5話 ダンジョン暮らしの少年、ぶっ壊す。
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「え? ゆゆ、ユーリくん、ほほ、本当に行くところないんですか!? それはなんて好つご……んんん! わ、わかりました! こうなったのも、すべてわたしの責任です! そう、すべて! すべて! だから、わたしがお世話します! ユーリくんは今日からわたしの家族です! いっしょにごはんを食べて、お風呂で体を洗って、添い寝して……じゅる、わたしが責任もってお世話します! ユーリくんのお姉ちゃんとして!」
――いまこいつ、よだれ垂らしたぁっ!?
白く輝くダンジョンの中。
そこに隠れ住んでいた俺のおおまかな事情を話した結果、目の前に立つフタバはそんなことを言いだした。妙にその黒い瞳を爛々と輝かせて。
(うらやまママけしからんすぎる……!)
(うらめしけしからんすぎる……!)
(おい! そこかわれ!)
(ショタになってから出直せ)
あいかわらず俺の頭の中が流れてくるリスナーのコメントでカオスすぎる……!? まあ、さっきフタバの言ったとおり、だいぶ慣れてはきたけど。
「よし! そうと決まれば、こんなダンジョン早く出ましょう! さあ、ハリー! ハリー、ハリー!」
いや、こえぇよ!? なんでそんなヤル気満々なんだよ!?
――ああ。でも、もうしゃあねえか。マジでほかに行くあてもないんだし。
配信を通じて探索者協会に見つかった以上、いままでのようにダンジョンに隠れ住むのは不可能だろうしなぁ。たとえダンジョンを移ったとしても、すぐに見つかっちまう。
「わかった、フタバ。ここを出よう。あんたの世話になるよ」
「ユーリくん……! はい……! こちらこそ、よろしくお願いします……! あの、でも、それは、何して……?」
目に魔素を集中し、きょろきょろとあたりを見まわす俺に、目の前のフタバが怪訝な顔を浮かべる。それに対し俺は、当然こう答えた。
「は? いや、ここから出るんだろ? だから、ぶっ壊すために薄いところ探してるに決まってるじゃねーか」
「壊す……? う、薄い……?」
(薄い?)
(薄い? チラッ)
(は、ハゲてないし!)
(ハゲおつ)
――なんかまた俺の頭の中でリスナーアホなこと言ってんな? お、あった。
「よし! フタバ! あんたもすぐに来いよ!」
「ゆ、ユーリくん!? ちょっと待っ……!」
そこは、ダンジョンの壁際の一角。目的の場所を見つけた俺は、今度は魔素を足に集中して床を蹴り、すばやくそこに近づく。
そして、右腕を振りかぶり大量の魔素をその一点に集中する。炎のように燃え盛る膨大な紫のオーラを。
「はあっ……! はあっ……! もう……! 速すぎますよ……! え……!? な、何をして……!? きゃああぁぁぁっっ!?」
「うおおおおらあぁぁぁっっ!」
パ、キィィィィンッ……!
それは、膨大な量の魔素がもたらす破壊の奔流。振り抜いた全力の俺のこぶしの威力に耐えられず、壁が――そう、そこだけ薄まったダンジョンを維持する次元の壁がかん高い音とともに砕け散る。
(は!?)
(はぁっ!?)
(HAAAAH!?)
「よし、行くぞ! フタバ! 穴がふさがる前に!」
「え、あ!? て、手を……!? そ、〈双花剣フタバの配信ちゃんねる〉本日はこれにて終了です! り、リスナーのみなさん、最後まで見ていただいてありがとうございました!」
そうして俺は、およそ3年を過ごしたダンジョンを飛び出した。俺が救った、たぶん同い年くらいの探索者の少女、フタバの汗ばむ手を握りしめながら。
――まさか、これから先にいままで以上の冒険が待つ運命もまだ何も知らずに。
ということで、主人公ユーリ少年、豪快にダンジョンを脱出です!
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次回「元ダンジョン暮らしの少年、つぶされ……る?」
では、また次回! なるべく早くおとどけできるように!
これからもよろしくお願いいたします!