秋で色づき
季節が何度も巡った。
暑さを過ぎて、また木々の葉が色づく季節になった。
「色づく葉っぱはいつ見ても綺麗ね」
「お前は好きだよな、これ見るの」
キョウとリィンは、何の気なしに家の周りの林を歩いていた。
歩幅は合わせるでもなく一緒で。
リィンの視線は周りに飛んで。
キョウはしれっと横目をやる。
「あら、あなたは嫌い?」
「ああ、何が面白いのか分からん。落ち葉で焼いたモンは好きだが」
「ふふ、あなたも随分と俗世に染まってきているわね」
「あん?」
「いえ、昔からだったかしらね。最初に食べた時から目を輝かせていたし」
「は、はぁ!?」
「あらあら、顔が赤くなってるわよ……っと」
「っ」
不意にリィンの体がバランスを崩した。
キョウが回した腕を支えに、どうにか体勢を整える。
「おいおい、大丈夫かよ」
「ありがと。ダメね、最近つまずくことが多くなってきたわ」
「……そろそろ、近いのか」
死期が、という言葉は、口から出ず、キョウの顔に影を落とした。
対照的に、リィンの顔はパッと輝く。
「そうかもしれないわね! あなたのおかげで死ねるのかも知れないわ!」
「……よかったな」
苦く笑うと、知らずリィンと繋ぐ手に力が入った。
リィンからの返事も、キョウの手に伝わった。
「っ!」
「そろそろ屋敷に戻りましょ。メイドたちが何かお菓子を焼いてくれているはずよ」
「……あぁ」
リィンのそっけない優しさに、キョウは心苦しくも感謝を覚えて笑みを返した。ちゃんと笑えているか不安になりながら。
悟らせないようにしっかりと足を踏み締めて、リィンの足取りに目を配る。
そうして、初めて紅葉のことを説明していたリィンの言葉を思い出す。
「紅葉はね、木が生きるために葉を殺すの」
「生きるために、殺す?」
「ええ。冬が近づいて、葉から栄養を得にくくなると、葉に残った養分を幹に戻して寒さを越え、また春に次の葉を作るときの養分として使う」
「葉っぱの生まれ変わりってことか?」
「そうね、厳密に同じ葉とは言えないかも知れないけれど。落ちた葉は虫の食料になったり、土地を肥やしたりもする。死ぬことで生きる命もあるし、死を無駄にせずまた新たに生き続ける根幹は残る。まるで私たちみたいね」
「へっ、どこがだよ」
何も合ってないと、今も思った。




