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3話:第一村人発見?

3話:第一村人発見?


春のように暖かな午後の木漏れ日の森を歩く二人組がいた。

片方は水色の髪に西洋風のドレスを身に纏った少女。

もう片方は、黒髪に学生服でリュックを背負い、刀を手に持った少年。

セリアと智春ともはるである。

二人は深い森の中を人里目指して歩いていた。

「なあ、いつになったら着くんだ?」

「知らないわよ、私は生まれてこの方あの洞窟を出たことないのよ。」

二人は黙々と進むが一向に人の気配がしない。

「はあ、今日も野営ね。食糧は大丈夫かしら?」

「あと、二日ってとこかな。」

リュックの中を確認しながら智春は危機感を覚える。

どうしてこうなったか、洞窟を出てからの事を少し話そう。

洞窟から出た二人は最初智春がやっていたように、木に目印をつけながら北に移動した。

セリアが北に村があることを知っていたかあらである。

しかし、セリアが珍しいものを見つけては走って道を外れたり、立ち止まったりと不規則な動きで進行方向を大いにずらし、そのまま北に進んで村に行き当たる可能性がほとんど無くなってしまった。

そのため、かれこれ4日間当てもなくさまよい歩いているのである。

「それにしてもセリアは洞窟に籠ってた割にはいろいろ知ってるな。」

「別に好きで籠っていたわけではないわよ。あの洞窟で生まれたんだからしょうがないじゃない。」

セリアは唇を尖らせる。

「でも、ずっと洞窟の中にいて言葉だったり村の位置だったりどうやって知ったんだ?」

「ふっふん、それはね、いつでも旅に出られるように精霊図書を使って調べたのよ。」

「精霊図書?なんだそれは。」

程よい大きさの胸を張って威張るセリアに智春は訝しげな目線を送った。

「精霊図書っていうのはね、まだ土地に縛られた状態の精霊のみが閲覧できる仮想情報施設よ。そこには色々な情報があるの。」

「ふーん、すげーな。で、それで村の方角が分かってたのか。」

「ええ、私はあの洞窟から出たくて、近隣の村を探して見つけたの。それに、どこにでも行けるようにこの世界の全ての言語も覚えたし、旅に役立ちそうなことはあらかた覚えたわ。」

「そっか、だからあんなにはしゃいでたのか。」

「それで遭難してしまったことは、すまなく思ってるわ。ごめんなさい。」

「いや、いいさ。俺だけだったら村がどの方角にあるかすらわかんなかったんだから。大体の位置が掴めてるだけまだましさ。」

揚々とした態度から一転、しゅんとした表情をするセリアに智春は微笑みかけ、その頭をなでた。

セリアは嬉しそうに頬を染めた。

「じゃあ、セリアはこの世界ことは大体わかるのか?」

「ええ、でも人間の魔法や政治といった、私たち精霊に関係ないことはわかんないわ。」

「ああ、じゃあ、分かる限りでいいからこの世界の事を教えてくれ。」

「いいわよ、でも少し長くなるわよ。」

「いいさ、どうせ歩いてるだけだから。」

「それもそうね。」

セリアは微笑み話し始めた。

「まず、この世界には人族、獣人族、魔族、竜族、精霊、魔獣や獣などが暮らしているわ。そして、大地は、いま私たちがいる中央大陸を合わせて3つの大陸と間の海に浮かぶ小さな島々があり、各地でいろいろな文化が形成されているの。そして、言語は今私たちが使っている『カサラス語』を公用語としているのだけれど地方独特の言語や種族特有の言語なんかもあるわ。精霊で言う『古代語エンシェントスペル』のような物よ。」

「そうか、でも言語は多分問題ないぜ。ここに送ってくれた神がこの世界の全言語を分かるようにしてくれたんだ。」

「へ?なら『古代語』もわかるの?」

『ああ、この言語だろ?』

セリアの顔が驚愕にそまる。

「うそ、かなりの難解言語なのに・・・」

「そんなことより、続きを聞かせてくれ。」

釈然としない表情のセリアを智春は促す。

「ええ、では通貨ね。単位は『ピクル』というの。1ピクルが粗鉄硬貨で10ピクルが小銅貨、100ピクルが大銅貨、1000ピクルが小銀貨、1万ピクルが大銀貨、10万ピクルが金貨、という感じになっているわ。」

