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3、転生先の環境は最悪でした。

今回は結構会話文とか、主人公ちゃんの心の声多めです。

うぅ、身体が思うように動かない…。ここは、どこだろう。ゆっくりと思いまぶたをあける。

するとそこには_____。

うそでしょ…。普通こういうのってどこかのいいとこのお貴族様の家に生まれるのが定石じゃないの!?なんでこんな石と木で作られただけみたいなボロ家にいるのよ!

というかこれを家と呼んでいいのか?親は!?もしかして親に捨てられた感じ?転生早々?ついてなすぎる…。いろいろと言いたいことはあるけど!これたぶんはめられたパターンだよな。こんな環境で何が一生衣食住は安泰、だよっ!あの天使、許さん。さてと、これからどうしようかな。とりあえず聖女になるとかなんとかはいったん忘れて生きることに集中しないとこれ死ぬよな。たぶん。周りにいる数人の子供たちの姿が物語っているよ……。勝手に人の家に子供が入れるような環境の時点でまともに生きていけるという確率はよくて20%程度だろう。しかも周りにいる子たち何でこんなやせているの!?しかも目が暗い!なんかみんな前世ではみたことないくらい美少女、美少年の素質を感じる!それなのにこんなに髪もぼさぼさだし目のハイライト消えてね?(漫画かよ)目のハイライトが消えているってこういうことを言うんだ、たぶん…。暗すぎる…。ここの子供たちは夢も希望もないのですかっ!まあそりゃそうだよな。こんな環境で夢やら希望やらを持つ余裕なんてないよな。自分のことだけじゃなく周りの子供たちも助けてやらねば!それともう一つ気になるのは。視界の端で、前世で言ういわゆる妖精みたいなビジュの白髪美少女(サイズはたぶん10cmあるかないかくらいだとおもわれる)がずっとひらひら飛んでるんだよなーたぶん、気のせいじゃなければ…。

「大丈夫?」

あんただれだよー!!

「あなたのしゅごしんです☆ よろ!」

うっわこいつ陽キャかよ。というかこっちはまだ赤ちゃんだから話せないんだよ。

「なんかめんどいからとりあえずせめて16歳くらいまで成長してもらっていい?」

だからそんなことできてたら最初からやってるって!

「えいっ☆」

えっ?自分の身体が急成長し、内から多大な力が湧き上がってくるのを感じた。

手を開いたり閉じたり、足踏みしたりしてみる。

「う、うごける~っていうか喋れるっ!」

こんなにもうれしいことはない。というか幼少期の0歳から16歳の間をパスできるのはなかなかチートでは?

というか…。どんな顔なんだろう。あのみあとかいう天使の好みの美少女にするって言ってたし、それなりに可愛いはずだっ!鏡はないようだが、どうやら雨上がりらしく、そこら中に水たまりがあったので自分の顔を見ることは案外簡単だった。

「か、かわいーーーーっ!!!」

え、うそでしょ私ってこんなに美少女だったのっ!?

あの天使のこと嫌いだけどこれだけは感謝しよう。というかおなかすいたな。よし、とりあえずご飯を食べよう!

背に腹は代えられない!

「守護神の方―、ご飯だしてー。」

「えっ無理だけど」

「ふぇ?いやいや0から16歳パスできるのにご飯出せないの?」

「うーん、パンくらいならだせるけどー、あんまり甘やかさずに普通の子みたいに育てるように言われてるから。」

どうやらこの妖精とは≪普通≫の基準が違うようだ。

普通に育てたいならご飯くらい出してよー…。飢え死にするってー。

「じゃあはい、これ。」

わあっパンだー!パクっとパンにかじりつく。おいしーーいっ!ぱくぱくと食べ、口いっぱいにパンをほおばる。

周りから視線を感じる。あ、そうか。この辺の子はろくに食べるものもないからな…。

「ちょっと守護神の方!ここにいる人数分パン出してよ。」

「えぇー。そんな無理ゲーだってぇー。パンつくるために私の魔力、消費してるからね。ここにいる人数分とか作ったら私の魔力消えちゃうから私死ぬよ?私魔力のかたまりみたいな存在だから魔力なくなったら普通に存在ごと消えるからね。というか主、聖女候補でしょ。魔力もってないの?パンを作るって思いながらパンをイメージして、魔力を出してみてよ。」

