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胡堂の災難 宏邦視点

四章 女王の裏話。

胡堂くんの嫌そうな顔の理由です。



 智に案内されて雑居ビルの扉の前に立つ、インターホンを押せば男の声で指輪をと一言言われただけだ。智はそれでも一度ダンジョン省の職員証をカメラに見せるがそれでも男は指輪をと言うだけで鍵が開く音はしなかった。


 俺はため息を抑え込みながら智の肩を叩き場所を変わり指輪を晒す、しばらくの間を経てかちゃりと鍵が開く音と扉が開く。



 顔色も悪く目つきの悪い男が俺らの人数を確認するように見渡し、指輪を持ってる方は確認をと言ってくる。その値踏みするような視線に恵子でなくとも不快を感じるには十分。


 それでもしゃあないと俺はみんなを促して手を差し出す、智と拓斗には職員証をと確認するしまつ。

 この奥にはいったいどれだけ崇高なかたがいらっしゃるんでしょうね。


 『お兄、もう』

 『早すぎや、我慢せい』


 絵里子が気になりいつも以上に苛立ちやすい恵子がいつまで我慢できるか、とりあえずそこはのり君に頑張ってもらうしかない。


 「あとお二方いらっしゃるはずでは?」

 「少し予定がくるいまして、現在調整中です」


 男の言葉に智が平然と笑顔で返す、男はそれにどこか苛立ったようだがようやく中に入れて貰えるようだ。


 中へ促され厳重なセキュリティーの扉の奥、男が扉を開け俺たちを促すとどこか甘ったるい匂い、ビルに入る前に絵里子お手製の解毒薬を飲んでいて正解だったかもしれない。


 ただ材料の関係で微弱なものだ、効果時間も確認しきれていない、あとは口に含んでる丸薬に期待しかないな。


 部屋の中には高そうな机とソファーの応接セット、一番奥に問題の化粧の濃い女が偉そうに足を組み高そうな一人掛けに座わっている、その後ろを囲うように上下白の神職衣装な男が四人、問題の女の右側にはこの前会った神職三人が座りその後ろに立つ三人は各自のダンジョン省の担当者か。


 俺たちは案内してきた男に促されて神職達から机を挟んだ左側に座りその後ろに智と拓斗が立った、入り口側に座る者が来ないことを今は祈りたい。



 案内してきた男が奥の神職風な男に何か耳打ちし、そしてそれを問題の女に耳打ちするとその顔を歪め気に入らないと言うようにその真っ赤な爪を動かした。



 「今日は皆様来ていただけて嬉しいです、残念なことに二名ほど遅れてるそうですがそれはどうゆうことですか?」

 「体調を崩されまして、しかし遅れてになりますがこちらに来られることになってます」

 「二人共なの?」

 「はい」


 こうゆうとき智も役人だと思う、自然と笑顔で言うんだから、本人に突っ込めば嘘ではないですよと返してくるのが浮かんで少し笑いそうになった。


 「ふう、しかたありませんね、では先にここにいらっしゃる皆様に説明してあげます」


 女はそう言うと後ろの男に指示を出した。


 「ここに居られます巫女姫様は神から神職を纏めこれからの世界を導くように選ばれた方で御座います、ですのでまずは各自ダンジョンで手に入れたアイテムを献上して頂き、巫女姫様の配下に入って頂きます」


 「そんなわけないだろう!俺だって人を世界を導けと言われたんだ」


 最初に声を荒げたのは尾上健吾だ、水野冬馬は睨みつけるように女を見て様子を窺っている。


 男が前に出ようしたその様子に女は悪趣味な羽のふわふわした扇子でそれを制止、悪趣味な赤い唇でにっこりと笑った。


 「巫女姫として皆様のことは窺ってます、尾上さん、水野さん、浜西さん、飯田さん、浜本ご夫婦のことも、あと確か、飯田絵里子さんと加賀美さんですわよね?これでもまだ信じれませんか?」


 智の目が怪しくなった気配がした、智もダンジョンに行ってレベルがあり魔力があるからか、拓斗を見習って成り行きを見守って欲しいが仕事を考えればそうもいかないんだろう。


 「な、我々のことを調べたのか!?それともダンジョン省が」

 「違いますわ、尾上さんはレベル3水野さんは4浜西さんは頑張ったんですねえ、6ですよね」


 その言葉で立ち上がっていた尾上は力が抜けたように椅子に座り、水野の目は見開いている。

 そして女は今度はこちら側を見て白い顔に浮いた赤い口を嬉しそうに開く。


 「そしてそちらの皆様はたしか5ですわよね」


 その一言で鑑定でないことは確定した、権力者に信者がいるってのもあながち間違っていないんだろう。だったら姫巫女のことも教えておいてくれればよかったのに、そこまで知らされない程度の人物なのか。


