10話 元ダンジョン暮らしの少年と、混浴(俺、俺……断ったよなっ!?)前編。
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「ふぁ〜。気持ちい〜」
広々とした湯船に浸かり、ひとり俺は気のぬけたような感嘆の息を吐いた。
「じゃあ、せっかく〝家族〟になったことだし、みんな水いらずでお風呂に入りましょうか、なんてイチカ姉が言いだしたときにはどうなることかと思ったけど、フタバは言うまでもなくノリノリだったし……」
バシャっとお湯をすくって顔にかける。
「断固として断って、ほんっと〜うによかった! もしそうなってたら、ドギマギしていろいろそれどころじゃねーし! ふぁ〜。にしても気持ちい〜」
ダンジョンの中でも体内に浸透した魔素を循環、操作して体の最適化は定期的に行っていたから、いままでも別に言うほど汚かったわけじゃない。けど、俺にとって約3年ぶりとなるこの入浴。
……いや、それどころかこうしてゆっくり湯船に浸かるってことだと、もうなんだか記憶があいまいになってしまうくらい遠い昔のことだ。
「ふぁ〜。あー、やべ〜。とろける〜」
そんなこともあって、足をおもいきり投げだしてもまだまだ余裕なタワマンの最上階にふさわしい広々とした湯船の中で、俺はしまりのないゆるみきった顔をさらしていたのだった。
――だから、油断して脳みそがとろけきっていたのかもしれない。
「ユーリくん。お湯加減はどうですか?」
「あー、フタバか〜? も〜最高〜。あー、だめだ〜。気持ちよすぎて、も〜一生ここから出たくなくなっちまう〜」
「ふふ。よろこんでもらえてよかった。じゃあ、そろそろわたしも失礼しますね」
「ふぁ?」
すりガラスの向こうに突然あらわれたフタバの目的を見誤ってしまうくらいには。
ガチャ。
「いいい、いやいやいやっ!? まま、待てっ!? フタバっ!?」
正気にもどって制止の声をかけたときには、すでに手遅れ。浴室の扉は開かれ――
「ふふ。安心してください。ユーリくん。大丈夫ですよ? ユーリくんが恥ずかしがると思って、ちゃんとこれ着てきましたから。ちょっとサイズがキツくなっちゃいましたけど、うちの中だし、まあいいですよね」
――そうしていたずらっぽく微笑むフタバは、まぶしいばかりの白い水着の姿だった。
「ふぁ〜。本当に気持ちいいですね〜。ふふ。ユーリくんといっしょに入ってるからか、いつもより倍気持ちいい気がします〜」
さっとお湯で汗を流して俺の横に浸かり、気持ちよさそうに目を細めてフタバはそうこぼす。
――だが、考えてもみてほしい。
性格的にかなりヤバげなところがあるとはいえ、その豊かな胸をはじめとして、15歳という年から考えると規格外に見事なプロポーションを誇るフタバ。
しかも表面が魔素に覆われたその肌は、テレビで観るアイドルもかくやというほどのみずみずしさで。
――そんな、異性としての魅力100パーセントのフタバが水着を着たくらいで、混浴している俺(思春期男子・肉体年齢12歳)が冷静でいられるものだろうか?
『いられるわけねぇだろうがぁぁっ!? そもそもなんか水着のサイズあってねえから、あんま隠せてねぇしっ!? つーかある意味、余計にヤバいまであるぞぉぉっ!?』
「ん? あれ? いまなにか言いましたか? ユーリくん」
「な、なんでもない……!」
とりあえず見られないようにあさってのほうを向いて、フタバに気づかれないように、魔素を操作して密閉した空気の膜に思いのたけをおもいきり叫んでおく。
……ふう。けど、結果的によかったみたいだ。意味不明なことを叫んだおかげでだいぶ冷静になってきた。これならなんとかなにごともなく乗りきれそ――
コンコン。
「ユーリくん? イチカです」
――そう思った瞬間、俺の理性への次なる刺客は控えめなノックの音とともにやってきた。
すみません! もともと分けるつもりはなかったのですが、書いてるうちに文章量とフタバメインにしたいとなりまして、まずは前編をお送りしました!
まずは、主人公ユーリ少年、自分の(いろいろな意味で)ヤバさに無自覚な白ビキニのフタバの攻勢にタジタジです。
※なお、現在のフタバの水着は、魔素の影響で著しい体の成長についていけず、結果、ほぼ白のマイクロ状態です。思春期少年には劇薬ですね……!
さて、作者からみなさまにお願いです! 本作を面白いと思って頂けましたら、是非ブクマや☆5による評価、いいね! による応援をお願いいたします!
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それをモチベに作者は馬車馬のごとく書きますので!
では、また次回の後編にて!
白のマイクロ(無自覚)という攻勢を見せた妹のフタバに対して、はたしてイチカ姉はいかなる攻勢(無自覚)を見せるのか……! 主人公ユーリ少年は最後まで耐えきれるのか……!
後編もなるべく早くおとどけできれば!
これからもよろしくお願いいたします!