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流浪荘の管理人  作者: 中酸実
第二荘 流浪荘の住民
18/33

第七室 新たな住人 前編

今まで音沙汰もなく申し訳ないです、これも全部レポートと言う名の地獄が悪い!

どうも、最近寝坊が多くなった中酸実です。本日中に頑張って後編を仕上げて投稿したいと思いますので何卒お待ち下さいm(__)m


6/21

ご指摘を頂いたので、改訂いたしました。物語の最後が異なっています、どうもすみませんm(__)m

 自分がこの世界・・・いや、この流浪荘の管理人となって10日となった。

 毎朝の日課と言えるこの掃除も、もはや慣れたものである。毎日する意味はないが住民とコミュニケーションの意味合いが強いので欠かさずやっている。

 ふと時計を見ると時刻は10時ごろ、そろそろかなと思っていると流浪荘の前に一台のトラックが停まる。そのトラックの側面には大手引っ越し業者を思わせるデザインが施されていた。


 ~昨日~


「明日、予定が空いているかですか。どうしてそんな事を?」


 何時ものように朝の掃除をしていると大家さんが話しかけてくる。

 そして、話しかけてきた内容は・・・


「そうやねぇ、明日はぁわしはチョイとぉ用事でなぁ」


 でも、いくら明日大家さんが用事があるからと言って、何でこちらの予定を窺うのだろうか?


「予定は開いていますが・・・どうしたのですか?」


 自分で言ってて何だが、平日は本当にやることがないからな。


「えぇ、明日はぁ201号室にぃ新しぃ住人がぁ来るんやよぉ。でぇ、そのぉ人のぉ対応ぉお願いしたいんやよぉ」


 ああ、納得した。要するに『明日、自分は用事があるから代わりに対応をお願いしたい』だろうな。


「分かりました。で、自分は何をすればいいのですか?」


 引っ越しの受け入れなんてやったことがない。


「それならぁ、後でぇ詳しくぅ説明ぃするけどぉ。主にぃ・・・」


 どうやら、後で必要なものを渡してもらえる様だ。せっかくこのアパートの世話になっているし、これくらいは管理人として頑張らないとな。



 ~そして現在~


「今日はよろしくお願いします」


 そんな言葉に現実に引き戻される、目の前には帽子を取った青の作業着の引っ越し業者が佇んでいる。後ろでトラックから荷物をおろしている2人と同じ作業服なのを見たところ、目の前の人物はどうやら責任者の様だ。


「はい、こちらこそよろしくお願いします。このアパートの管理人の逆水さかみずです」


 軽くお辞儀をしてニコッと微笑む、社畜生活で身に着いた世渡り術だ。


「は、はい、これはご丁寧にどうもです!わ、わたくしは今回の責任者の飛島とびじまです。よろしくお願いします」


 ・・・やはり営業スマイルは男性に耐性のあまりないこの世界の女性にはきつかったかなと、目の前の彼女の反応を省みてそう考える。そう、この世界の引っ越し業者の作業員は全員女性なのだ。前の世界では女性の引っ越し作業員も珍しくはなかったが、やはり力仕事=男性と言う固定概念が強いので違和感を感じる。


「では、部屋を紹介しますね」

「は、はいお願いします」


 そう言って責任者の飛島さんを201号室に案内する。階段を上がってすぐと言う比較的近い距離だが、やはりこの急な階段が問題となってくるだろうな・・・そう思いながら飛島さんを案内していた。




 餅は餅屋と言う言葉があるが全くその通りだなと目の前の光景を見て実感する。

トラックの荷台にあった荷物が手慣れた手つきで運ばれていくのだが、コツがあるのだろう明らかに重そうな洗濯機や冷蔵庫が軽々持ち上げられていく。

 手伝おうと思っていたがこれじゃ逆に邪魔になるな・・・と、そんな事を思っていた矢先の出来事であった。


「あ、危ない!」


 ガシャン!!!


 作業員が例の急な階段でバランスを崩して転倒したのだ。

 「階段の昇り始めだったので軽い程度で済んだ」と転倒した本人が状況を言うと、その報告を聞いた責任者・・・飛島さんは


「だから、いくら軽い物を運んでいるとはいえ油断してはいけないだろうが!」


 責任者である飛島さんの叱責が怪我をした作業員に飛ぶ、怪我をした作業員は立って話を聞いているが足が痛むのだろう怪我をした足を庇うように立っている。

流石に見てもいられなくなり・・・


「ちょっと待ってください!え~と、君、座ってくれる」

「あ、ひゃい」


 名前がわからないので君呼ばわりだがそこは勘弁してほしい・・・

 いきなりの事で飛島さんは困惑しているようだが、その間に怪我をした作業員を座らせる。

 うん、この間に怪我の様子も見よう。


「ちょっと、足の具合を見てみるよ」

「え!え!?」

「・・・!?」

「ちょちょっと、逆水さん!」


 急に作業着の裾を捲る姿に飛島さんを含む作業員が三者三様の反応を示す。

 流石に断りもなしないのは失礼だったかな・・・

 でも、怪我をした作業員の足首は赤く腫れている。おそらく捻挫だろう早く冷やさないと・・・と、その前に。


「少し待ってください、すぐに冷やすものを持ってきます。それと飛島さん、部下を叱るのはいいですがまずは怪我の様子を見てください」

「は・・・はい」


 責任者に釘を刺して、急いで自室に戻り保冷材に包帯を持って階下に降りる。

 出来るだけ急いだのと突然の事で状況が読み込めていないのか自室へと戻ったそのままの状況だった。


「ちょっと冷たいですが我慢してください」

「は、はいっ!」


 一言断りを入れてピタッと保冷剤を当て、包帯で固定する。


「はい、一応固定したけどずれやすいから自分で固定した方が良いかな」

「は、はい、ありがとうございます!」


 説明の為に面を上げて怪我をした作業員の顔を見ると彼女は夢見心地の様だ・・・何かしたかな?


