6話 元ダンジョン暮らしの少年、つぶされ……る?
長らく空けてすみません! 闇属性の調子がよかったので、そっちにほぼかかりきりになっていました!
すでに応援いただいた方、本当にありがとうございます! 特に、高評価いただいた方、本当にありがとうございました! 最初の低評価で心折れかけていたので、本当に救われました!
では、本日もよろしくお願いいたします!
「あ! ここです! ここですよ! ユーリくん! このマンションの最上階がわたしと姉さんのおうちです!」
……………マジか?
小卒から3年、隠れ住んでいたダンジョン――道中フタバに教えてもらってはじめて知ったが、S級ダンジョン〈白夜の迷宮〉とかいうらしい――を脱出した俺はいま、3年ぶりの地上、大都会東京の真ん中であんぐりと口を開けていた。
目の前に立つのは、そう、そびえ立つのは、暗くなりはじめた空を衝くような威容。40階以上はありそうな、いわゆるタワマンと呼ばれる超高層マンションだった。
こ、この最上階に……す、住んでる……!? こ、この、いまダンジョンを出てから俺の手をぎゅっと握って離してくれない、どころかちょっとアブない目つきでずっと口もとをにやけさせてる、やっぱり俺と同じ年だったまだ15歳だっていうフタバが……!? た、探索者ってそんなに稼げるのか……!?
長いこと入れられてたあの場所はもちろん、家族が健在だったころすら住んでいたのは普通のアパートだったから、こんなきらびやかな建物にはまったく縁なんてなかった。
「ふふ。さあ、行きますよ? ユーリくん」
「あ、ああ……!」
気後れしながらもフタバの手をぎゅっと握り返すと、俺はその超高層マンションへと足を踏み入れた。
それから、エントランスホール、エレベーターと二重三重のセキュリティを生体認証で解除し、ついに俺は最上階の一室、フタバの家の前に立つ。
「ふふ。緊張してるんですか? 大丈夫ですよ。ちゃんとユーリくんのことは連絡してありますし、なにより姉さんはとってもやさしい人ですから」
そう言って、フタバは前に立つ俺の肩にポンと手を置いた。それから、一定時間が経ち生体認証でフタバを認識した目の前の厚みのある扉がひとりでにゆっくりと開いていく。
それと同時に飛びだしてきたのは――
「ふ、フタバちゃんっ……!」
「きゃっ!? ね、姉さ……!?」
「むぶっ!?」
――凛としたところのあるフタバの面立ちをふたまわりくらいやさしくしたような長い茶色の髪の年上の女性だった。
これまた15歳という年から考えると規格外に豊かなフタバの胸。それをさらにふたまわり大きくした、たわわに実った果実のような豊満な胸をむぎゅっと押しつけられながらぎゅうっと抱きしめられる。
「ああ……! 無事で、無事で本当によかったわ……! フタバちゃん……!」
「イチカ……姉さん……! はい……! ただいま……! ユーリくんの……おかげで……!」
そっと、フタバが背中に手をやり抱きしめかえすのが気配でわかった。
それから、姉妹ふたり、数秒のあいだ無事をよろこぶようにだまって抱きしめあい――
「それで、フタバちゃん? ダンジョンで危ないところのフタバちゃんを助けてくれたっていうユーリくんはどこなのかしら? まずちゃんとお礼を言いたいのだけれど……?」
「え? ユーリくんなら、さっきからここに……って、きゃあっ!? ゆ、ユーリくん!?」
「ぷはぁっ!? はあっ! はあっ! はあっ………!」
――あ、あぶねえぇ!? いま、花畑見えたぁ!? あと少しフタバが体を離すのが遅かったら、マジで世にも珍妙な死にかたするところだったぞ……!?
それこそ――死因。デカ乳でつぶされて窒息。しかも、世にもめずらしい前後サンドイッチ。
いや、マジで浮かばれねえって!? 男の夢とか言ってる場合じゃねえだろ!? それぇっ!?
あー! 空気読んでだまってされるがままになってるんじゃなかった! わざとだったのが、だんだんマジで意識が遠くなって……!
「ユーリくん……!」
「うわっ!?」
そんな混乱し、頭をかかえる俺の両手が突然ぎゅっと握られる。それから、握ったままその豊かな胸もとまでぽにゅっと導かれた。
「フタバちゃんの姉の花房、イチカです……! そんな小さな体で、本当にフタバちゃんを助けてくれてありがとう……! ユーリくん……! あなたは、わたしたち姉妹の恩人だわ……! こまったことがあったら、なんでも言って……! 今日は、腕によりをかけておもてなしさせてもらうわね……!」
――ぜんぜん年は違うし、当然面影もない。
けど、その掛け値なしの感謝と、なによりあふれんばかりの妹への愛情を宿した瞳は、どこか、俺に。
(ふふ。ユーリ。今日はなにが食べたいの?)
(かれー! おかあさんの、かれー!)
「え? カレー? ユーリくん、カレーが食べたいの? うふふ。わかったわ」
「え、あ……!?」
知らず、口に出していた俺の頭に、ポンとやわらかな手がおかれ、くしくしとやさしくなでられる。
「ふふ。上がって手を洗ったら、フタバちゃんといい子でいっしょに待っててね? ユーリくん」
そうして、くすくすと微笑むと、ぱたぱたと足音を鳴らして行ってしまった。
――うん。おかあさん……。
そのフタバの姉の後ろ姿を見ながら、心の中だけで俺はそうつぶやいた。
どこか、やるせないような、懐かしいような気持ちでつぶれたようにぎゅっと胸をつまらせて。
ということで、主人公ユーリ少年、つぶされかけました……! たぶん本当に死んでたら、まちがいなく天国行きの死因ですね……!
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では、また次回「元ダンジョン暮らしの少年と、フタバ先生」にて! 書き上がったので、明日!
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