プロローグ
突然だが、かわいい義理の姉か妹、もしくはイケメンの義理の兄か弟が欲しいと思ったことはないだろうか?
俺はない。なぜなら俺にはかわいい義理の妹がいるからだ。
この時点で俺を羨ましく思う人も多いであろう。実際、友人達はいつも、お前はいいよな~、とぼやいている。
しかし、幸せとは見方を変えれば不幸になるものだ。特に、他人からみた幸福は当人にしてみれば不幸であることが多い。
そう、俺にはとってはかわいい義妹がいることは不幸でしかない。というのも
「あれ、坂口じゃね?」
「ほんとだ、マジかわいい!」
「いいよなー、あれ」
可愛すぎるのだ、我が義妹は。
少し幼い顔立ちとおちついた金色の長い髪、少し青い目は彼女がクォーターである証だ。
金髪ロングの美少女なんてそうそういるわけがない。当然、注目を集め、入学から半年ですでに学園のマドンナ化し、先月の文化祭ではミス御門に選ばれ、学校中の生徒が『坂口 みおり』の名前を知っている。
そんな超有名人に
「一緒に帰ろう? お兄ちゃん」
なんて言われれば、俺がどんな目にあうかは察していただけるだろう。案の定、辺りの男子生徒から殺意のこもった視線を受け、むだに注目を浴びた。
まったく、俺はもっと静かな生活を送りたいというのに。
隣で、どうしたの? と首を傾げるかわいい義理の妹を見ながら、俺は強く思った。
義妹がヒロインなんて、絶対にありえない。