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流浪荘の管理人  作者: 中酸実
第三荘 隣人の事情
24/33

第三室 帰路にて

お酒は飲みすぎるものではないと実感している中酸実です。

追記;最後を変更しました。

 さて、大櫻(おおざくら)さんは命に別条がなくて本当に安心した。

 流石に、扉を開けたときに大櫻さんが倒れていたのは本当にビックリしたな。


「本当、面目ない・・・男性に手を煩わせるなんてさ」


 隣では大櫻さんが落ち込んだ様子でトボトボと歩いている。

 今は病院の帰り道、土曜の早朝なので人がいない。

 

「困っているときはお互い様ですよ」


 退院際に入来院(いりきいん)先生に言われた言葉がよほど心に刺さった様だ。


『流石にいい年した大人が男性に心配されるなんて、ちょっと女性として体裁が悪い、な』


 どうやらこの世界では男性を安心させられるのが良い女性の条件らしい・・・


「女性としてダメだよね私・・・」


 う~ん、心に深く刺さりすぎて重症化している。

 女性経験など皆無に等しいのでこういう時にどんな適切な言葉をかければいいのか困惑する。


「仕方ないですよ、体の事は案外その時になってみないと分からない事が多いですから」

「そう?」


 肩を落としままこちらに顔を向けて聞いてくる、まだその表情は暗い。


「ええ、ですからそう落ち込むことはないですよ」

「・・・そうね、このまま落ち込んでも仕方がないさ」


 よし、説得成功!これで何とかなったかな。

 ・・・ふと疑問に思ったことを聞いてみる。


「所で、栄養失調って医者は言っていましたがどんな生活をしていたのですか?」


 ビクッ!


 栄養失調でぶっ倒れるなんて、飽食社会であるこの国にとって余程の事がなければ起こらないはず。


「ん、大櫻さんどうしたのですか?」


 大櫻さんは急に立ち止まり顔をそらしていた。


「な、なんでもないさ」


 そう返事すると彼女は小走りでこちらに追いつく。

 どうしたんだろう、まだ入来院先生の言葉が根に持っているのか・・・


「まア、改めて聞きますけど。どんな生活を・・・」


 ビクッ


「ふ、普通の生活・・・さ」


 こちらに対してを顔をそらしているがその横顔には明らかに冷や汗がにじんでいる。

 流石に分かり易すぎませんかね・・・


「本当か?」


 声のトーンを下げて追撃の手を緩めない、気分は犯人を自白に追い詰める警察官だ。

 朝起きたら玄関先に死体がありました!なんてシャレにならないからな。


「うう・・・ずっとカップ麺生活でした」


 観念したのか大櫻さんはやっと自分の食生活を吐露する・・・うん、カツ丼は必要なくてよかった。

 あたりは付けていたがやっぱりカップ麺か。

 早くて安くて、それなりの味が保証されている現代社会人の必須フーズだ。


「流石に、カップ麺ばっかりだとしんどいですよね。他に食べるものは無かったのですか?」


 スーパーの惣菜なり外食なり対応出来たはず。


「さ、最近は金がなくてさ・・・それにカップ麺で倒れるとは思わなかったさ」


 カップ麺だとビタミンがないのを知らなかったのか。

 それよりお金がないって・・・何か大きな買い物でもしたのだろうか。

 ん?


「と言う事は、帰ってもカップ麺しかないのですよね?」


 カップ麺しか食べれないってどんな財政状況だよ。


「・・・♪~」


 誤魔化すように明後日の方向を向いて口笛を吹くが、大してうまくない上に何も解決していない。


「分かりました、食材を分けますからそれで何か作って下さい」


 何だろう、初めのうちは頼りになるお隣さんだったのに段々とダメな人に・・・

 流石にこれで何とかなるだろ・・・う。


 ダラダラダラ・・・


 もう傍から見ても分かるくらいに冷や汗をかいている大櫻さんに「またか」とため息をついてしまう。


「まさか、自炊が出来ないとか言いませんよね?」

「そそそ、そんな事はない、さ」


 わざとだと疑ってしまうぐらいに分かりやすい反応ありがとうございます。


「はぁ、分かりました。流石に、玄関先で倒れられたら困りますから。作りますよ、ご飯」


 一人暮らしが長いので料理を作るのは結構得意だったりする。

 一応、杉谷からはお墨付きを貰ってるからな。


「ん?どうしたのですか大櫻さん」


 急に立ち止ま・・・ってこのくだり、950文字位前にもやったぞ。


「え、え、えええ!!!」

「のわっ!どうしたんですか?」


 急に叫んだ大櫻さんにビックリする。


「い、いまなんて!?」


 何て言ったっけ、たしか。


「ええっと、流石に玄関先でた・・・」

「そこじゃない!もっと後!」


 もっと後と言うと・・・


「作りますよ、ご飯」

「本当に作ってくれるの!?」


 あまりの気迫にちょっと引いてしまう。

 期待に満ちた顔で返事を待つ大櫻さんに流石にNoとは言えない、男に二言はないしね。


 そんなこんなで話していると、いつの間にか流浪荘に着く。


「さて、まだ朝早いからお昼になったら部屋に来てください」

「は、はいっ!」


 いささか緊張しすぎなおもむきで大櫻さんは返事に、思わず苦笑が漏れてしまう。


「じゃあまた」

「はい、また!」


 そう言って、大櫻さんと部屋の前で別れる


「献立どうしよう・・・」

 灯台下暗し、身体が危険のサインを出すまで自分が気が付かないと言ったことは多々聞く。

 取りあえず当たり障りのない事を言っておく。




 実際の所、昼ごはんの予定は考えてはなかったがさっきの大櫻さんとの会話で現実味が一気に増した。


「そうだ・・・」


 大櫻さんとのさっきの会話で思い出す。

 思い出すと無性に食べたくなるのは人の性。


「カツ丼にしよう」


 今日の昼ごはんはこれで決まりだな・・・いや、病人にそんな物食べさせていいのだろうか?

 自身が食べたいのは山々だが今回は大櫻さんの為の料理だ健康にいいものを!


「う~ん」


 かと言って何を作ろうか決まっていない、仕方ないのでご飯を炊こう・・・

 この献立に関する悩みは時間いっぱいまで引きずるのであった。

次回はお料理回!出来るだけ早めの投稿を心がけます。

今回は短めでしたがどうでしょうか?取りあえず次話の為の繋ぎと言う感じですかね。

後、よろしければ本日投稿予定の活動報告、「考え中・・・」にて作者が新連載をするかどうかについての考えを述べておりますのでよろしければ覗いていってください。


プロットを見直して思ったのですがこれからしばらくはキャラ紹介がなさそうです。

期待していた方はすみませんm(__)m

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