倉庫Ⅲ バイトっ娘の捜索 (蔦村学入居フラグ②)
どうも、テスト勉強のストレスから執筆に走ってしまう中酸実です。
今回の話はバイトっ娘・・・蔦村学のお話です。
夕日が落ちきり、夜の帳が掛かったこの時間帯、一人の会社員が何時もの帰路に着いていた。
「朝のあれはやばかった、もう少しで葵にばれるところだったね・・・」
お手製弁当の件は葵には何とかごまかしたけど、もしばれたならば社内の8割の女性にもれなく血祭にあげられていただろう。
ブルルッ
もしそうなった事を考えると・・・想像したくもないね。
そう言った結論にすぐに至ってしまうほどには、OLと言う職業は男性に飢えていた・・・まあ、OLと言う職業に限った事ではないのも事実なんだけど。
「さて、今日の晩御飯は何かな~」
来るべき至福の時に思いをはせらせ一人ごちる、予め帰る時間は伝えてあるので後は帰るだけだ。
仕事の後だけども、自宅に向かう足取りはっても軽い。今ならトリプルアクセルだってできそう。
何故、既婚者が早く自宅に帰りたがるのかが身に染みて実感しているきがした。
と、ふとコンビニに目が留まる。いつもならお金が無くてスルーするのだが、幸いなことに逆水さんが作ってくれているので食事代が浮いている。
「ここ三日間ずっと食事の世話になっているし何か買っていこうかな?」
本当ならお金を渡したいところだが「善意でやっているので」と言って受け取ってくれない。
それと何故か「お金なら無駄にありますからね。こういったことで還元させてください」とか言って遠い目をしてたかな・・・
「フフフ、この土日の二日間で逆水さんの趣向はバッチリリサーチ済みなのさ!」
贅沢品や嗜好品をあまり好まないだが、変わった物や期間限定に弱いのがテーブルの上に置かれた菓子類で分かった。
それと、お酒は好きだけどあまり飲まないと言うか安いビールとかを飲むと言った、お金を掛けない傾向にあるのが台所から見てとれた。
以上から導き出されるのは期間限定や新商品のお酒が好きなのではないか?
で、何故かは知らないけどお金はあるけど安いお酒で誤魔化してる・・・と。
コンビニならスーパーと違い、期間限定等の商品幅が広いので打ってつけだと思ったしだいだった。
「う~ん、もし外れてたら怖いから少なめにしとこうかな・・・」
そうブツブツ呟きながらコンビニの中に入っていくのであった。
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「う~ん、疲れた~」
客足のピークが過ぎ、ガラッとしたコンビニの店内でう~んと背伸びをする。
やっぱり、二十歳を過ぎるとおばさんになった感じがしてしまう・・・そんな事を人前でいったらタコ殴りにされる未来しか見えないが。
「蔦村さん、もう少しでシフト交代します」
「了解」
ふと、そんな声が裏から聞こえる。ああ、もうそんな時間か・・・
ちなみに先の声は先週、シフトに遅れてきたあの子だ。名前は新島だったっけ?
「はぁ~、今日も来なかったな~」
誰もいない店内には小言を聞く人などもちろんいない。
だからこそ、呟いたのもあるが・・・
チャララララ~ン チャラララ
入店のチャイムがコンビニの来客を知らせる。
おっと、真面目にバイト頑張らないと。
「あの人は・・・」
入店してきた人物に視線を移すと、見知った顔があった。
忘れもしない・・・『あの人』を妄想呼ばわりしたあの女だ。
約一週間前の事を思い出しながら視線を這わせていると、あることに気が付く。
「何か、妙に機嫌良いな」
全く見知らぬ人が傍から見ても分かるように、明らかにその女は上機嫌だった。一週間前は魚が死んだような目でこちらを睨んでいたのを覚えている。
そして彼女はお酒とつまみを入れているが、一週間前と違っておばさん臭くない至って若者が買いそうなチョイスをしている。
何よりも決定的なのは、ほんのりと軽くだが化粧がのっている事だ。
この症状に似たような事例を私は知っている。学友が奇跡と言っても過言ではないが、男性と付き合えた時の状態と全く同じだ・・・
っと、そんな解を頭の中で導き出してると。その女性がレジに向かってくるのが見えて思考を中断する。
レジの前にその女性が立った時に私の顔を見て、一瞬申し訳なそうな顔をして。
「あの、この前はゴメンさ。妄想乙なんて言って」
「どうしたのですか、急に」
色気づきやがって・・・こちらは折角できた意中の男性が来てくれないからイライラしてるんだよ!
