欲しがりの独り言
欲しいと思うものはたくさんあった。
全てを望んだわけではないけど、多くは望んだのかも知れない。
だからこそ、今私は動けないのだから・・・
彼は笑って夢を語っていた。私はただ黙って聞いていた。だって何を言えば良かったのだろう。
付き合いはじめの彼女が辞めてなんて言える権利はない。
だって始まったばかりの関係を壊したくない一心と今だけを見た刹那主義がまざって少しだけの肯定と笑顔を彼に向けた。
そんな彼との付き合いも1年を過ぎ、彼との結婚を意識したとたんに私は不安に苛まれてしまった。
彼の夢を叶えて結婚生活をおくれるほどの収入があるのか、子供も欲しいと思ってるけど育てていけるのか・・・
共働きになるのは不満はないけど負債を抱え込みそうで怖くて辞めてほしい。
そんなことを思っても彼には言えない。
言って彼を無くすことが怖い。
こんなに自分が臆病者だなんて思ってなかった。
「馬鹿みたい・・・」
今日も言葉は宙に浮かんで消えていった。
ただ私だけが聞いていた。