 ただあの神職三人からしたらそりゃ本物と思うよな、重要機密読んだだけだけど。


 それを確認した絵里子が一瞬浮かび大人しくしてるか心配になるが、今は秀嗣を信じるしかない。


 「あと、ダンジョン省の方々ともこれから交流をもっと密にするべきとわたし思ってるんです」


 その目が値踏みするようにソファーの後ろに立つ五人に回されにっこりと笑みを作る。


 「そちらの左のお二人お名前を窺っても?」

 「我々の名前はおわかりにならないんですか?」


 一瞬ゆがみかけた女の顔、笑いそうになるから智は大人しくしてくれないか。


 「神職でない方のお名前までは窺ってませんから、それで」

 「石田智と申します、こちらの飯田様と浜本ご夫婦の担当をさせて頂いてます」

 「胡堂拓斗です、まだ到着してない飯田様と加賀美様の担当をしております」

 「拓斗さんと言うの?」


 女が拓斗に近づこうとするが間に智が入った。


 「彼はまだ浅いので私の助手に近いですけどね」

 「貴方も素敵よね、そうだ交流会も込みでもっと色々お話しがしたいわ、飯田さんも拓斗ももっと近くにどうぞ」


 俺も呼ばれ驚くが表情を変えることはない、一瞬恵子が笑いそうになってたから後で覚えとけよ。


 「私は結構です、できれば早く話しを進めたいのですが」

 「お話ねえ、では皆様ダンジョンで何を得たのかまず教えて頂けますか?」

 「それは必ず言わないと駄目なんでしょうか?」

 「ここで言いにくいのであれば二人っきりでも構いはないですわよ」


 どこか自信に溢れるこの女、それにその周りの神職風な男たちの目が気になる、俺の真眼でどこまで見れるだろうか。


 そう思いながら悩む素振りで集中しまず男達から見れば状態異常:魅了の文字、小まめに真眼使っててよかった心底思う。


 次は女だ、うまい具合に尾上さんが声を荒げている間にじっと集中してみる。魅了使用中とは出るがそれがスキルなのかアイテムなのかまでは俺にはわからずつい顔を歪めたくなる。


 そうこうしている間に女は拓斗に目を付けたようだ。


 「ねえ、貴方拓斗でしたよね、あたしの担当になりなさい」


 神職風な男たちに智を押さえさえ拓斗の腕を引く女、少し心配になるが拓斗のステータスに異常は今のところ見られない、それもいつまで持つだろうか、できれば早くここを出たいと思う。


 「あたし拓斗が気に入ったわ、拓斗も年増よりあたしの担当のほうが嬉しいでしょ?」

 「いえ、そんなことは。今でも十分です」

 「あたしといれば良い思いもできるわよ?」

 「それはどんなふうにですかね」


 無表情だった拓斗の顔が微笑を作った、俺はお前にそこまでしろと思ってないぞ。


 「そうね、共にこれからの世界で幸せにみんなで暮らしましょうよ」

 「魔物はどうするのですか?」

 「他にも神職がいるじゃない?」

 「貴方が助けてくれるのでは?」

 「ええ、私が神職を統べる者ですもの、だから神職達に指示を出すのは私、国でも誰でもないわ」


 上手く情報を引き出してくれるが俺の心中は心配以外ない、きっと智もそうだろう。

 なのに拓斗は平然と話しを続ける。


 「巫女様はどんなお力を神にもらったのですか?わたしはそれを貴方から聞いてみたい」


 微笑む拓斗は自分の使い方を知ってるな、女が少し乙女のような態度になる。


 「そんなここでは、二人でなら教えてあげるわ」

 「ではせめてアイテムなどを教えて頂けませんか?」

 「それは特別な物よ、ここにいる誰よりも特別な物を貰ったの」


 自信溢れるその顔は魅了系のアイテムのことか、はたまた他の何かか。


 「あちらの三人の神職様と巫女様は何が違うのでしょうか?わたしはこちらの神職様方のことはよく知ってますがあちらはわからないのです」


 上手い誘導に女は微笑みその顔を三人向ける、その隙に拓斗は離れようとするが女の腕が拓斗を掴む。


 「すっかり忘れていたわ、それでアイテムを持ってるんでしょ?武器も出しなさい」

 「そんなことができるわけない、あれは神から貰ったものだ」

 「というより、勇者に選ばれた俺がなんであんたに従わなきゃいけないの?」


 尾上と水野がそう言うが女は気にした様子もない、鼻で笑うようにその目は笑ってる。


 拓斗の腕を離し一歩ゆっくり尾上と水野に女が近づく、二人は一瞬警戒したような目をするが女は優雅に扇子を仰ぎ風を送るだけ、それだけで二人は大人しくなった。


 風で強く香りを送った?香水か?それとも他の理由がと考えてるうちに拓斗は背後に戻る。


 「大丈夫か?」

 「絵里子制飲んでなかったら厳しいですね、たぶん匂いやと思います」


 小さな声で拓斗に言われやっぱりかと確信を強める、さあどうしようかと俺が思っていると女は拓斗が元の位置に戻ったことを見て眉を顰めた。


 「ほら拓斗、こっちに来て」


 椅子に座り直した女は優雅に足を組み扇子を仰ぐが、できればそっちに行かせたくない。

 なのに神職風な男たちが女の意思を組んだのか拓斗を女のそばに連れていく。


 「この神に愛された巫女姫に皆従いなさい、巫女姫に抗うことなど許されない」


 高笑いでもしそうな女の言葉、俺はただただ嫌な予感しかしない。さあこれをどう切り抜けるか、拓斗を救出し抜け出すには神職風な男たちが邪魔だ、それに甘い匂いが強くなってきて頭が痛くなってきそうだ。



 そのとき部屋の扉に取り付けられた電話が鳴った、神職風な男が数度のやり取りをし扉が開けは清らかな空気が入ってくる、なのに俺の顔は歪むことを止められない。


 一歩進むたびにどこか正常化されていく部屋の空気、これが本来の姫巫女だ、自分のためではなく誰かのために力を使う。



 俺はもうどうすることもできないと早々に諦めて、帰りにどう絵里子を休ませ恵子をどう納めるかに考えを切り替えた。



たまに書いてて思うんですが、主人公より兄のほうがチートで主人公だとw

個人的にこの女王好きなんですけどね、その年齢でそんなはっちゃけちゃうんだ的に。

できたらまた出したいんですよねー、本編に。

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