2、6回目の転生。
気が付くと、そこはどこまでも続く、白い空間だった。またここか…。私は過去に5回転生したことがある。今回も転生するとなれば6回目となる。
「こんにちはぁ、天使見習いのぉ、ミアでーすぅ。」
語尾にハートでもついていそうな甘ったるい女の声。
「って、またあなたですかぁ…。」
やや呆れも混じった声が響く。耳から聞く、というよりは、脳内に直接話しかけてくるような、声。というか、前回よりもさらにやる気のない声だ…。同じ人すぎて天使も飽きるんだろうな…。
「なんか、何回もごめんね。」
思わず謝ってしまう。
「べつにいいですよ。あなたのせいじゃないですし。転生する人間は神がランダムでくじびきしてきめてるわけだし。何回も選ばれて、運がいいのか悪いのか、なんにせよかわいそうですねー(笑)」
あ、今回も転生するんだ…。
「ちょっと待ってて。データが送られてるはずなので、確認してきます」
敬語とため口が混ざっている…。
「ええっと、今回は故意に選ばれた転生っぽいですね。聖女になって世界を救う!神はあなたが5回も転生して、どの人生でもなんかうまいことやってるのを評価している、らしいです。」
ミアが半透明のタブレットのようなものを操作しながら伝えてくる。
なるほどなるほど…。聖女になって世界を救う…。えっ?
「いやいやいやいや…私聖女とかいう柄じゃないし!まぁ確かにとても広く寛大な心を持ち合わせていて外見も中身も清楚で有名な私だけどさすがに聖女は、さすがに、ね?」
精一杯否定する。
「いや自己肯定感たっか。もはやうらやましいくらいありますよ。で、いやいやいやいや、はこっちのセリフなんですよね。あなたが聖女にならなかったら世界は滅びるんですよ!あなたは世界を見捨てるんですか?あなたにも大切な人の一人や二人、いるでしょう?」
うぅ…確かに。この人(天使)、私が断れない性格なのをわかっててこんな言い方してるんだ…。天使って見た目だけなんだなー性格終わってるー。まぁ思い出せば同じような流れで前回も、前々回も押し切られちゃったんだよなー…。よし、今回はちゃんとなんとか断ろう!
「あの、別に他の人とかでも、」
「まあ別にぃ、あなたが断るならぁ、そのままあなたはその辺の知らない人にうまれかわってぇ、ただちょっと世界が滅びるだけでぇ、天界に住む私には何にも影響ないから別にいいけど!ちなみにぃほかの人は無理だよぉ。神が決めてるから絶対だし!その分、聖女になれば一生衣食住は安泰だしぃ、スキルとかも人よりいっぱいもらえるしぃ、めっちゃ好条件なのに断るとか超もったいなーい。」
…おいしいかも。やっぱり聖女なろうかな……。
「あっなってもらえますぅ?あざーすぅ」
えっ聞こえているの!?
「天使はここにいる人間の心の声はいやでもぜんぶ筒抜け状態になっている、っていったでしょ。」
確かに聞いたような気が…。
「で、何すれば」
「まぁとりあえず救済魔法、治癒魔法は一般人の5倍授けるぅ!そしてその他諸々もいれてっと!外見は私の好みの美少女にして、よし、こんなもんかぁ!じゃあさよならっ☆また会おーね!」
えっああ、うん…?
視界が真っ白な光に包まれる。懐かしい感覚だ。