7、過去。sideしずく
私は、守護神養成所でそだった。そこは、人間界でいう小学校のようなところで。いろんなことがあったけど、やっぱり一番記憶に残っているのは、あの日のこと。
「じゃあ今日は、折り紙をしてみましょう!ピンク色の折り紙と、青色の折り紙をここにおいておくので、好きなほうを選んで、折ってくださいね!」
と妖精の教師がいった。
私は悩んだ末にピンク色を選んだ。
折っていると、幼馴染の、守護神見習い№1228—10が話しかけてきた。
「№18は男の子でしょ?なんでピンク色の折り紙なの?変だよ。」
その言葉を忘れたことは、ない。自分は、普通じゃないんだ。男の子なのに、ピンクが好きなのは、変だから。
それになんて答えたのかは、覚えていない。
そしてそれから、私は好きなものを、好きと言えなくなった。
なにか選ぶときは、男の子らしくすることを意識して__。苦しかった。でも、そうやってし始めてから、先生や保護責任のお姉さんが、安心したような表情でいつも笑うようになって。決定的だったのは、寮でねていたら夜中にふと目が覚めてしまって、共用トイレに向かっていた時。
「№18くんのことですか?ああ、あの子のことなら、もう大丈夫ですよ。今ではすっかり男の子らしくなって。一時はどうなることか不安でしたが、今の様子を見る限り、もう研修にだしていいくらいじゃないでしょうか。」
職員室で先生たちが話しているのが聞こえてしまった。
ああ、そうだったんだ。みんな、私に男の子らしく、なってほしかったんだ。不安、だったんだ。そりゃ、そうだよね___。その日はまくらに顔をうずめて、泣きながら、寝た。次の日の朝、目が真っ赤にはれていて、№10に心配されたときも、本当の理由は、言えなかった。実は昨日夜更かししてこっそり映画見てたんだよね、めっちゃなける映画だった、こんど貸すよ、そんな感じで話をそらした。これからはたとえ嘘でも絶対に男の子らしくしよう、と思った。
しずくちゃんの一人称「私」だし、今までのシーンから見るに「男の子らしくしようと」なんて思ってないだろ!と言いたいところですが、私の創作能力的にはこれが限界だった、ということでお許しください。