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2話 ダンジョン暮らしの少年、美少女配信者を救う。

すでに応援いただいた方、本当にありがとうございます!

では、本日二話目! よろしくお願いいたします!




「あー、探索者……か? めっずらしー」


 目に魔素を集中してズームした視界の中、艶やかな長い黒髪、黒セーラー服をなびかせる、たぶん同じ年くらいの女の子を見て、俺はそうつぶやいた。


 探索者。それは、本来人間にとって毒となるダンジョン内の魔素に適合しその恩恵を受け、超常的な力を得たものたちの総称。


 常人では立ち入ることすらできない、魔素とモンスターが蔓延(はびこ)るダンジョンという常に死と隣りあわせの環境に身を置くことを国に義務とされるかわりに、外では手に入らない貴重で希少なドロップアイテムや人智を超えた宝を得て売りさばくことで巨万の富や名声を得ることも可能。


 超ハイリスクハイリターンの、侮蔑と嘲笑、そして同時に羨望と憧れの対象でもある、ダンジョンがあるのがあたりまえになった今の時代ならではの職業だ――と、俺がダンジョンに潜るずいぶん前にネットか何かで見た情報を脳内からひっぱりだしてみる。


 そして、そのとき俺はこう思ったもんだ。これ書いたやつ、やたら大仰に言ってるけど、要はスポーツ選手とか芸人とかと同じじゃねーか。成功するのはひと握りってところは。


 ん……? けど、それはそれとして、あと一個、なんか大事な情報があったよーな……?


 そうして、軽く頭をひねってはみるものの、どうやら脳内にしまいこんだ場所が違うらしく、いますぐにはとりだせそうになかった。


「うん……! わかってる……みんな、見てて……! これで、決めます……! はああああぁ……!」


『オォォォォ……!』


 と、俺が他ごとを考えてる間に、どうやら女の子とリビングアーマー変異種の戦いがいよいよ佳境に入ったらしい。


 ぼそりとひとりごとをつぶやいた女の子の体と双剣の表面を気合いとともに、今までまとっていたのとは比べものにならない量の魔素が包みこむ。


 へぇ……! かなり強いな、あの女の子……! たぶん今までこのダンジョンに入ってきた探索者の中でも一番だ。この分なら、俺が手を出さなくても――あ、でも。


「終わりです! やああぁぁぁっ! 奥義! 【双花葬送――十字斬】!」


『ガグオォォォォッ!?』


 大量の魔素が迸る女の子の両腕が真上へと一直線に斬り上げられ、すでに細かな傷で痛んでいたリビングアーマーの両腕が双剣とともに床の上に落ちる。


 次いで、その勢いのままに天高く跳び上がった女の子が十字に重ねて振り下ろした双剣が巨大なバツの字をその鎧の胸に深々と刻んだ。


『ガ……ガゴ……!?』


 ガシャン、と重々しくひざをつき、壊れた機械音声のような音を立て動かなくなったリビングアーマー変異種。


 黒セーラー服のスカートをなびかせて地面にすたっと降り立った女の子は、しばらくの間油断なくその動向を双剣をかまえ見守っていたが――やがて鎧の表面が七色に輝きだし、魔素に覆われ始めると、ふう……と安堵の息をついて、双剣を左右の腰に差し、くるりと鎧から背を向けた。


 そして、ふたたび虚空に向けてひとりごとをつぶやきだす。


「みんな……! 最後まで見とどけてくれて、本当にありがとう……! 〈双花剣フタバの配信ちゃんねる〉、これで本日の配信はまもなく終了です……!」


 微笑む女の子が耳にかかった黒髪をすっと後ろに流すと、きらきらと汗の滴が舞った。


 ――それをズームした目に映しながらトン、と俺は音もなく白の柱をひとつ前に跳び移る。

 

「はい……! 応援してくれたみんなのおかげで、無事に最終試験のS級ダンジョン、この〈白夜の迷宮〉をわたし一人でクリアすることができました……!」


『ガ…………ガ……………』


「もう……! 気が早いですよ……! でも、そうですね……! これからは、日本最高峰の探索者集団〈五輝星〉いえ、〈六輝星〉の一員として、今まで以上に身を粉にしてがんばるつもりで――え?」


 あー、くそ……! おっ前、マジふざけんなよ……!


 ――ダンッ! と白の柱の頂上から天高く跳び、ビキビキとそれを握った右腕を俺は大きく振りかぶる。


()()……()……? ひ、きゃああぁぁぁっ!?」


『ガ、ガグゴオォォォォッ!』


 振り返った女の子と、再起動したばかりのリビングアーマー変異種――その量を増した魔素による()()()()()()()()へと再生を果たした凶々しい鎧。その新たに頭を生やした無機質に光る目と怯える女の子の目が合った。


 そして、息を飲む女の子がとり乱しながらも双剣をかまえなおすその前に、巨大な鎧は四本の腕を振り下ろし、


「だからぁっ! せっかくひとが一か月ぶりのごちそう楽しみに食おうとしてんのに!」


「……え?」


『ガガゴガアァッ!?』


 その直後、彼方から飛来した――さっき俺が投げた紫のオーラをまとう槍が左2本の腕をバキバキと砕き、その巨大な鎧の腹へと深々と突き刺さる。


「その俺の目の前でっ! スプラッタなんざ! かまそうとしてんじゃ、ねぇぇっっ!」


『ガグゴガガアアァァッ!?』


 そして、白い柱が折れんばかりの勢いで反動を使い、一直線に前に跳んだ紫のオーラをまとった俺の怒りの蹴りが腹に突き刺さった槍を深々と押しこんで――今度こそリビングアーマー変異種はその巨体をバラバラに砕かれ、魔素へと還っていった。


 ドロップアイテムの人間サイズの双剣を残して。


「ふう……! あんた、無事か?」


「は……はい……!」


 目の前で起きた事態についていけずか気圧されてか、ぺたんと床の上に座りこむ女の子に手を伸ばす。


 ……んん?


 ――このときの俺は、まだ気がついてはいなかった。


(ちょっ!? な、なんだよ、今のっ!?)


(や、やべえモンスターが出てきたと思ったら、あ、あの子どもっ!? い、一撃でっ!?)


(って、ていうか……こ、このフタバちゃんの表情って……!?)


 ――ぽうっと頬を赤らめ潤んだ瞳で見上げる目の前の艶やかな長い黒髪の探索者の女の子、〈双花剣フタバの配信ちゃんねる〉がまだ絶賛配信中だったこと。


 ぎゅうっと俺の手がかたく、熱く握りしめられる。


 ――俺の体が3年前、ダンジョンに入ってから少しして成長を止め、あろうことかクソチビのまま人類を超越した〈魔人〉に進化を遂げていたことも。


 ……15歳になった今の俺と同じくらいって、なんか、この女の子の手、でかくねぇ?


 ――そして、これから先に待ち受ける激動の運命も。そんな見当違いのことしか思ってなかった俺は、このときはまだ、何ひとつとして気がついてはいなかった。

ということで、主人公ユーリ、姉属性ヒロインのフタバを助けるの巻、でした!


はい! 実は、ネトコン11に間に合わせるために2日で突貫で作ったので、ストックがありません! プロットはかなりあります!


そこで、みなさまにお願いです! 本作を面白いと思って頂けましたら、是非ブクマや☆5による評価、いいね! による応援をお願いいたします!


読者様の応援が作者の活力、燃料です!

それをモチベに作者は馬車馬のごとく書きますので!


次回「ダンジョン暮らしの少年、癒される」

なんとか書き上がったので、また明日!


これからもよろしくお願いいたします!

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