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16話 呼びだされた元ダンジョン暮らしの少年と、案内役。

すでに応援いただいた方、本当にありがとうございます! 特に、高評価いただいた方、本当にありがとうございました! ローファンのランキングにしばらくいられて、本当にうれしかったです!


では、本日もよろしくお願いいたします!



「あ、あの……! よ、(よろず)ユーリさんと、花房(はなぶさ)フタバさんですか……? は、はじめましてっ! わ、私、本日おふたりの案内役をつとめさせていただく、探索者協会職員の中畑(なかばたけ)カンノです……! よ、よろしくお願いしますっ!」


 探索者協会本部ビルの手前。


 約束の時間に間に合うように急ぐ俺とフタバの前に会釈とともにあらわれたのは、スカートタイプのスーツを着た(ふち)の大きな赤い眼鏡に黒髪をうしろで一つに束ねた、20歳過ぎたか過ぎないかくらいの女性。


 俺やフタバよりもだいぶ年上のはずなのに、そのおどおどとした態度は、いかにも頼りない。


 召喚命令なんていう名目で呼ばれて気合いを入れていた俺とフタバは、その姿を見てなんだか拍子抜けな気分になってしまって、そろって顔を見合わせる。


「あー、万ユーリだ。ユーリでいいぞ。ま、そんな固くならずに、よろしくな。カンノ」


「はじめまして。花房フタバです。どうぞわたしのことは気がねなく、フタバと。わたしもカンノさんとお呼びしますね。どうぞ、今日はよろしくお願いします」


 顔を上げたままぞんざいなあいさつをする俺と、対照的ににこやかに深々と丁寧に頭を下げるフタバ。


「は、はい! こちらこそ、よろしくお願いします……! ユーリさんに、フタバちゃん……! では、ご案内しますね……!」


 あいさつしあって少しは緊張がほぐれたのか、ようやくカンノは、はにかむような笑顔を見せた。



「で、カンノ。召喚命令って、今日これから俺たちなにするんだ?」


「あ、ごめんなさい……! ユーリさん……! フタバちゃん……! くわしくは、私も聞かされてなくて……。ただいくつかの指示と指定の場所に案内するようにって、会長から……」


 んー。なにもわからねーも同然だな。本当にただ言われたとおりに動く下っ端ってことか? 


 召喚命令なんて言うから、てっきりいざとなったら、本当にできるかどーかは別として、俺たちを拘束とかできるようにそれなりの実力者をよこすのかと思ってたけど。


「あの、ユーリさん……? わ、私の顔に、なにか……?」


 このカンノからもそこそこの量の魔素は感じるけど、こんな程度じゃ、俺とフタバのふたり相手には……ん? ()()()


「なあ、カンノ。今日の案内役って、あんたひとりなのか?」


「あ……い、いえ。もうひとり、男の――え!?」


 ドォンンッ!


 その瞬間、地響きのような音があたりに響いた。


「うおお! もらったあぁぁぁ、ス!?」


 近くに停まっていたトラックの屋根から反動をつけて跳んできたスーツ姿の若い男。


「まさか……! 油断させておいて、いきなり襲ってくるなんてなあっ!」


 すでにその接近を察知して、それよりも高く跳んでいた俺は、怒りのままに上から男に右こぶしを――


「や、八転(やころび)くんっ!? な、なにしてっ!?」


 ……へ? なんでグルのはずのカンノが叫んで? え、違うの? あ。


「ごべえぇぇぇぇっ!?」


 ――おもいきり振り抜いて、斜めに地面にたたきつけた。


「ぶべっ!? ごはっ!? うごっ!? あぎっ!?」


 そのまま男が勢いのままに地面を跳ね回り転がること、きれいに八回。


「や、八転くんっ!? しっかりしてっ!」


 あれ? いつのまに?


 スタっと地面に降りたつと、男に目を離したすきに、俺たちの側から移動していたカンノ。そのまま、ゆさゆさと倒れた男を必死にゆさぶり、呼びかける。


「ふんっ、スっ!」


 やがて、その必死の呼びかけが通じたのか、男はびょんっと、なにごともなかったかのごとく、その場でばねじかけのように跳び上がった。


「いやー! マジ死ぬかと思いましたっス! やっぱり動画で見たとおりにマジ超強いっスね! あ、もうし遅れましたっス! オレは、本日カンノ先輩とともにおふたりの案内役をする探索者協会職員の八転ゲンキっス! よろしくお願いしますっス! ユーリの()()()! フタバちゃん!」


 ニカッと歯を光らせたスポーツマンのようなさわやかな笑顔で、右親指をビシィ! っと前に突きだしながら、その20歳前後の男はそう言った。


 いまや見るかげもなくズタボロになった上等そうなスーツも、あっけにとられる俺たちも――


「八転くん……? なんで私にだまって、こんなことしたの……? ねえ、なんで……?」


 ――すぐとなりで涙目でそっとお腹をおさえながら、ぷるぷると体を震わせる先輩のカンノのことも、少しも気にしていない表情で。




ということで、新キャラの対称的な探索者協会職員のふたりでした! こう見えて、ふたりともちゃんと選ばれてこの場に来ています。

なんでゲンキがこんなことをしたのかは、次回。まあ、ユーリたちと後輩ゲンキの中間に立たされるカンノは、なんにしても胃が痛いわけですが。



さて、作者からみなさまにお願いです! 本作を面白いと思って頂けましたら、是非ブクマや☆5による評価、いいね! による応援をお願いいたします!


読者様の応援が作者の活力、燃料です!

それをモチベに作者は馬車馬のごとく書きますので!


では、また次回「呼びだされた元ダンジョン暮らしの少年と、次元の違い」にて。


9月19日更新予定!

これからもよろしくお願いいたします!

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