12話 ※〈双天〉ツクヨ姫さまの生ナマなまちゃんねる1〜だいたいいつも呑んでおるよ?
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三人称別視点。
では、本日もよろしくお願いいたします!
――元ダンジョン暮らしの少年、万ユーリが花房イチカ、フタバ姉妹の家の湯船の中、必死に自らの本能と理性を戦わせていたころ。
ここは、まぎれもなく異界、ダンジョンの中。
そのダンジョンの中にまったく似つかわしくない、愛らしい姿をした〝幼女〟は無造作にその扉を開いた。
「ふぁ〜。待たせたのう。みなのもの。今日もまっこといいお湯じゃったぁ〜!」
(おかえり〜! 待ってたよ〜!)
(のじゃ姫さま、今日もめっちゃ可愛い〜! 着てるものも可愛い〜! こんばんわ〜! いま来ました〜!)
煌々と明るい部屋の中。ぺたぺたと足音を鳴らしながら、パジャマを着たその〝幼女〟が入室すると、リスナーたちはいっせいに感嘆の声を上げた。
「うむうむ。こんばんわ、じゃ。ふむ? 今日はなにやらいつもより同時接続数が多いのう。まあ、勝手にゆるりと観てゆくがよいぞ」
((は〜い))
軽くリスナーにそうあいさつをすると、台の上に用意されていた飲みものをむんずとつかみとる。
そのままその見ため10歳にも満たない〝幼女〟は、自室――そう。ダンジョンの中に用意された自室のテーブルの前、やわらかな一人がけのソファの上にぼすん、と腰を落とす。
わずかに水に濡れた洗いさしの銀色の糸のような艶めく長い髪と、つぶらな青い瞳。そして雪のように白い肌。
うさぎの耳がぴょこんとはねた、もこもこの子ども用のバスローブタイプのパジャマに身をつつんだその姿もあいまって、その姿はまるで愛らしい妖精のよう。
「さて。みなのもの、準備はよいか? では、ゆくぞ。あ、子どもたちはわらわ印の例のやつで頼むぞ? ではあらためて、せーの! かんぱ〜い!」
(((かんぱ〜い!)))
だが、その愛らしい小さな妖精の手はいま――まるで似つかわしくない、キンッキンに冷えた大ジョッキを握っていた。
「ごっごっごっ……ぷはぁ〜! か〜! しみるのぉ〜! やっぱり風呂上がりの一杯は最高じゃ〜!」
(美味い〜!)
(最高〜!)
(この一杯のために生きてる〜!)
「うむ! では、みなのもの! EXダンジョン1階に創ったわらわの部屋からおとどけする、24時間年中無休! 《〈双天〉ツクヨ姫さまの生ナマなまちゃんねる》、これより配信再開じゃ!」
まるで疲れた中年サラリーマンみたいなことを言いながら、ジョッキの中の冷えた生ビールを飲みほした見ため〝幼女〟――探索者協会最高幹部〈双天〉が一人、大黒ツクヨはそう宣言した。
――その小さな口もとに、見事に白い泡をだらしなく口ひげのようにはりつかせて。
ということで、探索者協会最高幹部〈双天〉ツクヨ姫さまの初登場でした。見ためはアレですが、実年齢は合法です。四六時中呑んでます。
あと、予定を変更してプラス2話やります。案外コンパクトにまとまらないもので……。
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それをモチベに作者は馬車馬のごとく書きますので!
では、また次回
「〈双天〉ツクヨ姫さまの生ナマなまちゃんねる2〜こんなわらわにも理解ある執事がおるのじゃ」にて!
もう一人新キャラが出ます! 9月11日昼公開予定!
これからもよろしくお願いいたします!