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プロローグ
「人生の中で一番楽しいのは高校生の内だ。」
大人はみな、口を揃えてこう言う。
確かに土日祝日に休みがあり、友人と毎日のように話ができて、好きなことに打ち込める。働いている人間からすれば高校生という職業はなかなかに魅力的であろう。
だがしかし、それは友人も多く部活にも所属し、「高校三年間の青春」という使命を全力で全うしている人間であって初めて成立するのである。
つまり、悲しくも俺にとっては当てはまらないのである。
そんな俺にも転機があった。
俺の日常をいともたやすく壊した彼女は、あまりにも美しくて、自由で、そして「狂っていた。」