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1話:異世界へ行ってきます

1話:異世界へ行ってきます


意識が覚醒する時のあの妙な感覚が智春ともはるを襲う。

寝ぼけた思考の中で智春は眠る前のことを考えていた。

『確か、俺はセンター試験を受けて・・・っと、やばい!センター二日目がっ‼』

飛び起きた智春を迎えたのはいつもの見慣れた天井ではなく、暖かな木漏れ日と小鳥のさえずりだった。

「ここはどこだ?」

見たことのない風景に智春は混乱する。

カタン

後ろから聞こえた物音に智春は振り向いた。

するとそこには、白いゆったりとした服を着て、これまた白い髪とあごひげを蓄えた老人と白い貫頭衣を着た目の眩むような金髪の女性が優雅にチェスをしていた。

智春はこれは夢だと考え、横になりまた目を閉じた。

「マスター、そこの者が目覚めたようですが。あっ、チェックです。」

智春の耳に心地よい女性の声が届いた。

「そうはさせん。っと、起きたじゃと?知らん、無視してよい。」

「そうは参りません。っと、無視しておくのはまずいかと。」

「こっちがチェックじゃ。良いのじゃ、わしが勝つまではやめん。」

「私に勝つ?ふっあまいですね。チェックメイトです。これで467,721勝目です。」

「くっ、もう一回じゃ。」

「職務を果たしてください。」

「小僧など知らんわ。わしの休み時間わしのやりたいことに使うのじゃ。」

「はあ、まったく。」

バキッ

そろそろ無視するのも限界に達した智春は、再び身体を起こした。

すると、そこにはさっきまでの優雅な風景は無く、地面に倒れ伏す老人と拳を握りそれを見下ろす女性。

と、なんともバイオレンスな風景が目に入ってきた。

智春はその惨状を見て、女性に話しかけた。

「あの~、つかぬ事を伺いますが。ここはどかなんですか?」

「あら、おはようございます。ここは『神の箱庭エデン』というところです。」

女性の言葉に智春の表情が凍る。

「あらあら、どうかしましたか?」

「いや、あの、って今日のセンター間に合わねえ!」

智春のずれた言葉にその女性がまるで女神のような微笑みを浮かべた。

「大丈夫です。安心してください。だってあなたは、「がっほ、ごほごほ。」ですから。」

女性の言葉の重要な部分を倒れ伏した老人の咳がかき消した。

「えっ?なんて言ってんですか?」

「主は死んだのじゃ。」

「へ?お、俺が死んだ?またまた~、そういう冗談は不謹慎ですよ。」

「冗談ではない。ほれ。」

老人がそう言って手を振ると、智春の前にウインドウが現れた。

そこにはテレビのようにニュースが映っており、崩れたトンネルと潰れた電車をバックに『トンネルが崩落、終電の電車最後の一両が間に合わず』という何とも悲しいニュースが流れていた。

場面が変わりニュースキャスターらしき男女がその事故の内容や責任について語っていた。

そして、バックの画面には『運悪くセンター帰りの受験生巻き込まれる。』と、他人のような気がしない哀れな学生のことが書いてあった。

いや、智春は思い出していた。

「あ~、俺死んだんだな。」

悲しげに声を上げる智春にもっと衝撃なものが流れた。

場面が変わり、被害者の遺族へのインタビューで、智春の父、青山冬貴あおやまとうきが涙を流しながら喧嘩別れした後悔を述べていた。母の夏苗かなえは、涙で全く話すことができていなっかたのだ。

智春にとって父は厳格な存在であり、医者としても優秀で涙など見たこともない完璧な存在だった。

母は温かく、智春の温厚な性格はその温もりに作られたと言っても過言ではなっかた。

その二人を悲しませ、涙を流させたことは、智春にとってかなりくるものがあった。

肩を落とし悲しむ智春に老人は話しかけた。

「そのなんじゃ、薄々感づいておるとは思うが、わしは神じゃ。その、落ち着いたら水の音のする方に来るとよい。」

老人、神はもっと軽いノリで行こうと考えていたが、予想よりも激しい智春の落ち込み方にそばにいた女性、秘書係の天使とともに歩いて行ってしまった。

智春は一通り落ち込むと、気分を入れ替えて歩き出した。

「よっしゃ、次は新しい天国ライフを始めましょう。」

良いところか、欠点か、この智春ともはるという少年は切り替えが早かった。

神に言われたとおりに水音のする方へ歩いていくときれいな泉に行き当たった。

「どうだ、落ち着いたか小僧。」

泉のほとりでティータイムをしていた神と天使が立ち上がり話しかけた。

「ああ、すまん。何の話をするんだ?天国での注意事項か?」

「いや、すまんが小僧には天国でなく、行ってもらいたいところがある。」

「え?天国じゃないなら地獄?俺悪いことしたかな?」

予想外の答えに冷や汗を流す智春。

「悪いことなら色々ありますよ。小学校の頃、好きな女の子のかさをわざと間違えて持って帰ったりとか、近くの駄菓子屋で店主のおばちゃんを騙して料金以上のお菓子をもらったりとか、まだありますが聞きます?」

「いや、結構です。分かりました地獄に行きます。」

過去の悪事をばらされ、肩を落としていう智春を神がなだめた。

「そのくらいは子供のいたずらじゃ。地獄に行きはせんわ。お前もからかうでない。」

「はい、申し訳ございません。うふふふ。」

反省した様子を見せず笑う天使に神はため息をつき、智春に話し始めた。

「すまんな、本題に入ろう。お主、進路調査書を覗かせもらったが、異世界に行きたいのか?」

「えっ、見てたのか。まあ、夢見たことは何度もあるぞ。」

「そうか、なら魔法や魔物、精霊の存在する世界に行ってみないか?」

「いけるのか?」

智春は突然のチャンスに驚く。

「普通は無理じゃ。じゃが、とある世界でわしがまちっとなんでもない、不備が出てな、存在が一人分足りんくなったのじゃ。だからその枠を埋めてくれんか?」

「おう、願ったり叶ったりだ。頼む行かせてくれ。」

智春は一二もなく言った。

「そうか、行ってくれるか。なら礼に、お主の愛用だった刀とお主の中の魔力の受け皿を大きくしておこう。言語は気にするな、向こうのすべての言語と文字をお主の脳に書き込んでおこう。」

「なんか、いっぱいサンキューな。」

「よい、こちらも助かるからな。では、第二の人生を大切にな。」

「おうよ、いってくるぜ‼」

そういって、智春の体はエデンから消え去った。

「マスター、寝ぼけてヤってしまった罪滅ぼしできてよかったですね。以後お気を付けください。」

「うるさい、寝ぼけても、もうトンネルなど壊さんわ。」

二人だけになった空間にその声はよく響いていと。

どうも、このお話を読んでいただきありがとうございます。

「異世界まだかよ」との声も聞こえるようでありますが、次話ではちゃんと異世界です。安心してください。

次の投稿日は未定ですがなるべく早く投稿したいと考えます。なので、見切らないでいただけると幸いです。

また、感想もどしどしお願いします。(なるべく優しくがいいな~)

では、少しの間のお付き合いを

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