流石に顔に出せないのできわめて平静を装いながら商品をレジに通す。
「だからさ、確かにこの前あなたが言ってたことは本当だったから」
と、ちょっとしおらしい顔で呟く。
・・・ん?ちょっとまって?今なんて言った。
レジ袋の中に商品を入れながら。もう一度、彼女の言った言葉を頭の中で反芻させる。
『だからさ、確かに「この前あなたが言ってたこと」は本当だったから』
この前、私が言ってたことは・・・
『容姿?それだけじゃないのですよ!彼、とっても優しかったのです!初めての男性に緊張のあまりミスした時も、罵りや暴力もするわけでもなく。私を≪笑顔で≫励ましてくれたんですよ!もう、あの笑顔と言えば最高なのd・・・』
そう、『優しい男性がいる事』じゃなくて『あの人の事』だ。
個人の事を言ったのを肯定するって事は、この女の人は少なからずも『あの人』について何か知っていると言う事だ。
こうなったら決意は固い。
会計を済ませ、お釣りを渡す時に・・・
「所で、やけに詳しい様ですが仲が良いのですね」
私はカマをかける。ここで勝負!
「そそそ、そんなことはないさ!さ、逆水さんとは只のお隣さん同士さ!」
冷房も暖房も要らない時期に不釣り合いな汗と明後日の方向を見る目の前の女性を見て。
掛かった!と思わずにはいられなかった。
と、流石に一筋縄ではいかないらしく。彼女はとっさに私が何を言ったのかを感じ取ったらしく。
「で、ではこれで失礼するさ!」
「あっ!」
と言って、彼女はレジ袋を持って逃げるよう出て行った。
もう少し反応が早かったら捕まえれてたのに・・・
「でもこれで、重要な情報がまた一つ集まったのです」
「あの人」の名前と・・・
「あ、蔦村さん何かあったの!?」
先のドタバタを聞かれたのだろう、裏から焦ったように新島ちゃんが出てくる。
「あ、いや、ちょっとした個人間のトラブルですよ。万引きとか強盗とかじゃないから安心して」
「良かった~」
ほっと胸をなでおろす新島ちゃん、小柄な彼女がやると何だか愛嬌のある仕草である。
「じゃあ、僕はあがるので頑張って」
「分かりました~」
そう言いながら手を上げる仕草は本当に小動物っぽい。
だけど私は知っている。新島ちゃんはどうやったら男性のモテ方とか熟知している恋愛猛者なのだ。
子犬みたいな雰囲気を醸し出しているが、その裏にはジャッカルの様な狡猾さがある。
そんな新島ちゃんを尻目に裏に戻りながら呟く・・・
「逆水・・・さん、か・・・」
自分の心の奥底に刻み付けるように言葉を捻りだし、そして決意するのだった。
「絶対に、絶対に成就したい」
未だに蕾の初恋を実らせるのかはたまた散らせるのか、この時答える人は誰もいなかった。
天才だけどおバカキャラっていいよね・・・と、この頃思う次第でございます。
やっぱ、シリアスと比べてキーボードが軽いです。でも、シリアスの方が良い話が書けるような気がします。やっぱり、時間かけて練っているせいですかね・・・
さて、今回はありますよキャラ紹介!てなわけではい、ドン!
新島 加恋 (ニイジマ カレン)
年齢・19歳
職業・大学生(専門学校)
趣味・恋愛(男女に関わらず)
好物・一味違った恋愛モノ
家族・母 姉
誕生日・11月22日
後輩系腹黒の蔦村のバイト仲間。
この小説、基本的に二十歳以下が珍しい部類に入ります。
と言いますか、登場人物の平均年齢は多分なろうでも高いほうになるんじゃないでしょうか?
これから登場を予定しているキャラでも二十歳以上がざらですし・・・
ああ、予め言っときますが誕生日に他意はないですよ。ええ、本当です。




