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流浪荘の管理人  作者: 中酸実
第一荘 あべこべ世界の管理人
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第三室 ようこそ別世界へ

 本日二回目の投稿。さぁ、飛ばして投稿していきます!

 ・・・目が覚めるといつもの河川敷だ。ただ違うところは時刻は黄昏時になっている事だろう。隣にはあの不思議な子供はもういなかった。


「何だったんだあの子供・・・っは!?そうだ、荷物!」


 こんな時間にまで無警戒に昼寝をかましていた事に気付きそそくさと自分の所有物を確認する。

 ポケットにはスマホ、そしてバックにはアパートの自室の鍵に財布そして会社の書類一式がきっちり入っておりホッとする。


「って、なんで会社の資料が無事でホッとしてるんだよ。あの会社潰れるだろ・・・」


 無意識に会社の資料を見てホッとしている自分に、身も心も社畜になってたんだなと落胆する。

 何はともあれ荷物一式が無事だったのでよしとする。

 使い始めて二年となる相棒のスマホを見るとデジタル時計はもう5時半を表示していた、辺りを見回すと東の空には夜の帳が落ちてきている。


「もうこんな時間か・・・早く帰らないとな」


 何故だか身体がだるく、帰って自炊する気力はない・・・かと言ってここから自宅まで飲食店はない。仕方がないので途中にあるコンビニに寄って弁当を買うことにする・・・ちょっと値は張るがしかたない。



 金曜の夕方なので会社帰りなのでスーツ姿の人を見かける、しかし何故か女性しか見かけないが何かあったのだろうか・・・ねっとりとした謎の視線を感じつつそんなことを考えていると、中継地のコンビニが見えてくる。


「ふぅ、コンビニが見えて来たな。しかし視線を感じるな、俺の気のせいだろうか・・・」


 謎の視線から逃れるようにコンビニに入る。


「いらっしゃいま・・・せ」


 店内には暇そうにしている若い女性店員が一人いたが、俺の姿を視認するや否や言葉が途切れ棒立ちになる、まるで事態が呑み込めていないようだ。

 その姿を不思議に思いながらも店員が一人しかいない店内で買い物を続ける。

 ・・・やはりコンビニ弁当は高い、仕方がないので安価なおにぎりを3つ買う。さっきから店員さんの刺さるような視線が気になる。そんなこんなで品定めが終わり視線の本元であるレジに向かう。俺の顔に何かついているのだろうか?


「え、えっと、こちら3点でまっ、間違いないですか!?」

「は、はい・・・」


 レジに商品を置いたとたん、ロボのようにカクカクとした動きでレジを打つ店員さん。まるで初めての事で緊張しているかのようだ・・・


「さっ、3点でにっ、275エンです!」


 いや、流石にそれはおかしい。1個100円以上するコンビニのおにぎりが3つなのに300円になるはずがない。そんな簡単なことに気付かないほど馬鹿じゃないと思いつつ、店員さんに訂正を告げる。


「あの、375円じゃないですか?」

「えっ!?あっ!すっ、すみませんでした!!!」


 緊張のあまりどうやら素で間違えていたようだ。そこまで緊張するって新人店員さんなのかな・・・それにしては先輩店員を見かけないが。ふと、店員さんに視線を戻すと土下座するような勢いで謝罪する店員さん。流石に居心地が悪いので店員さんを励ます。


「誰にでも失敗はあります。そんなに過剰にならなくてもわざと間違えたことではないのは分かってますから。」


 ちょっと臭すぎたかな・・・相手が若い女性店員だったから格好つけたくなっとのは内緒だ。


「は、はい!ありがとうございます!私、精一杯頑張ります!」


 励ましが効いたのか、急に目を輝かせて身を乗り出す。余りの迫力にちょっと引いてしまう。


「あ、あのレ、レジの方をお願いします」

「す、すみません」


 少し落ち着いたのか今度は冷静にレジを打つ。その間に375円を用意しておく、ピッタリと有った少し気持ちがいい。


「改めまして、375エンです」

「はいどうぞ、ぴったり375円です」


 料金を渡し商品を受け取る、商品を受け取る時にわざとらしく手が触れたのは気のせいだろうか・・・

 何はともあれひと悶着あったけど晩御飯は無事にゲットしたし、後は帰るだけだ。


「有難うございました!またお越しください!」


 背後から声がかかるが、コンビニでこんな言葉聞いたのは初めてだ。

 コンビニから出る時にスーツ姿の女性にすれ違うが、この女性も例に漏れず驚いた顔で俺を見る。

 ・・・やはり顔に何か付いているのだろうか。


 外に出るとやはり視線が気になる。家に帰る足も少しづつ早くなり、住んでるアパートに着く頃には早歩きになっていた。今日は疲れた、早く帰って寝たい。


 何時もの事のように急な階段を上り、我が部屋203号室を目指す。もう何百回と繰り返した鍵を差し込み扉を開ける行為、ただ一つ違うのは扉を開けた先には塵ひとつもなかったと言う事である。

 ・・・いや語弊があった、塵しかなかった。




 あまりの事に先ほどの店員さんのように棒立ちになってフリーズする。見慣れた我が部屋が跡形もないのだ、無理もない。

 何時までそうしていたのだろう、余りの事が立て続けに起きて脳が理解するのを拒否している。頭が機能しない。ああもうだめだ、目の問題を後回しにしよう。

 そう決意し、何もない自室へと足を踏み出す。階段からハイヒールのカツカツと言う音が聞こえる。「あれ?このアパートに女性いたっけ?」そんなことを思いながら自室に倒れ込むように帰宅する。


・・・だが俺はこの時には気付いてなかった。もうすでに男女比が狂った不可思議な世界に迷い込んでいる事に。

 さて、今回もキャラ設定と行きたいわけでしたが。新キャラが出てきてないのでまた次回ですね(笑)

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