察。

昔は性格がちょっとあれだったが職業柄、様々な男性と接するうちに改善。座右の銘はその経緯から。

 警察官としての能力はそこそこ、主に厄介な男性相手に駆り出せることが多いと言うのもあるが、男防の面々が濃すぎるので何かと気苦労が多い。因みに、第一夫人は彼の幼馴染。

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