「え、えっと、逆水さん佐津川さつかわの手当ありがとうございます。本当はわたくしがしなければならないのに申し訳ない」


 さっき怒られせいか、気まずそうにお礼をする飛島さん。怪我をした作業員は佐津川と言う名前か。


「大丈夫ですよ、これくらい何てことないです」

「そうか・・・佐津川、ちゃんとお礼を言っときなさい」

「あ、ありがとうございます」


 こちらを見てお礼を言う佐津川さん、頬に朱がさしているのは気のせいだろうな。


「佐津川さん・・・ですね、どういたしまして。それと、急に足を見てすみません」


 その言葉を聞くとブンブンと首を振った後。


「そ、そんなことないです!」


 と強く否定した、余りの強い否定っぷりにちょっと驚いた。


「え、えっと作業は大丈夫なのですか?」


 佐津川さんが怪我をしてから、もう一人の作業員を含め作業が止まっているので飛島さんにそんな事を聞いてみる。


「ん、ああ、荷物は運び終わったから心配ない」


 口調が変わってる・・・こっちが素なのかな。


「それならよかったです」

「こちらこそ、世話になってすまなかった。さて、そろそろ依頼主が来る時間帯だな・・・」


 そんな事を呟き腕時計で時間を確認する飛島さん。それにつられて自分もスマホで時間を確認する。

 時刻は11時45分前、確かにもうすぐ約束の時間である12時だ。


 とふと、顔を上げると流浪荘の前に一台の軽自動車が停まる。おそらく201号室の新しい住人だろう。車から一人の女性が降りてくる、年齢は30~40代ぐらいだろうか。あ、こちらに歩いてくる。


「あ、逆水さん、ちょっと失礼します」


 そう断って車から降りた女性の元へと歩き出す、やはり彼女が依頼人なのだろう。


「荷物の搬入作業終わりました、確認をお願いします」


 丁度、流浪荘の入口と飛島さんと話していた半分ぐらいの距離だろうか。遠くない距離なので会話が聞き取れる。


「ありがとうございます。その前に、このアパートの大家さんに挨拶をさせてくれませんか」


 その言葉にハッとして、彼女たちの元へと早歩きで赴く。


「それでしたら・・・彼が本日、大家さんの代理人の逆水さんです」

「管理人の逆水です、新しい入居者ですね」


 早歩きでこちらに来るのを確認してから流れるように紹介する飛島さんに合わせて、自分も自己紹介をする。

 やはり、男性が管理人をしていることに相当珍しかったのか驚いた表情を見せる。


「男性が管理人をしているのですね・・・これならあの子も」


 後半はよく聞き取れなかったが、男性が管理人をしているのは信用できないのかな?


「やはり信用出来ないですよね、今すぐとは言いませんが徐々に信頼してくれれば・・・」

「いえいえ、貴方が信用ならないわけではないのです。それに私は入居者ではないですよ」

「え、それはどう言うことですか?」


 てっきり目の前の女性が新しい住人だと思っていたので当惑してしまう。

 その当惑も一瞬、ガチャリと音を立て人が軽自動車から降りてくる。


「今日から入居するのは私の娘です、管理人さんこの子をよろしくお願いします」

「えっ!?」


 車から降りて来たのはどうみても10代の少女だ・・・この子が新しい住人?

マリシャスさんに紹介してもらえて本当に恐縮でございます。未だに稚拙な部分は多々ありますがエタらないよう頑張っていきたいと思います。

さて、今回のキャラ紹介はこちらのお三方です・・・何気にキャラ紹介3つ同時は初めてですね。


飛島 弘美 トビシマ ヒロミ


年齢・34歳

職業・佐藤急便作業員

趣味・ランニング

好物・ハンバーグ

家族・娘

誕生日・8月13日


 引っ越し業者、佐藤急便の現場作業員責任者・・・決して佐川〇便とは何の関係もありませんフィクションですからね。

努力家で部下に対する気持ちは真摯であるが、その態度が時には仇に。

 一児の母で娘の為に今日も仕事をこなす。名前の由来は飛脚から・・・だから佐〇急便とは何の関係もありません。



佐津川 しの サツカワ シノ


年齢・22歳

職業・佐藤急便作業員

趣味・ペーパークラフト

好物・オムライス

家族・母、姉

誕生日・5月17日


 ちょっとお調子者の作業員。一応この先、この作業員三人は再登場の予定あり。

 名前の由来は・・・うん、察して。



月脚 奈緒 ツキアシ ナオ


年齢・23歳

職業・佐藤急便作業員

趣味・ヒューマンビートボックス

好物・ナポリタン

家族・母、妹

誕生日・11月9日


 寡黙な作業員、一番目立たなかったが。作者自身この三人の中で一番設定を考えていた人物。

詳細は明かせないけど、寡黙な様子からは見受けられないがストリートアーティスト。

公私はきちんと使い分ける人物、名前の由来はもちろん飛脚から・・・月脚なんて苗字初めて知った。

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