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「器」執筆物語  作者: 猿吉


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第三話 澪

まず最初に、ここまで読んでくださったあなたに礼を言わせてほしい。


本当にありがとうございます。


それと同時に、正直少し驚いている。

あなた、本当に凄いですね。

どうやってここまで辿り着いたのですか。

物語というものは、途中で心が離れてしまうことが多い。

忙しさに流されたり、興味が薄れたり、あるいは単純に忘れてしまったり。


それでもこの文章を読んでくださっているということは、

少なくともあなたは「器」という物語のどこかを、気にかけてくださっているということだろうと思う。


書いている側としては、

びっくりするやら、ありがたいやら、少し照れくさいやら、である。


長い道を歩いてきたら、

途中の茶屋で「ここまで来ましたね」と声をかけられたような気分だ。


さて、このエッセイでは

「器」を書くにあたっての、いくつかの裏側を少しだけ語ろうと思う。


まずは、澪についてである。


本編を読んでいる方は、もしかするとすでに気づいているかもしれない。

私はかなり澪という名前にこだわっている。


「昔好きだった人の名前なのでは?」

と思われることもあるかもしれないが、それはちょっとだけ違う。


名前そのものは創作である。


ただし、ここで少しだけ正直に白状すると、顔のほうは、どうだろう...


書いているとき、

昔好きだった人の顔を、つい思い浮かべてしまっている気がしないでもない。


……いや、これは書かないほうがよかっただろうか。


まあ、書いてしまったので仕方がない。

こういうことを書くのは、少し恥ずかしい。汗。


ただ、名前の意味についてはきちんと理由がある。


「澪」という字は、水の中にできる“道”を指す言葉だ。

船が安全に通ることのできる、深く静かな水の道である。


川でも海でも、どこでも進めるわけではない。

浅瀬や岩を避け、流れの中に細く現れる通り道だ。


私はこの意味がとても好きだ。


どこにでも進めそうに見える水の上で、

実際に通れる道は、ほんのわずかしかない。


それでも船は、その細い道を見つけて進む。


人生も少し似ている。


例えば、今私達は多くの可能性の中に立っているように見える。

しかし振り返ってみると、歩いてきた道は一本の線になっている。


もしあのとき違う選択をしていたら。

もしあの人と出会わなかったら。


そんな「ありえたかもしれない道」は、

いくらでも想像できる。


澪や由真の運命もそうである。


あの出来事があったからなのか。

それとも、あの出会いがなければ違ったのか。


器という存在の定めもまた、同じ問いを含んでいる。


それは最初から決められていた一本道なのか。

それとも、いくつもの流れの中で、

たまたま見つかった細い道なのか。


物語を書きながら、ときどき思う。


もしかすると澪という名前は、

人の名前というより、


物語の中で誰かをどこかへ導く、

水の上の小さな道標のようなものなのかもしれない。

ここまでお着きたいいただき、本当にありがとうございます。まだ道の途中ですが、もう暫くお付き合いください。

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