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智仕事を辞めて 智視点

五章 緩やかな変化の後ぐらいでしょうか?



 「私を正式にこちらに置いて下さい」


 宏の部屋で正座をし手をついて頭を下げる、たぶん目の前には嫌そうな顔をしているんだろう宏の溜息が聞こえた。


 「安泰の公務員が何言ってるん?」

 「辞めました」


 頭を上げ微笑んで言えば宏は大きくはあ?と驚いた顔を見せる、そんなに驚かれるとは思ってませんでしたけど。


 「姫様やここで頂いた忠言忠告注意、どれも聞き入れる以前の問題で、こちらの神職に対する不信感と神社に対する欲が耐え切れませんでしたので、上司に喧嘩を売る形で辞めました」


 「お前、何、え?は?」

 「そんな驚くことですか?」

 「いつか可能性は考えてた、ただこんな早いとは思わんかった、ダンジョンできてまだ一日経つかどうかやぞ?」


 片手で額を押さえジト目で見られるが仕方がない、私にだって耐えれる範囲はあるから。


 「智の情報に期待しとったのに」

 「それでもまだ私の情報網全てが潰れたわけではありませんから」

 「これからどうなるかわからんねんで、ここ」

 「世界全てがそうですね」


 宏の口からまた大きなため息が漏れた。


 「正直俺は反対や、わかってんやろ?」

 「はい、そう言われるだろうことも」

 「じゃあなんでや?」

 「好きなんです、ここの空気が、姫様の空気が」


 はっきり口にした私を凝視し宏が驚いたように目を開く。


 「お、お前絵里子のこと好きなん?」

 「好きですよ、これが男女としてなのか人としてなのかわかりませんが」

 「そんなはっきり言うことか」


 どこか疲れたような宏が少し面白い、いつも先頭に立ち頼れる者であり続けようとしている宏だから。


 「それに他の皆さんも好きなんですよ、ここは不思議な場所ですね」


 そう微笑めば参ったように宏が言う。


 「絵里子やろ?あれがあんなんやからな」


 苦笑したその言葉は兄の顔で、その距離の近さに羨ましくなった。


 「ただそれだけではいそうですか。なんて俺は言う気ない」

 「わかってますよ、姫様があんなんですから兄は大変ですね」

 「ほんまにそうやねん」


 心底言えば心底返されつい笑ってしまった。


 「とりあえず神職でもない加護もない智をここに置くわけにはいかん」

 「それを言うなら拓斗もですよ?」

 「…そのぶん生産とレベル上げ頑張ってるわ」

 「なら私の知識も使えると思いますし、レベルも死ぬ気で上げます」

 「体育会系には見えんで?」

 「これでも元ダンジョン省に勤められるぐらいには動けますよ」


 全ての言葉を微笑で返し宏を見る、先に参るのは宏の方だろう。これでも元官僚を舐めないでほしい。


 疲れた顔の宏がまた大きなため息を吐いて、目を鋭くして私を見た。


 「智に聞きたかってん、絵里子がレベルわかるってあれ」

 「はい、引っ掛けました。タイミングがいいのもあり皆さんわかりやすくて助かりました、それに何より本人が一番わかりやすくて心底心配になりましたよ」

 「やっぱかー」


 唯一一人の存在姫巫女、それが他と同じよな存在であるわけがない、何ができるかなんてわからなかったがその可能性に賭け、見事私は勝った。


 「秀嗣は隊方面では強いですが謀ができるタイプじゃありません、拓斗も頑張ってますがどうしても経験が足りません、宏だけでは国とのやり取りなど辛いでしょ?」


 宏の顔が嫌そうに私を見る。


 「参謀なんて言いませんよ、助手程度の気持ちで置いてもらえれば」

 「何が狙いや?」


 宏の睨む言葉につい苦笑してしまう、そして言葉を探し素直に口にする。


 「ただ本当にここが好きなだけですかね?企みも何もなく、ここを、姫様を守る壁の一枚になりたいだけです。それに疲れ果てた友の力になりたいってことぐらいですかね」


 真っすぐに宏に伝えれば一瞬目を開いたと思えばすぐに項垂れ力を抜く。


 「警戒した俺あほみたいやん」

 「必要だと思いますよ、なんたって姫様が姫様ですし」

 「あれは懐入れたら甘くなりすぎる、やから智も死ぬ気でレベル上げなあかんで?」

 「わかってます、それから情報収集と生産ですか、それに交渉の手助けもですね」


 言われる前に先に自分がするべきことを考え伝える、一瞬止まった宏が笑った。


 「これからまあ頼むわ、参謀として。給料ないけどな」

 「こちらこそよろしくお願いします、姫様の手料理で十分です」




個人的に好きなキャラですし、もうちょいいいところ出したいですよね、本編で。

ただ策略キャラだから埋もれてしまいがち。

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