はて、魔力をだす、とは…?まあやってみるか。

「わあっできたっ!」

するとそこには少し歪な形ではあるが、少なくとも食べることはできそうなパンが、出来上がっていた。

魔力とやらを使ったようだが、あまり負担は感じない。調子に乗って全員分のパンを一気に作る。

「主、はじめてにしては上手だね。私が初めてパン作ったときはほぼ石みたいな硬さだったんだけど。」

守護神も初めは失敗するんだな…。

「はい、どうぞっ!」

小さい子から順に一人一人にパンを配っていく。

「わぁっお姉ちゃん、ありがとうっ!」

少女の目に光が灯るのを感じた。やはり美少女だ。うちの子にしたい。そんなことを考えていると、

「ごめんちょっと普通に主キモイ。」

と守護神の方に突っ込まれてしまった。かなり胸にささったぞ、今の。もう少しオブラートに包んだ言い方はできなかったのか…。

「というか、あなた何か名前とかないの?守護神の方って呼ぶのは結構大変じゃない?長いし。」

「うーん、名前、ねぇ。一応あるけど…。」

「なんて名前?」

「守護神見習い№1228-18。」

「なにそれ。名前じゃないでしょ。よし決めた!今日からあなたの名前はしずく!」

「しずく…?」

「うん、なんとなくかわいかったから!いやだった?いやなら別の名前を、」

「全然いやじゃない。むしろうれしい!」

「よかったぁ。じゃあ改めて、これからよろしく、しずくっ!」

「うんっ」

「というか、主の名前はなんていうの?」

「うーん、名前いっぱいあるんだよねぇ。一番気に入ってる名前はあおいかなー。涼風、あおい。」

今世でもこの名前を名乗らせてもらおう。

「そうなんだー。」

改めてみるとしずくってすごく可愛いし、スタイルいいし、小柄で華奢で、これは危険だ。誘拐されてしまう。しずくのことは私が守ってあげなくちゃ!

「しずく、知らない人に話しかけられてもついて行っちゃだめだよ!絶対だからね!」

「うーん、うちは専属守護神だから、他の人にはうちの姿みえないんだー。だから話しかけることできるのは、天使並みの魔力を所持している人くらいだから、こんなところにはいないんじゃないかなぁ。」

そう、なんだ…。自分は見えるのに相手からは見えないってすごく悲しくないかな…。

「まあ別にいつもは天界で雑用してたときも同じような扱いだったし、そんなのもう慣れてるから!」

しずくはそう言いながらいつものように屈託のない笑顔で、笑う。でも、うまく言えないけれど、その笑顔が、笑っているのに笑ってない、ように感じてしまった。

「嘘、だよね?」

思わず、言ってしまった。なぜかはわからないけど、私は一度目の人生の時からずっと、人の嘘が、わかる。なにか意識しているわけでもないのに、ああこれは嘘だな、と直感で感じる。そしてその直感は、これまでの5回の人生で、一度も外したことはない。

「えっ? 嘘じゃ、ないよ。」

でも、しずくがそういうなら、そういうことにしておくべきなんだろうな。余計な詮索は破滅をもたらすから。

「そっか。何か悩みとかあったら、いつでも言ってね。」

「守護神だから、悩みとかいう概念すらないよぉ。」

くるくる、と回りながらしずくが言う。

そう、なんだ…。言いたいことがいろいろあったけど、疲れがたまっていたのかいつのまにか寝てしまっていた。

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