「ち、ちょっと待ってくれ。金貨は10万ピクルなのか?」

「ええ、そうよ。」

智春は自分の持ち金に冷や汗をかいた。

「そ、そのピクルの価値はどのくらいなのか?」

「そうね、金貨1枚あったら1年は軽く遊んで暮らせるわね。」

「えっと、その、今話題の10万ピクルが10枚もポケットの中にあったりします。」

智春は嫌な汗をかきながらポケットの中から金貨をつまみだした。

「なんで、あなたがそんな大金を持ってるのよ。」

「神様からもらいました。」

「相手があなたじゃなかったら正気を疑う発言ね。」

セリアは顔に手を当て嘆息する。

「まあ、持ってて悪いものでもないし、村に着いたら両替でもしましょう。そのままでは下手に買い物もできないわ。」

「ああ、分かった。」

そうこう話しているうちに日は傾き始め、もうすぐあたりは夕焼けであたりは赤く染まるだろう。

「今日はここらで野営にするか。」

そういうと智春はリュックをおろし、薪になりそうな枝を探し始めた。

セリアは食べれる野草を探す。


キャーーーー


智春が薪を探し終え、縄文時代のような方法で火をつけようとしている時、どこからか女性の悲鳴が聞こえた。

「セリア‼」

智春は手に持った枝を投げ捨て刀を手に立ち上がると、小藪からセリアが出てきた。

「私は大丈夫よ。それよりあっちから聞こえたわ。」

そうセリアが指差した方向に智春は走り出す。

セリアは集めた野草を智春のリュックに詰めるとそれを背負って智春の後を追った。

少し行くと開けたところに行き当たり、智春はそこにいつかの1本角の熊と腰を抜かした少女を見つけた。

「ちっ、またこいつかよ。あんた、逃げろ。」

智春は悪態をつき刀を抜き放つ。

「こ、腰が抜けてう、動けないの。」

少女は目に涙を溜めて首を横に振った。

「くそ、この馬鹿熊こっちだ。」

足元にあった枝を投げて熊の注意をひこうとするが、熊は少女を獲物と決めたのか見向きもしない。

「『一角熊ホングル』?森でこいつに会うとは最悪ね。」

追いついたセリアは、熊、ホングルを見てうめき声を漏らす。

「トモハル、あいつは鼻が弱点よ。わたしが女の子を助けるからその間なんとかして。」

「こっちの世界も熊の弱点は一緒か。分かった3分でなんとかしてくれ。」

「了解よ。」

そう言うとセリアと智春は合図もなしに一緒に駆けはじめた。

3メートルはあった距離を智春は一瞬で詰め、抜身の刀の腹でホングルの鼻づらを叩く。

「グゥ、ガァル」

ホングルは一瞬面喰い、すぐに標的を智春に変更し襲い掛かる。

ホングルの爪による攻撃を智春は回転しながら避け、流れるように斬撃を繰り出す。

「っつ、たぁ‼」

智春の攻撃はホングルの左腕の中ほどに当たり、切り跳ばす。

「ガァァァァァァァァ」

ホングルは片手を失った痛みに横にあった木をなぎ倒す。

「っぶねえ。」

倒れてくる木を避けながら、智春は腕が無くなり隙ができた方側から間合いを詰め、刀を薙いだ。

智春の斬撃はホングルの首を捕え、斬り跳ばした。

ドサッ

「ひぃぃ。」

跳んだ首は、運悪く避難したセリアの前に飛び、その角が地面に突き刺さった。

目の前に首が飛んできてもセリアは物怖じしなっかったが、少女は恐怖のあまり意識を手放した。

「あー、悪りい。」

智春は申し訳なさそうに近づいてきた。

「はぁ、獣とはいえ中級の獣を一人で仕留めるなんて。」

「なんだ、これ、すごいことなのか?」

智春はセリアの反応に首を傾げる。

「ええ、人間のギルドでの発表では一般人では5人がかりでやっと仕留められるわ。っと、そんなことより近づかないで、生臭いわ。」

セリアはその小さな可愛い鼻をつまみ、しっし、しっし、と手を振った。

「ひでー、」

智春はその行動に少し涙目になりながら尋ねる。

「この熊食えるか?」

「ええ、ちゃんとした市場に持っていけば、その大きさならおそらく小銀貨2枚くらいになるわね。ちょうどいいわ、服を洗う前に血抜きをお願い。」

「はいはい、人使いが荒いな。」

「むう、悪かったわね。」

頬を膨らませむくれるセリアを横目に智春はホングルの血抜きをしに行ったのだった。


お話を読んでいただきありがとうございます。

皆さんお気づきの通り、この小説は主人公は最強?です。

段々エキサイトしていくので、今後の展開にご期待ください。

では、また次のお話で会いましょう。

感想、お待ちしています。

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